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よいこわるいこふつうのこ

にんじゃなんじゃもんじゃ
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だって男の子だから

>>先ほどスガワラにタイトルの間違いを大変ユニークなコメントで指摘してくださった方へお礼SS。でも、44巻何も関係ない内容なんだぜ・・・嘘みたいだろ・・・。

*イケメンはエロ本なんて読まないもん、雷蔵と三郎が気持ち悪いのは許せないもんという人は、絶対に読んではいけません。

久々知は委員会の集まりだとかで帰ってこない。竹谷はひとり腹ばいになって床板に寝転がると、孫兵との交換日記を読んでいる。『先輩は、毒虫だと何が一番好きですか?僕は蝮です。毒蜘蛛も好きです。でも先輩はもーっと好きです!』竹谷は筆に墨をたっぷりつけると、隣のページに返信を書く。『ありがとう。俺も孫兵好きです。孫兵は面白い後輩だと思います。俺は虫ではだんご虫が好きです。孫兵は、犬では何が好き?俺は、柴犬。▼・ェ・▼←三郎に教えてもらった犬の絵。』
そんなのんびりした時間をすごす竹谷の静寂は、ぴしゃーん!と鋭く開かれた障子によって壊された。障子を開いたのは三郎だった。竹谷が顔を上げると、三郎はにんまりと笑って、「ハチ、俺天才!今度買った春画大アタリッ!!」と両手でブイサインを作った。竹谷は嬉しそうに笑うと、満面の笑みで、上体を起こした。
「タイトルは!?」
「真夜中のくのいち乱舞~霞扇でうっふん~」
「や~らし!」
「とかいって竹谷くん、ほっぺたゆるんでるよ~。見たいんでしょ、見たいんでしょ~」
「鉢屋くんったらえっち~」
にやにやしながらふたりして鉢屋の持参した春画本を開いた。豊満な女房がくんずほぐれつしている絵がばばん!と思春期の少年たちの眼前に広がり、強い刺激を与える。
「おおっ!これは凄い・・・」
「だっしょ、だっしょ?このページとかマジ凄いんですよ先生、ほらっ!」
「うお~っ。これはやばいでしょ~おっぱい丸見えでねえの!」
きゃっきゃっ、と黄色い声を上げて喜ぶふたりの背後から、「秋の新作か」とクールな声がした。ふたりは、足音がなかったために、背後の気配に気づかなかったのであった。振り返ると、そこにはい組の優等生久々知がたっていた。彼は委員会の後そのまま風呂に入ったのか、寝巻き姿からほこほこ湯気を立たせてふたりの間から春画本を覗き込んでいた。
「見事に清純派の女房ばっかりだな。三郎、お前の趣味、ほんとわかりやすいよな」
「何で俺のってわかるのよ」
「ハチは巨乳のしか買わない」
「おっぱい好きで悪かったわねえ!」
久々知は風呂あがりの豆乳をごくごくと飲み干しながら、天井板をずらして中を探った。ほどなくして、ばらばらと何冊かの草紙が落ちてくる。それは、彼の所有の春画だった。
「俺もいいのがある」
「あっ、この間見せてもらったやつか、あれは凄い」
「兵助の好きなやつたいていお姉さん系だろ。俺年上興味ないもん」
舌を出す三郎の方を、竹谷が叩いた。
「いや、三郎、これは見といたほうがいいぞ。ほんと凄いから」
「なんなのよ~タイトルは何~?」
「”美女と蛸壷”」
「な・・・なんなんだ・・・シュールなのに異様に卑猥な妄想を書き立てるそのタイトルは・・・。さすが兵助・・・俺たちはお前のむっつりスケベに勝つことは出来ないのか・・・!?」
