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雪が降ればいい

連載は小休止です。

玉三郎と九丁目。
現パロ。昭和の匂いがする。


理性なんかもう何処かへ吹っ飛んじゃってただ擦れる感覚が気持ちがよくてがっつんがっつん腰を使っていたら、いつの間にか俺の下で九丁目は伸びていた。しまったな、やってしまった、ああもうおれってやつはと頭を抱えたいほど深く反省したが、快楽をそのままにすることも出来ずに、とりあえずそのまま腰を使って上り詰めてから楔を引き抜いて、俺はとりあえず九丁目の身体を拭くと上から布団を被せた。
こんなことももう三度目だ。
散らかった部屋の真ん中にむくりと置きあがって、テーブルの上の飲み残しの缶ビールをあおる。冬とはいえ、すっかり温くなったそれはお世辞にもうまいとはいえず、俺は近くに散らばっていたさきいかを齧りながら、何度も新しいものを冷蔵庫から出してこようと考えたが、そのたびに後で買いにいかなくちゃならなくなることを思ってうだうだと我慢をして過ごした。すっかり意識を手放してしまった九丁目の寝顔をぼんやりと見ていたら、頬に涙の跡が残っているのに気付き、ああそういえばこいつを抱こうとしたとき嫌だ嫌だと繰り返されたっけかと何とはなしに思い出した。俺は酒が入ると誰を抱いてるんだかよくわからんようになるので、よくめちゃくちゃをやって、それでこいつは嫌がる。今日は夕方から電車に乗って隣町にあるデパートへいき、子どもたちのプレゼントを買ってくるのだと張り切っていた。何かってやるつもりなんだと尋ねたら、さあまだ決めていないけれどゴジラの人形はどうかなあなどとわくわくして言うもんで、俺は何でだか可哀想になっちまって、今の子どもはマセてるからよ、んなもんじゃよろこばねーよ、よしとけよしとけ、と言った。九丁目は子どもたちにプレゼントを買う金があったら酒でも買おうぜといわれているとでも思ったんだろうか、嫌な顔をして、それっきり黙った。別段俺はそんなことを言いたいわけではなかったが、ただ、俺もこいつのセンスもお世辞にもいいといえねえことはしっているし、だいたい、子どもたちっていうのが凄いんだ。豪商の息子がいるかと思いや、銭のことしか考えてない守銭奴はいるし、あとひとりはまあ、貧乏性っぽいから俺たちと感性は似てるかも知れねえが。俺たちの親切が、子どもたちの喜びにそのまま繋がるとも思わない。九丁目がわくわくしてやったことが、結果不発に終わってしまうのは、辛いことだなあとそう思ったのだ。
ビールを飲み干して、冷蔵庫を空けたら一缶も残っていなくて、俺は溜息をついてジャンパーを羽織った。近所のコンビニに行こうともそもそ立ち上がる。九丁目を見たら、すうすうと寝息を立てていたので、そのまま放っておくことに決めた。
靴下の上にサンダル履き、トレーナーの上にジャンパー。俺もきちんとすればそれなりのいい男のはずなんだが、こんな格好でふらふらイルミネーションの下を歩けるまでになっちまってるんだから草臥れてる。身奇麗にして、ナンパでもしてみようかとふと思う。多分、成功するだろう。そうしてロマンチックな一夜を名前を覚えることもしない女としっぽり過ごすのだろう。
(…めんどくせえなあ)
こんなことを考えてしまうのだから、年の瀬だからって浮かれるはずもなかった。駅前の大通りを行っていたら、「やい、玉三郎」と声がして、振り返ったら見知った坊主がミニスカートを履いてブルセラのポケットティッシュを配っていた。
「きり丸か、おめえなにやってんだクリスマスに」
「バイト」
「明日九丁目と食事行くんじゃなかったか」
「おう、明日は稼げねーから今日働いてんだよ」
つくづく見上げた根性だ。生きるために恥も外聞も捨てた守銭奴が尋ねる。「玉三郎はなにやってんだ」
「酒買いに行くとこだよ」
「さっきまで何やってたんだ」
「ああ、適当だよ、適当」
「まァた九ちゃん泣かしてんじゃねーのォ、ほんとサイテーだな、おっさん」
「うるせーよ、ガキが」
言い合っていたが、俺の後ろをでれでれと鼻の下伸ばしきったじーさんが通った途端、きり丸はにっこり笑って裏声で「どうぞお」とティッシュを配り始めたので、俺は白けた思いでそこを退いた。


