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よいこわるいこふつうのこ

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お前が世界を壊したいなら

18禁で三郎がちょっと病んでるというか、DV気味なので注意。


轡を噛まされているため口を閉じることができず、さらに息も吐けぬほど腰を突かれて、飲み込めないままの涎が溢れては顎を滴った。たぶん、泣いていると思う。手首を拘束された状態では触れて確かめることは叶わないが、瞳を覆う布地がしとどに濡れて時々頬にハッとするような冷たさを知らしめる。こんなふうに人間性などまるで無視して、まるで抱き人形か何かのように加虐的に抱かれることは初めてではない。だから雷蔵は、抗っても無駄なことを知っている。嵐に巻き込まれてしまったら、ただ黙ってできるだけ従順になって暴虐がおさまるのを待つだけだ。
何度目かの精を、体内に叩き付けるように吐き出されて、雷蔵の身体が陸に打ち上げられた魚のように大きく跳ねた。
「なあ、雷蔵、どんな気分だい」
三郎の声は酷く暗かった。雷蔵は声さえ出せたならば、今すぐにでも「最低の気分だよ」と罵るように吐き捨ててやりたかった。それはきっととてもとても三郎を喜ばせただろう。しかし、三郎は決して雷蔵の轡を取ろうとはせず、結局雷蔵はヒイヒイと赤ん坊の泣き声のように咽喉を鳴らして、零れる涎を少し啜った。
「どんな気分がする。痛いかい、苦しいかい、どうして自分がって思うかい。俺のことを殺してやりたいと思うかい。なあ、きっと、お前は俺を憎くて憎くてたまらなくなったことだろう。殺してやりたいと思っているだろう」
雷蔵は目隠しさえなければなあ、と思った。自分は今、きっと泣いている。今でさえ目尻から冷たい雫が溢れて伝うのがわかる。だけどこれは、生理的な涙だ。感情はとても平静で、辛くも悲しくもない。きっと本当に泣いているのは三郎のほうだ。そう考えると雷蔵は、怒りとか憎しみだとかいう感情がいったいどんなものだったかまるで思い出せないような心地さえするのだった。三郎は本当の怒りとか、本当の悲しみとか、喜びだとか、すべての自身の真実から誰をも遠ざけようとする。雷蔵は三郎の涙も怒声も笑顔も、本当のものは何ひとつ見たことがなかった。三郎は涙を流すとき、怒るときはいつだって涙が見えないように雷蔵の瞳を闇で覆った。嗚咽が聞こえないように耳を塞いだ。涙を拭わせないように腕を縛った。慰めを言わせないように轡を噛ませた。そんな状態にして、ようやく雷蔵を己の傍らに転がして好きなようにした。わざと乱暴にした。何もかもを封じられた雷蔵に出来ることは、ただ三郎が望むとおりに啼いて悶えて恥も埃をも打ち捨ててせいぜい狂ってやることだけだった。
唐突に楔を引き抜いた三郎は、雷蔵の身体をひっくり返すと、獣の体勢をとらせて後ろから伸し掛かった。背中で手首を縛られている雷蔵は肘で体を支えることもできず、シーツに頬を埋めて、三郎が繰り返し与える衝撃を苦しい体勢で受け止めるより他にない。
「んっ、んっんっ・・・!」
喘ぎはほとんど呻き声に近かった。三郎が乱暴に腰を打ちつけてくるのを、呼吸を合わせて何とか受け入れる。より深奥まで探っていこうとするのを、腰を少し高く上げることで手伝った。三郎が雷蔵の髪を掴んで無理に顔を上げさせた。仰け反る咽喉にかたちのいい指を添えて、強く締めるように力を込める。呼吸が乱され、もがくのを、三郎は笑いながら眺めているらしい。背中越しに愉しそうな忍び笑いが聴こえてきて、雷蔵も楽しくなった。そのまま意識を失う寸でのところで三郎は指を離し、また腰を揺らし始めた。雷蔵は落ちて行くところを無理に快楽の渦の中に引き戻されて随分辛い思いをしたが、三郎にあわせて自分から腰を振った。三郎はそのことに気がつくとまるで手柄でも取ったかのように大喜びし、
「この変態めが」
と雷蔵を罵った。
「嫌だ嫌だといいつつ自分から尻を振っていやがる。男の俺に犯されるのがそんなに気持ちがいいか、馬鹿め。お前の本性は淫乱だ」
なんとまあ安っぽい台詞を。雷蔵は内心で苦笑してしまう。いかにも三文小説にありそうな台詞ではないか。気持ちがいいから自分から尻を振ったのだ、間違いないよと言ってやりたい。嫌だなどといつ誰が本心から言ったのだ。お前が喜ぶからわざと言ってやったのではないか。可哀想な三郎。お前のことを嫌いなどと誰も言ってはいないのに、自分で勝手に嫌われていると思い込んで、こんなふうにしか僕を愛せない。抱きしめて愛しているよと微笑んでやったら、どんな顔をするだろう。