「ハチはなんか買ってないのか」
久々知に促され、竹谷は、「今食満先輩に貸しててさあ、」と頭を掻きながら、文机の裏に貼り付けてある本を取り出した。九々知と鉢屋が覗き込む。
「「・・・”おっぱいがいっぱい”」」
ふたりでタイトルを読み上げた後、顔を見合わせ、それから竹谷をふたりしてぎゅうっと抱きしめた。
「俺、ハチのそういうところ好きだよ!」
「よし、よし、ハチは一生そうでいてくれな」
「な、なんだよその生ぬるい感じはよ~!!」
竹谷がわめくと、三郎は竹谷の文机の裏を覗き込んだ。
「チッ、もうないか・・・」
「なに探してるんだよ」
「食満先輩から何か借りてないかと思って」
「借りてるけど、見せない」
「え、なに、やっぱロリコン系!?」
「鉢屋、仮にも俺の好きな人のことそんなふうにゆーな!」
ぷくう、と頬を膨らませた竹谷に睨まれて、鉢屋は素直にごめんと謝る。呆れた表情の久々知が、溜息をつくと、竹谷は、そんな彼を振り返って「斉藤さんはどうなんだ」と尋ねた。
「さあ」
「エロ本の貸し借りしねーの?」
「しない」
「猥談しねーの?」
「一回話振ったけど、にこにこ笑いながら、”兵助くんも若いってことか~。うふ、なんかかわいいねっ”って言われて終わった」
「大人だ・・・」
「そこで食い下がるなよ、もっと積極的に下トークぶちかましてこうぜ!」
熱く語る三郎に、久々知は冷静な表情を向ける。
「っていうかさ、そんなこといわれたら食うしかないだろ」
「は、何を?」
「本人を」
竹谷と鉢屋は黙り込み、顔を見合わせる。((男だ・・・))
「そういや三郎、雷蔵とはあんまり猥談しないよな」
「ばかっ!雷蔵はピュアな天使なんだよっ!煩悩にまみれた薄汚い野郎どもと一緒にするんじゃねえ!!」
三郎の言葉に、久々知と竹谷は白い目を向ける。雷蔵は、三郎の居ないところではわりとばんばん下ネタを飛ばしていくのだ。特に、彼が「AVの冒頭に必ずある女優のインタビューの部分は本当に心の底から不必要」と語るときの真剣な瞳は、聞く人を頷かせる強さを持っていると有名である。
三人でぎゃあぎゃあと話し合っていたら、ノックもなしに部屋の障子があいて、雷蔵が顔を覗かせた。
「三郎、もう寝よ~」
「あ、うん、寝るー」
「雷蔵、今エロ本見せ合ってたんだけど、お前もなんかお勧め持ってる?」
竹谷が尋ねた。三郎が、「雷蔵を汚すんじゃねええ!」と怒鳴りつける。雷蔵はしばしの逡巡の後、にっこりと微笑んで言った。
「エロ本より、実際の女の子が一番ってね」
それは後光が差すかのような清々しい、悟りきった笑みだった。久々知と竹谷は、自慰の後の、理性を取り戻してしまった、あの悟りをひらいた後のような心の平安を感じた。
「いやあああ!雷蔵の不潔ううう!俺だけって言ったじゃない、ばかあ!ばかあ!ばかあ!浮気しないよって俺を抱きしめて囁いてくれたのは嘘だったの!?もう誰も信じられないいいい!恋なんて、愛なんて、あああ!」と泣き喚いて伏せってしまう三郎を肩に抱えて、雷蔵は、「冗談だよ」とわらった。そうして、竹谷と久々知に手を振っていってしまう。
泣き喚く三郎があまりにうるさいものだから、雷蔵は、三郎の耳元で、
「こら、泣くのは僕とのベッドの中だけって約束だったろ、子猫ちゃん」と囁いて、三郎をうっとりさせた。そんな後姿を見て、久々知と竹谷はただただ拝むしかなかったという――。