コンビニでビールを買うついでに、250円のショートケーキを買って部屋に戻った。そうしたら九丁目は消えていて、財布もなくなっていたので、俺はしまった逃げられたと思って、アパートの外に出た。ジャンパーを羽織ってこなかったので寒い。しかし、取りの戻るのも今更だし、自販機で缶コーヒーを買ってちびちび飲みながら公園までふらふら歩いた。真っ暗な闇のなかには、誰もいない。星は結構綺麗に見える。ただ、俺はそっち方面の情緒は特にないから、あー、星がでてら、で終わる。公園からでてまたとぼとぼ歩いていたら、背中で九丁目の声がした。
「玉三郎さん、どうしたんです?」
「お前どこ行ってたのよ」
「あ、お酒きれてたみたいなんで買ってきましたよ。寒くないですか、」
「寒いよ」
俺は飲みかけのコーヒーを手渡す。
「おら、これやるよ」
「ありがとうございます」
「プレゼント買いにいけなかったな、夜になっちまってな」
「ああ、朝仕事行く前に近所のコンビにで菓子袋でも買ってきます。あの、靴下に入ったやつ」
「ああ、うん」
俺は寒気で緩くなった鼻をススンと啜り上げて、九丁目のぶら下げているコンビニのポリ袋を取り上げる。冷たい缶ビールの重みが、指に食い込んで痛い。
「家にケーキ買ってあるぜ」
「え、凄いですね。紅茶とか買ってこればよかったなあ」
「自販で買えばいいや」
しみったれたクリスマスだけれども、気まぐれのような心で、祈る。神様、俺は今日はこいつに優しくしたいです。優しくさせてやってください。何にも出来ないし、特に喜ぶようなことも思いつかない、金もねえけど、とりあえず、家に帰ったらキスをしよう。額に、頬に、触れるだけの優しいキスを。
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恋は夕暮れ

拍手ありがとうございます!「耳をすませば」に、なんか似たようなシーンがあったような気がする。


現パロ、女体化。


「えっ、そんな、俺困るよ!」
伊助は、虎若はきっと喜ぶと思って差し出した手紙を困惑気に拒否されて、瞳を瞬かせた。ラブレターだなんていまどき古風だけれど、その古風がきっと虎若にはたまらないだろうって、女子みんなで話し合って三治朗に書かせたものだ。今回の三治朗の告白に一番積極的に協力したのは伊助で、彼女は小学校から特別仲がよかった虎若の好みを積極的に教えたし、この手紙のためにわざわざ一番可愛いレターセットも買ってきた。そのレターセットはいつだったかに伊助が虎若への手紙を書くのに使ったもので(誕生日プレゼントにつけた手紙だったろうか、はっきりとしたことは覚えてない)、カントリーの落ち着いた風合いのもので、虎若が「品がいいね」と褒めたものだ。虎若が気に入ってた柄だよって三治朗に手渡したら、三治郎は、なぜだろう、少し困ったような顔で、「私が出しても同じように気に入ってくれるかな」などというから、伊助は小首を傾げて、「こういう柄に、三治朗の字ってすごく合うと思うよ。気に入らなかったら、もちろん、使う必要はないんだけど」伊助が遠慮を始めたら、三治郎は慌てて「ううん、使う、ありがとう」と笑ってそれを受け取った。
自分で手渡すのはどうしても嫌だと言ったから、机の引き出しに入れる法を兵太夫が提案したら、なぜだか「伊助が渡してきて!」と頼まれた。断ったのに、三治朗にしては頑固に頼んでくるから、どうしても断りきらなくて、仕方無しに頷いた。三治郎は可憐っていう言葉がよく似合う。優しいし、可愛らしいし、虎若にお似合いだ。きっと上手く行くと思ってたのに、虎若は困った顔している。
「それ、三治朗からのものなんだろう?」
「うん。三治朗が勇気を出して書いたんだよ。三治朗、ずっと虎若が好きだったんだって。優しいし、努力家だし、かっこいいしって。三治朗、見る目あるよ。私虎若の一番の友達だから、虎若には幸せでいて欲しいんだよね」
「だから三治朗、なんだ…?」
虎若は途方に暮れている。「悪いけど、俺、それ受け取れない。三治朗には悪いけど」
こんな展開考えていなかった。伊助は顔を青くする。三治朗になんて言ったらいいんだろう!
「だ、駄目だよ虎若!受け取らなきゃ駄目!三治朗がかわいそう!」
虎若の学生服の胸にぎゅうぎゅうと手紙を押し付ける。虎若は決してそれを受け取ろうととしない。
「好きでもないのに受け取るほうが卑怯で残酷だよ。とにかく、俺はそれは受け取れない。ごめん」
深く頭を下げられて、伊助のほうが困惑してしまう。
「どうして。三治朗って優しくてすごくいい子だよ。可愛いし、お似合いだと思うのに」
しょんぼりした伊助に、虎若は絞り出すような声で告げる。
「うん、三治郎はすごく可愛いよ。いいやつだし、俺も大好きだよ。でも俺、もっと可愛いと思う子がいるんだ。すごく好きで、幸せにしてあげたいなあって思う子がいるんだ」
「誰かきいてもいい?」
迷子のような気持ちで尋ねたら、虎若は口を開きかけて、だがどんな言葉を吐くより先に「…駄目だ、今は言わない」と視線を逸らした。
「なんで?」
神社の境内は、周囲の木々が陰になって、ひどく冷える。伊助はぶるりと身震いした。ぽとり、と言の葉が足元に落とされる。
「きっと伊助は困るから」