いや、きっと三郎は自分の気持ちなど聞き入れはしまい。
ふざけるなと怒鳴り散らして雷蔵を撃つだろう。俺を馬鹿にするのも大概にしろよと蹴り飛ばすだろう。どうして愛しているということを信じてくれないのだろう。愛されるわけがないと信じきっていたら、誰かが愛を向けていたって、それを受け入れることは出来ない。そんな人間は、一生愛など手に入れるはずがないではないか。可哀想なのはこちらのほうだ。いくら愛しているのだといっても聞き入れてもらえないなら、それはもう叶うことのない永遠の片思いだろう。馬鹿らしい、自分は報われない恋をしている。
ふいに三郎が雷蔵の轡を外した。口の中に溢れかえっていた涎を、雷蔵は慌てて飲み込む。その間にも乱暴なピストン運動は続けられ、雷蔵はせいぜい哀れっぽく喘いでやった。
「ああんッ・・・あッ、あッ」
「女みたいな鳴き方をするな、気持ち悪いやつだな」
嫌悪に満ちた三郎の言葉が落とされた。だから雷蔵は下唇を噛んで嗚咽を殺す。女みたいだと、馬鹿にしやがって。僕が女だったらとっくに既成事実でも作って、無理にでも君を離しはしないんだがな。尻がぐじゅぐじゅと濡れた音を響かせていた。三郎が吐き出したものでいっぱいになったところが、乱暴に擦られて、泡だっているのだろう。惨めだな、汚らしいな、雷蔵は思う。どこまで落ちてしまえば、君は僕を認めてくれるだろうか。これくらいの汚れ方じゃまだまだ足りないかい、君には届かないかい。
三郎が律動を早くした。限界が近いのだな、引き摺られるように快楽に巻き込まれながら、雷蔵は自分も我を忘れたように腰を振る。腹の中にある三郎のものが一際ふくれたような気がした。
「あ・・・深ッ・・・」
雷蔵があまりの快楽にシーツに顔を擦り付けて犬のようにする。
三郎はその時、ふいに耐え切れないような心地がして、手首を拘束していた縄紐も、目隠しも全部取っ払ってしまった。これだけのことをしても驚いたように三郎を見上げてくる雷蔵の水晶体は美しく、綺麗なもの以外はきっと映さないように出来ているのだろうと思わざるを得なかった。そのことがなんともやるせなく、三郎は、いっそこの場で雷蔵を殺めてしまいたいと思った。彼の最期に見るものが、自分であったなら。恐怖でもいい、彼の網膜に、自分の姿が焼き付いてくれたならば。そのときこそ初めて自分は雷蔵に見詰められたことになるのだろう。
「三郎・・・」
雷蔵は何ごとかを言おうとしたようだったが、三郎は口を塞ぐ代わりに激しく腰を打ちつけることで言葉を奪った。
「あ、あ、ああああッ」
自由になった雷蔵の指がシーツを絞るように掴む。肘で身体を支えて、深く深く三郎を飲み込む。
「ああ、三郎、欲しいッ」
雷蔵の懇願はほとんど泣き声に近かった。
「君が欲しいよ、三郎ッ・・・。な、中に・・・ッ」
お願い、とまでは聞き取れたがそれから先は三郎ももう聞いていなかった。雷蔵の腰を抱いて、ぶつけるように彼の尻に己の腰を打ち付け、最後まで吐き尽くすようにして大量の精を流し込んだ。雷蔵の身体がびくんびくんと跳ね、やがて静まった。はあ、と雷蔵が大きな息を吐いたのを聞き届けて、三郎は彼の体内からずるりと楔を引き抜いた。途端に、どろりと白い液体が零れて真白のシーツを汚した。
三郎が荒い息を吐いている雷蔵の傍に横たわって、ぼんやり雷蔵を見詰めた。腕を伸ばして、咳き込む彼の背中を撫でる。
「機嫌は直ったみたいだね」
雷蔵がうっすらと微笑んで、三郎の額に接吻を落とした。
「ごめん雷蔵、酷くした」
ぽつりと三郎が呟いた。酷く疲れた声音だった。雷蔵は苦しいのを我慢して微笑んだ。
「いいんだよ、三郎」
ときどき、激情に駆られて理性を忘れるのだ。それは大概、任務で手を汚した後が多かった。どす黒いものが胸の中で渦巻いて、理性は闇に食われて消える。どろどろのコールタールの塊のようになった自分は、目の前で微笑んでくれるたった一人の人を思い切り抱き締めて汚して踏みにじってやりたいと思う。徹底的に嫌われるまで苛め抜いて、けれどその果てに、「愛しているよ三郎何も心配は要らないお前には僕がいるからね」と母のように抱き締めてもらいたいのだ。どうしようもない我が侭だ。
(俺は化け物か)
三郎は時々思わないではいられない。雷蔵のことは誰より好きだ。それは真実のはずなのに、どうしてこんなに傷つけたがるのだろう。
「雷蔵、お前、早く逃げろよ。俺がお前のこと殺しちゃう前にさ、お前だけは早くお逃げ」
そのまま瞳を閉じてすうすうと寝入ってしまう。人のかたちをした獣を、雷蔵はそっと抱き締めると、ほっと息をついて己も眠った。
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