すごいだろ、これでお礼って言い張るんだぜ・・・

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44巻感想文

44間読了。ずっとにやにやしながら読んでいたので、頬の筋肉が痛いったら・・・
そうだな・・・とりあえず何からいったらいいのか・・・はやく45巻が読みたい。
まさかの幸隆さまが・・・ああ・・・。最後の次巻予告にすべてもってかれた。
鉢雷可愛すぎる。食満先輩武闘派過ぎる武器怖すぎる。怪士丸可愛すぎる。鬼蜘蛛丸さん×カメ子でご飯十杯は軽くいける。鉢雷可愛すぎる。与ヱ門×キクラゲ城の若様に興味津々。鉢雷可愛すぎる。利吉さんかっこよすぎる。魚食べてる伊助可愛すぎる。鉢雷かわいry。鉢雷ry。はちry。はry

---------- キリトリ -----------

>>せんせい!ほんとだ!タイトル間違ってました!ありがとうせんせい!どうやらスガワラはよっぽど45巻が読みたかったらしいよ・・・

拍手お返事

拍手&コメントありがとうございます。相変わらずお返事返すの遅くてすみません。お返事不要の方、愛しています、コメントありがとうございます。愛しています(二回目)

>>mryan様
毎度コメントありがとうございます。相変わらずお仕事のほう忙しそうですが、その合間を縫ってユニークなコメントをしてくださってありがとうございます。更新、早いですか?楽しんでいただけているならよかったです。毎日更新できたらいいのですが、平日はスガワラも仕事から帰ってくるとバタンQで・・・ベッドの中で妄想→朝→出勤→ベッドの中でryの流れが多いのが悔しいところです。今後もmryan様に楽しんでいただくためにがんばりますよ~。

>>こちらのおかげで食竹にハマりました。~ の方
おー!同士様、おー!食竹の世界にようこそ!!(この表記、なんだかパンダみたいですね)面倒見のいいお兄さんコンビですよ、いつかぜったい保夫さんパロやりますよ!スガワラはやる気ですよ。だってエプロンですよ。お昼寝の時間に、竹谷先生が一緒にくかーって寝ちゃうんですよ。それ見て食満先生が仕方ねえなあって笑うんですよ。寝つきの悪い文次郎くんが、「食満せんせー、竹谷せんせーいっしょに寝ちゃったよ。起こさなくていいの?」って聞いたら、「そうだなあ、でも竹谷先生いまとっても幸せそうな夢見てるみたいだから寝かしといてやろうな」「あんぱんまんの夢見てるの?」「文次郎はあんぱんまんの夢見てると幸せなのかー」「うん」竹谷はくかーって気持ちよさそうな寝息立てながら、ときどきふにゃって笑う。それ見て食満は(ああ、こいつ、寝てるときまで笑うんだ)って一緒になってふにゃって笑う。夕方になって子どもたちが帰ってから、竹谷が、「俺、昼間、先生の夢見ちゃいました!あはは、」と笑うので、食満はそのときの竹谷のふにゃっていう、幸せいっぱいの寝顔を思い出して顔を真っ赤にする。――っていうところまで妄想しました。
広がれ食竹の輪!今後ともよろしくお願いします。

>>~孫平と竹谷の照れくさい関係にきゅんときました。 の方
竹谷女体化珍しいですか?!確かに、孫兵と比べたらあまり見ないかも・・・。でも、元気な女の子!って感じでなんか可愛いだろうなって思います。夏服の、シャツと紺のプリーツスカートでね、スポーツバッグもってね、スニーカーはいてね、「孫兵、おっはよ!」って後ろから背中バシン、てしてね、孫兵は私立の進学校通っててね、隣の友達が「え、誰、伊賀崎の彼女?」って目を丸くするのを、白い頬を赤く染めて拗ねたみたいに、「ん、近所の、先輩」っていうんだよね。わかります、孫兵の初恋のお姉ちゃんなんですよね、わかります。
一年の女体化も開眼したといっていただけて嬉しいです。女体化ばっかりの欲望暴走サイトですが、よろしければまた遊びに来てくださいね。

>>~次は長こへも楽しみにしてます!!
長こへ、本命過ぎて手が出しにくいです。俺・・・いつか絶対長こへ書ききってやるんだ・・・。長こへ、多そうだと思うのにいざ探すと全然取り合いサイト様に遭遇しないのはどういうわけなのか・・・やはり探し方が悪いのか・・・。小平太は本は読まないのに長次に会いに図書館通いしてたらいいと思うんだ。そんで、時々カウンターの向こうで仕事してる長次と目があって「にひひ~」って笑えばいいんだ。それ見てきり丸が(図書館でいちゃいちゃすんなよなあ)と呆れてればいいと思うんだ。
長こへもがんばって書きます!コメントありがとうございます。

>>~実は日参しております(笑)~ の方
ふおお、恐れ多いです、日参などと!嬉しいお言葉ありがとうございます。日参に耐えうる話が書けるようにがんばっていきたいと思います。こんな話読みたいっていうのありましたら、ぜひ教えてくださいね!

>>新作面白いです!~ の方
「好き好き大好き~」にコメントありがとうございます。ギャグにすると、三郎はどうしても雷蔵が好き過ぎるエキセントリックなキャラクターになってしまって、かっこいい三郎好きの方にはいささか申し訳ないのですが・・・。でも、そんな三郎にコメントいただけて嬉しかったです!新作も更新進めたいと思います。ありがとうございました。

>>ひとでなしの恋を読んで泣きました。~ の方
泣いた、なんて、もったいないようなコメントです。ありがとうございます。食満と竹谷はあれで終わると悲しいので、第二部以降に続きは考えてあります。幸せかどうかはわかりませんが・・・(´ `;)続きも早く書こうと思います。嬉しいお言葉ありがとうございました。