伊助が虎若を追いかけて教室をでてすぐ、兵太夫はきっと上手くいくよと両手ピースで笑ってくれた。三治郎はそれに微笑み返して、「ううん、絶対上手くいかないよ」とわざと軽く返した。兵太夫が眉を潜める。三治郎はもう一度微笑みかけた。
「虎若が好きなのは伊助だもん」
「は!?」
兵太夫の葡萄みたいに大きな目が見開かれる。あんぐりと大きく空けた口が、面白い。それに笑おうとして、三治郎は口元を釣り上げたが、なんだか頬の筋肉が引き攣って歪んでしまった。覚悟ならとっくの昔に決めたはずだが、引き摺らせてもらうなら、辛いものはやっぱり辛い。
「やだなあ、兵ちゃん、私虎若のこと本気だったんだよ。ずっと見てたんだもん、わかるよ」
「知ってて、伊助に自分のラブレター預けたの?」
「ラブレターじゃないよ、中身。伊助が好きなのに私からラブレター貰ったら、虎若が困っちゃうじゃない。くだらないことかいて終わらせちゃった。今頃虎若がいーちゃんに告白して、は組からカップルが誕生してる頃かもね」
兵太夫のかたちのいい眉がへにゃり、と奇妙に歪む。泣きそうな表情になった。
「虎若サイテー。伊助もサイテー」
「兵ちゃん、いくら兵ちゃんでも私の大切な友達ふたりをひどく言ったら絶交だからね」
ぼろ、と兵太夫の瞳から大粒の涙が零れた。ひくっ、と咽喉が鳴る。
「ばか、さんじろー!なんで私を泣かせるの!?今日睫プルーフじゃないのに、化粧はげたら三治朗のせいだからね」
「うん、ごめんね」
三治朗が笑っている。ばかだ、ばか。誰が馬鹿なのかは兵太夫にもわからない。誰も馬鹿じゃない、だから、こんなにもどかしくてどうしようもなく悲しい。なんでだ、みんながちょっとだけ幸せになりたいと思ってるだけなのに、何でこうなっちゃうかなあ?世の中って上手くいかない。ばかやろうは世の中だ。こんなふうに仕組んだ神様かなんかだ。ばかやろう、ばかやろう。
「コンビニ寄って馬鹿買いしよ。今日はさんじろーんチ泊まりにいく。一晩中美味いもん食って好きな音楽聴いて面白い映画見て楽しい話して、そんで忘れよ」
「うん。うん、そうだね」
すん、と三治朗の鼻が鳴るのを、兵太夫は聴こえないふりをして夕陽にきらきら輝く川面だけをにらんでずっと歩いた。前へ、前へ。

