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ラーメン食べたい

現パロでやってみる、ラーメンオムニバス。


「あ、」
と先ほどから窓の外に顔を出したままの喜三太が小さく声をあげた。金吾は青に変わり始めた信号機を前に並ぶ車の3台向こうに認めて、やれやれようやく動き出しそうだと息を吐いたところだった。
「金吾、ラーメン屋さんがあるよ」
「うん?」
のろのろと車を発進させる。金吾が指差した方向へ視線を滑らせれば、それは反対車線の向こう側にたつ、出来たばかりのチェーン店だった。今日は久しぶりのデートだ。仕事で忙しくメールのやりとりすらままならない金吾にすっかり臍を曲げた喜三太のご機嫌取りに、今日は彼をテーマパークに連れ出した。その、途中でのことである。三連休の初日。渋滞に嵌って動けない車内で、喜三太はのんびりとした声をあげる。
「金吾、ねー、ラーメン屋さんだよ」
「食べたいの?」
急な行き先変更は、面倒くさい。そんなことも知らぬ気に、喜三太は「おなかすいたよう」と情けない声をあげる。金吾はやれやれと肩を竦めて、苦笑した。
「いいよ、行こっか、ラーメン屋。喜三太はなに食べたい?」
「えっとねー、しょーゆラーメン!」



ずぞぞー、と豪快に麺を啜ってはもぎゅもぎゅと頬を動かす兵太夫を、ハムスターみたいだと三冶郎は小さく笑う。もぎゅもぎゅ、ごっくん。飲み込んで、兵太夫は眉を顰める。
「あんま美味くないね、ここ。スープが温い」
「そうかな、僕は猫舌だからちょうどいいよ」
にこにこと微笑む三冶郎に兵太夫は不愉快気な表情のまま首を傾げる。
「三冶郎はここ、美味いと思うの?」
「うん、おいしい」
「まあ、それならいいんだけどさ」
三冶郎の笑顔に兵太夫は唇を尖らせ、また、ずぞぞーとラーメンを啜る。
「兵太夫がいるから美味しいのかな。この後どこ行こうねえ、」
三冶朗の言葉に頬を少しだけ赤らめて、兵太夫は乱暴にラーメン鉢をテーブルに置く。
「いーよ、どこでも。三冶朗の好きなとこで!」


国道沿いに出来たラーメン屋がすごく美味しいんだって、庄ちゃん、晩ご飯そこにしよっか。ゴウンゴウンと洗濯機をまわしながらぶうぶうと掃除機をかける伊助が、片手間にメールを確認しながら声をあげた。家電たちが悲鳴をあげてフル活動している中で、庄左ヱ門もまた、最近とみに落ちてきた視力を仕事のときだけかける眼鏡で補いながら、パソコンを見詰めている。
「え、何?」
「昼ごはんラーメンでどーお?」
カタカタカタ・・・と打ちっぱなしだったキーボード音が、その時止んだ。庄左ヱ門が背後の伊助を振り向く。
「伊助、ラーメンは伊助がめんどくさいからやめておこう、昼は外食にしよう」
伊助が掃除機を止めて庄左ヱ門を笑った。
「違うよ、庄ちゃん、僕今ラーメンを外に食べに行こうって言ったの。手作りのほうがよかった?それなら今からラーメンの具材買って来るけど」
これには庄左ヱ門の頬が赤くなる。
「あ・・・ごめん、話半分に聞いてたみたい」
「いいよ、気にしないで。お仕事進んでる?」
「ん、もーちょっとで一段落つきそうだ。伊助、ごめんな、せっかくの休日に家事押し付けちゃって」
「これは僕が好きでやってんの」
歯を見せて悪戯気に笑うと、伊助はエプロンを外して、肩をぐるんと回した。
「食べにいこっか、庄ちゃん」
「だな。伊助、寒いからコートはおってかなきゃだめだよ」
「庄ちゃんのダウンジャケットもって来るからちょっと待ってて」
どたばたと駆け出していく伊助の足音に庄左ヱ門はほっと溜息をついた。


数珠繋ぎでやろうとしましたが、ここでおしまい。
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