>>作法委員会へ向かったタカ丸が気になりすぎます!~ の方
綾タカフラグへの期待ありがとうございます!当然、綾タカです!くく→タカ←綾の激闘横恋慕を書きたくてしょうがないスガワラです。欲望に忠実なやつですみません。作法委員の怪しい雰囲気も早く書きたいです。作法委員の委員会室は、文次郎が足を踏み入れたときはその後三日三晩夏の熱病で苦しみ、食満はげんなりして戻ってきて、お供についていった富松は泣き伏してしまい、伊作は凍りつき、・・・そんな場所であることを願って止みません(タカ丸死亡フラグ)

>>~すきすきだいすきです~ の方
スガワラもすきすきだいすきですちょーあいしてます!コメントありがとうございます!くくタカと食満竹にもはまったとな!?にやにや、いらっしゃいませ、素敵CPワールドへ。くくタカはよいですぞ~。禁断の年下攻めだよ~。食満竹なんか、元気っこが優しいお兄さんにぱくっといただかれちゃうエロティックワールドだよ~。すいません、表現がキモかったですね、すいません。でも、はまっていただけて素直に嬉しいです。鉢雷も大好きなので増やして行きたいです。今後ともよろしくお付き合い願いたいです。

>>荘園すごく面白かったです!~ の方
なにやってんだこいつと白い目で見られそうで恥ずかしかったのですが、消さなくていいといっていただけて嬉しかったです。実は五年生全員ぶん考えてあったのだという馬鹿な裏話を今なら言ってもいいだろうか・・・。
ドキドキもののネタだったので、好意的なコメントをいただけてほんとに嬉しかったです!ありがとうございました。

>>小平太の話、とても素敵です! の方
ありがとうございます!小平太の話、少なくて恐縮です。もっともっと増やしていきたいと思います。コメントありがとうございました。

>>謝るんかいな! の方
な、ナイス突っ込み・・・!コメント読んだ瞬間吹きました。スガワラの得意の忍術は「スライディング土下座の術」なので、今後もこの必殺技を駆使していきたいと思っている。すみません!

>>雪子様
たくさんコメント書いてくださってありがとうございます、とっても嬉しいです!うちの久々知のことも「男前」などと表現していただいて・・・「むっつりスケベ」といわれなくて何よりです。(実はいつこうやって指摘されるかとひやひやしていました)久々知をいかに書くかに結構がんばりを注いでいるので、ほんとうに嬉しい表現でした。
モデル体験のお話も、いつかきちんとした文で書きたいなあ。雪子様のコメント見てそう思いました。ある日こっそり増えていたら、ああ、やらかしたか・・・と苦笑いしてやってください。また読みにきてくださると嬉しいです。ありがとうございました。