***

やべ、女体化楽しい。

きらきら

女体化現パロ。


兵太夫に選んでもらった服は、とにかくスカート丈が短くて、伊助はどうにも居た堪れない気持ちで庄左ヱ門を待っていた。
(コンセプトは”ミニスカートでドキドキ!庄左ヱ門☆抹☆殺☆大☆作☆戦”といったところかな!)
(兵ちゃん、抹殺じゃなくて悩殺ね、悩殺。殺してどうするの)
伊助がスカートを履いて試着室から出てきたときの、兵太夫と三治朗のはしゃぎっぷりといったらなかった。ぎゃー似合う!印象変わる!可愛い!抱き締めたい!だの何だの散々言って、全く、居た堪れないといったらありゃしない。ショーウインドに全身を映してみて、伊助は溜息をつく。やっぱりなんだか変、な、気がする。べつにスカートを履くのは初めてではない。だけど、こんなに短くて大胆に女の子らしいのは初めてだ。甘口コーデには辛口アイテムで攻めなきゃねー基本よねーなどといわれても何がなにやらさっぱり。とりあえず言われるがままにブーツを履かされバッグを持たされ、髪を弄られ、メイクを施され。もともとがくせのない地味顔なだけに、ここまで飾られると自分でもこれが誰だかわからない。
だいたい、いきなり着飾って現われても庄左ヱ門はびっくりするだけだろう。先日買い物途中に偶然会ったが、そのときはセーラー服の上にエプロンをつけて、腕から大根を吊り下げたまま秋刀魚を選んでいるという最低のシチュエーションだった。オバサン高校生といわれても何も反論が出来ない。
(もっと普段から気を使うべき?でもミニスカートに髪を巻いてネギ買ってる姿というのもなあ…)
ショーウインドウに映った自分の表情が完全に怯えきっていてなにやら可哀想になってしまった。にっこりと微笑んだら、その笑顔がすでに引き攣っている。恥ずかしい、居た堪れない。「誰」とか言われたらショック死する、かも、しれない。
そわそわもじもじしながら地下鉄の出入り口付近でぼんやりと立ち尽くしていたら、肩を叩かれてびっくりした。
「うわあ!?」
振り返ったら、虎若と金吾がにこにこ笑顔を浮かべて立っていた。
「伊助、偶然だな!」
身をちぢこませて、こくこくと頷く。金吾は品のいいストライプの細身のパンツにジャケットという組み合わせで、正統派美青年という出で立ちだった。授業のときにしかかけない眼鏡をかけている。伊助は首を傾げた。
「ふたりで出かけてたの?」
「ああ、土井センセーの課題片付けてきたとこ」
「あー、そっかあ!あれ面倒くさかったよねえ、私も庄ちゃんに聞きまくってようやくなんとか完成した感じ」
「あはは、俺たちも似たようなもんだ」
金吾と虎若は顔を見合わせて朗らかに笑いあう。金吾がにっこり微笑んで聞いた。
「ところで伊助、今日はいつもと雰囲気が違うんだねえ、どうしたの?」
「ああ、兵ちゃんにコーディネート頼んだら、こんな感じに・・・。なんか変だよねえ」
ぼりぼりと首筋を掻いてわざと女の子らしさからは離れたような仕草をしてしまう。本当はもっと、兵太夫みたいにキュートでいたいし、三治朗みたいに清楚で可愛らしくありたい。だけど今更、それを目指すのもなんだか気恥ずかしい。
「そんなことないけど。すごく可愛いよ」金吾はおっとりと品のいい笑みを浮かべて、それから隣の虎若を見た。
「な、虎若」
「え、あ、うん。いつもの伊助も可愛いけど、今日はまた違った雰囲気ですごく可愛いよ!!」
なぜだか顔中を真っ赤にして力説する虎若に伊助は救われたような気分になる。虎若はいいやつだ。
「虎ちゃん、ありがとう。そこまで必死な感じで言われると思ってなかったよ」
「え、」
はたりと、まるで今気付いたかのようにして、虎若が動きを止める。傍らの金吾を振り返ったら、苦笑を浮かべてこちらを見ていた。
「必死だね、虎若」
虎若の顔が熟れたトマトのように真っ赤になる。「あー、ごめん!なんか俺、今変だったよね」触ったら熱そうだ。真っ赤な表情を見詰めて伊助は笑う。すっかり緊張は取れていた。虎若の肩をバンバンと叩いて、いつものように大口を開けて笑う。は組メンバーとはもうずっと一緒だから、今更取り繕う気も起こらない。は組メンバーは互いが互いに恥ずかしいところとか狭量なところとか弱いところとか包み隠さず見せ合ってきた。可愛く見せようというのが今更なのだ。
「あー、こんな似合わない格好しちゃって、変に緊張してたけど、虎若のおかげで目ぇ覚めた気がする。ありがと。虎若大好き!」
満面の笑みで礼を言う。伊助は、大口開けちゃって、およそ女の子らしくない、とこの笑顔を評しているけれど、虎若にはきらきらのかたまりにしか思えない。可愛い。伊助は笑ったときに見える前歯がとても可愛いのだ。あと、眼がくるくる動いて、それも小動物みたいで可愛い。虎若は知っている。伊助は、怒った顔も泣いた顔も可愛い。
小学6年生のとき、ふたりで文化祭の準備のときふざけあっていたら、伊助が大道具を倒してしまった。咄嗟に庇って落ちてきた木材に額を切ってしまった。そんなことがあった。あのとき、木材を避けながら伊助はびいびい泣いて、鼻水と涙でぐっちゃぐっちゃの顔が、なんでだろう、すごく可愛く思えた。「痛くないよ、平気だよ」って言い聞かせながら、熟れたトマトよりまだ赤いその顔を、今すぐ抱き締めて笑わせてあげたいなあと思った。それから虎若は、ずっとずっと伊助に笑っていて欲しいと思っている。
伊助は虎若にとってきらきらのかたまりだった。


***


虎若はいーちゃんが好きだ。いーちゃんは庄ちゃんがすきだ。金吾はいい男だ。

コニーアイランドベイビー

左近と伏木蔵(この名前響きがすごく好きだ)も好きなんだが、どう想像しても古きよき時代の少女マンガになる。左近はほどほどに悪戯っぽくてでも常識人の良い子で、ちゃんと男の子しているのに、伏木蔵がどうしても箱入り娘になる。一年ろ組は想像するとみんな箱入りになる。箱の中でみんなしてきゃわきゃわしてる。そこがかわいい。だけど、妄想していると痒い。



痒いSS。(女体化現パロ)



思わず泣いてしまう、とてもよい映画だった。スタッフロールが流れて伏木蔵が小さく鼻を啜っていたら、 隣に座っていた左近が、小さくワンピースの袖を引っ張った。顔を上げたら、辺りに気兼ねするように、小さく、出るぞ、と囁いて、こそこそと席を立った。背中を丸めてかがんで人前を横切ると、なんだかとても悪いことをしているようなバツの悪い思いがする。映画館から出て、ロビーに出た途端、左近が謝った。
「あの映画、2時間半もあったんだな、悪い」
急げば電車に間に合うかも、と独り言のように呟くと、伏木蔵の手をとってスタスタと足早にビルから出てしまう。歩みの遅い伏木蔵は慌ててついてゆく。情緒がない。ぐいぐいと引っ張られる腕が痛くて、「先輩、手」と情けない声を出したら、「悪い」と一言言って、パッと手は離れてしまった。帰宅ラッシュにさしかかった駅の構内は混雑していて、伏木蔵は迷わないように左近の上着の裾をギュウと握る。付き合っているのだし、どうどうと腕を掴めばいいのだが、なんとなく、出来ないでいる。駅ビルの装飾は一ヵ月後のクリスマスに向けてサンタクロースがきらきらと微笑んでおり、ウインターセールの宣伝が賑わしく掲げられている。煌びやかな世界の様相に伏木蔵は楽しくなる。きょろきょろする伏木蔵をひとり楽しみの中に泳がせて、左近は電車の時刻掲示を眺めては、過ぎ去った電車を悔やんでいる。
「乗り過ごしたか・・・」
眉を顰めているのに、伏木蔵は両手でおずおずと腕を掴んで、彼を見上げる。「先輩、ちょっとくらいなら平気ですよ、たぶん」
「だけど今日親父さん帰ってくるんだろ。怒ると怖いんだろ」
「でも仕方ないから、」
映画って行ったら普通2時間にまとめてあるものですよね、私も気がつきませんでした。伏木蔵は微笑んで、携帯電話をバッグから取り出す。黒のがま口型のバックは、持ち手が黒いサテン地でリボンのようなあしらいになっていて、品が良くて可愛らしい。友人の平太からのプレゼントだといっていたっけ。誕生日に左近が与えた黒のセーターコートに合うから嬉しいと微笑んで、今日着てきた。昼に入ったデパートでふと伏木蔵のバッグと同じものを見つけて値段を見たら、左近の買い与えたものより1ケタ違う値段だったので白けた。伏木蔵はつくづく”お嬢さん”だ。
ぷちぷちとボタンをおして、小さく首を傾げ、上品に携帯を使う。
「あのね、お母さん、電車に乗り遅れちゃったからあと30分遅れるね。え、いいよう、迎えに来なくても。大丈夫。暗いけど、平気、明るいところ通って帰ってくるから。寒くないよ、コート着てきたもん。え、うん、…はい。お父さんにはちゃんと謝ります」
背中を小さくして喋るひとつ年下の少女の背中を、左近はぼんやりと見詰める。伏木蔵はまもなくぱくんと電話を閉じると、左近に微笑んだ。
「今日はあと30分も一緒ですね・・・!」
「なあ、親父さんにひどく怒られたら電話してこいよ」
「はーい。ねえ、先輩、お茶が飲みたいです」
伏木蔵ははしゃいで、駅ビルの中のカフェを指差すが、左近は指先で額をぺちんとはね、「馬鹿、そんな時間あるか」と怒った。伏木蔵は肩を竦めて残念がると、左近が足を進めるままに駅のホームへとあがる。ホームで缶入りのコーンポタージュスープを買ってもらう。喜ぶ小さくて細い体を、左近は愛おしいと思って、まだ抱き締めたことのない少女の指先を、そっと掴む。寒さでひんやりしている。
「先輩の手、あったかい」
「お前が冷たすぎるんだ。冷え性か」
線路に電車が滑り込んだ。埃臭い強風に煽られる。伏木蔵の黒髪が乱れる。整えようと手を伸ばしたら、伏木蔵がこちらを見上げて何ごとかを言った。小さな珊瑚色の唇が、小さく動く。
「つ」
   