予期せぬ雪の日

五年ろ組トリオって、らんきりしんに負けず劣らずすごくかわいい!のではないか、ということを言いたかった。

なんとなく一年時のお遣いを思い浮かべて書いた。

---------- キリトリ -----------

昼過ぎに降り出した雨は、夕刻にはすっかり雪に変わった。びょおびょおと吹き付けてくる吹雪を、鼻先まですっぽり覆うようにして深く巻いた頭巾でなんとかやり過ごそうとしても、季節の変わり目でひどい風邪をひいた三郎の身体は、遠慮無しに苦痛を訴えた。三郎は体力はあるものの風邪を引きやすい体質で、冬にも夏にも弱かった。頭巾の下でげほげほとくぐもった咳をしていると、気付かれないように遠慮がちにやっていたそれを耳聡く聞きつけて、竹谷が駆け寄ってきた。
「辛いのか?」
「や、全然大丈夫」
言ったそばから言葉尻に咳がこぼれて、気まずいったらない。竹谷は不安に眉根を寄せると、黙って己の身を包んでいた大判の上着を剥ぎ取ると、三郎の頭を覆うようにしてすっぽり被せた。
「え、ちょっと、何?何やってんの??」
「それ貸してやるよ。ちょっとは暖かくならねーかな?」
「いや、いいよ。そう変わんないし。ハチが着てろって」
三郎がショールを脱ごうとするのを、竹谷が力任せに腕を掴んでとめる。
「いかーん!」
「ええっ?」
「暖かくしなきゃ駄目だ!風邪がひどくなるぞ!それでもいいのか!?」
「えっ、いや…」
返答に困り、竹谷のいつになく押しの強い行動にも気圧されして、つい対応がしどろもどろになる。困ったように後ろをついてきていた雷蔵に視線をやれば、雷蔵は白い息を吐きながら、竹谷と同じように重ねてはおっていた上着のうちの一枚を脱いで、無造作に三郎に押し付ける。
「いや、いいってば。雷蔵が着てればいいから」
「別に、僕寒くないもの」
「とかいって、ついこの間まで雪が降るごとに防寒具買い足してたの誰?」
「知らない!」
雷蔵は三郎の背中に上着を重ねると、三郎を通り越して先を歩く。竹谷が微笑んで、彼の肩を叩いた。
「一日一善!」
右手の親指を突き立ててGJ!のサインをつくれば、雷蔵も頬もとをほころばせて同じサインを返す。
「なにふたりで結託してんの…」
「おれら秘密の同盟結んだんだ」
なー。と竹谷が首を傾げて隣に立つ少年に微笑みかければ、彼も微かな笑みを浮かべて二、三度首を縦に振る。三郎は呆れ果てた。
「なに、何の同盟?」
「えー、そんなの内緒だよな」
「三郎には秘密の同盟だよー」
「お遣いが終わったら町で暖かい飴湯奢る。俺、美味いとこ見つけたんだ」
三郎の懐柔に、ふたりはまんまと引っかかった。竹谷と雷蔵は顔を見合わせると、(どうする…?)(名前くらいならいいよな?)(うん。だって、飴湯だもんね、ハチ)(そうだな。今日みたいな寒い日は飴湯が美味いもんな)ごそごそと小声で相談を始める。吹雪の中でもふたりの談合ははっきりと聞こえてくるのだが、三郎は遠い目をして待った。やがて結論がついたのか、ふたりは同時に三郎を振り返ると、
「三郎を守ろう同盟」
「うん」
竹谷が口を開き、雷蔵が神妙に頷く。
「同盟の趣旨は、病弱な三郎が楽しく快適なお遣いができるように俺らでケアしてやることで、」
「病人には気を使ってあげなくちゃ」
「健康なものの務めだよな」
「うん」
三郎は目を点にして、それから、がっくりと肩を落とした。忍び装束に隠し持っている暗器が、バランスを失ってぼとぼとと真っ白な雪の上に落ちていく。
「どうしたんだ、三郎、身体辛いのか?」
「おぶってってあげようか?」
親切だがその方向性の間違っているクラスメイトとたちからそんな気を使われて、三郎は脱力したことこの上ない。努めて早く元気になろうと決めた。掛けられた上着たちも、果ては自分の分のそれらまで剥ぎ取ると、ふたりに着せていく。
「これで良し!」
「俺らが暖まってどうするんだ!」
「そーだよ、ぬくぬくしちゃってるよ!」
「これでいいの!お前らに気を使われるのがどれだけ屈辱的か…!」
「屈辱的?なんで?」
「わかんない」
ふたりを追い抜いて背中を見せた三郎の背後で、ふたりののんびりした会話が聞こえる。三郎はさきほどより薄着になった身体を挑むように外界にさらして、大股で北へと歩みを再会する。雪の下では埋まった花の固い蕾が遠い春の気配に震えて、殻を割ろうとしている。

すっきりマンゴー

あ、「荘園(そうえん)」ってこれ笑いどころなんで、よろしくおねがいします。

三郎で炭酸ジュースのCM

学校の階段の踊り場。久々知とふたりして気だるげにしゃがみ込みながらダベっている。視線は上。真剣な表情で見上げている。女子の甲高い笑い声。(パンツを見ている)
「でさ、今度の模試の判定がな、」
「あー、うん」
「聞いてる?」
「あ、」
三郎の短い声に、久々知も顔を上げる。
「見えた」
「水色な」

緑の続く畦道を、竹谷と二人乗り。竹谷が必死で漕いでいる。三郎は、荷台で器用にバランスを取りながら応援。
「わーっやべえって、ハチ、前、前っ、!」
「ふんぬ~っ」
「わははは」
ふらふらと去っていく自転車を後ろからカメラが追う。
「わあああ!」
「うわあ!」
三郎と竹谷の悲鳴。(自転車が横転する)カメラ、青空を映す。

夕焼け空をバックに、三郎の横顔。真剣。低く掠れた声で、呟くように。となりに女優。
「誰も俺をわかってくれない」

ナレ「ハジケろ夏へ!すっきりマンゴー、出た!」
青空をバックに、マンゴーと商品のアップ。BGMストップ。

「なんちゃって!」
ヒロインのほうを振り返って、三郎、ふざけた決めポーズに変顔。

---------- キリトリ -----------

やりたくてやった。後悔はしていない。だけど謝る。ごめんなさい。

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