    「れ」
      
        「て」
           
              「に」
                 
                      「げ」
                     
                               ・・・
風に吹き散らかされていく。左近は最後まで聞き取れず、眉を顰めた。轟音の去ったあと、伏木蔵は静かに微笑んで、「なんでもないです」といった。左近はそれで何もいえなくなってしまって、黙り込んだ。左近は今日のデート中、ずっと、「この間の見合いは上手く断れたか、」と聞けなかったのを、悔やんでいて、でも、とうとうそれを言い出せないままだ。黙って互いの熱を分け与えていたら、すぐに次の電車は来た。これに乗らなければ帰れない。左近は、最後の七分をもっと喋ればよかったと後悔して、それでも、また時間ができたらやっぱり自分たちは黙ってしまうのだろうと思った。
「来月のクリスマス、楽しみだな」
「はい」
伏木蔵はにこにこと微笑んで、するりと電車に乗り込んだ。甲高いホイッスル、機械音、電車のアナウンス。冷たい扉が閉じて、愛おしいあの子が攫われてゆく。左近はちょっと項垂れて、それから、ホームから立ち去った。
今日の映画はとてもよかった。ストーリーなんかもう、何にも覚えちゃいないけれど。



かか、かゆー!かゆ、うま(ちがう)。

そのうち嵐

現パロ女体化。続き・・・というとちょっと違うかもしれませんが。


伊助の作るお弁当おいしそうだね、って言われたのがきっかけなんだって。
嬉しかったから部活のときの差し入れにとでも思って、次の日におにぎりを余分につくっていって渡したんだって。ありあわせのフライドチキンと多めに作った卵焼きも入れて、それくらいの簡単なお弁当だったんだけど、意外なくらい喜んでくれて、それから毎回作っていくようになったんだって。最近じゃあ、伊助の差し入れを頼りに自分ではなんにもおやつを容易してこなくなっちゃって、そうなると今更サボるわけにもいかないから、毎回作っていくのが習慣になったんだって。
そんな成り行きを聞いてしまったら私、羨ましい以外の感想がでなくなってしまって、でもまさか伊助に向かってそんな言葉吐くわけにもいかないから、結局何も言わずに言葉を飲み込んで、パックジュースをずるずると啜った。

***

「差し入れにおにぎりっていうのがミソだよね。私なんか差し入れっていうとクッキーとかベタなやつしか思いつかないんだけど」
兵太夫が眉カットをしながら呟く。伊助は団蔵が「ぶっ壊れた」と言って持ってきたボタンの千切れてしまった学生服を縫いながら苦笑する。
「そんな、漫画みたいな。わざわざクッキ-つくるの面倒くさいじゃん。それに、部活の差し入れにそれはないよ」
「え、なんで?」
2,3日前から「団蔵に差し入れでもしてやるか」と何度も覚悟を決めては三治朗に宣言している兵太夫は、カットが途中のままの眉もそのままに、眉切りバサミを片手に伊助に向き直る。実は何を隠そう、この会話も、”男の子に差し入れをするための講習会”なのだ(伊助には内緒だが)。
伊助は、だって、と呟いてぷちんと歯で糸を切る。
当たり前のように伊助を頼った団蔵が憎らしく、彼のことが秘かに気になる兵太夫は、「私がやってやるよ」と宣言したが、団蔵にあからさまに嫌な顔をされ、「げ、いーよ。家庭科の裁縫でティッシュケースすら満足に作れなかったお前には無理だ」「はったおすぞこの野郎」「やってみろ馬鹿野郎」ものの数回の言葉のやり取りで喧嘩になった。
「だって、部活で汗をいっぱいかいたあとにもそもそしたもの食べるって地獄じゃない?」
「ああ、確かに・・・」
ちぇ、難しいなー、差し入れも。ハサミをシャキシャキと閉開して弄っている兵太夫の物言いに、気が効きすぎるほどの性格をしている伊助は、きょとんとした。
「何、兵ちゃん差し入れがしたいの?誰に?」
「えっ!?いやいや、将来的なビジョンでねー、いや、うん、そういうことも知っておいて損はないかと」
ふわふわした髪に指を突っ込んでぐしゃぐしゃと掻き混ぜる。あ、動転してる。三治郎は内心で噴出す。今日の髪型決めるのにゆうに1時間は掛かったって、さっき言ってた。冷静になってからあとで慌てふためくに違いない。
「兵太夫、差し入れ向かない気がするけど」
「え、確かに私料理は苦手だけれどもさあ、」
「そうじゃなくて、差し入れって結構めんどくさいからさ。料理嫌いなひとはそのうち続かなくなるよ」
団蔵の学生服の繕いが終わった伊助は、今度は鞄からノートを取り出してせっせと英単語の書き取り練習をはじめる。授業前の小テストに落ちると課されるペナルティーだ。
「伊助、ここんとこずっと落ちてない?」
「うーん、覚える暇なくて。でも、駄目だ、そのうち庄ちゃんに怒られちゃう」
「べっつに、庄左のために勉強やってるわけじゃないんだから、あいつが節介やいてきても関係ないで済ませりゃいいじゃん?」
兵太夫のキッパリした物言いに、伊助が目を細める。
「そういやこの間庄ちゃんが兵ちゃんのこと褒めてた」
「は?アタシ何もしてないよ?」
「この間帰り一緒に帰ったでしょう、そのときに、なんか、ファッションについて熱く語ったんだって?庄ちゃんが、すごくよく研究してるって、あそこまで言ったら趣味の域を超えてるって。もうひとつの趣味の機械弄りといい、兵ちゃんは職人気質だって」
「なんかあいつの褒めどころって変わってない?」
「庄ちゃんそういうの好みだから」
三治朗が首を傾げる。「そういうの?」
「兵ちゃんみたいな子。一個をめちゃくちゃ極めつくすタイプ、好きみたい」
伊助のシャーペンはぴたりと動きを止めている。兵太夫は気まずそうにもごもごと口を動かして、「アタシみたいなのは、庄ちゃんとは合わないと思うんだけど」とそれだけを言った。「兵太夫って、綺麗だよなあ」帰りがけ、電車を待つまでのホームでしみじみと言われたとき、ほんとはちょっとドキッとした。庄ちゃんとの付き合いは長いけれど、そんなことは初めてだった。だけどこれは、誰にも言わないほうがいいような気がする。特に、伊助には。
「伊助も家事を極めてるじゃん」
三治朗がいれたフォローに曖昧に頷く。
兵太夫は眉を潜めた。最近、は組が難しいような気がする。それまでは、仲がいいことはよいことだ、でずっとやってきたのに。少し、仲良くなりすぎてしまったみたいだ。伊助の家庭的な能力が羨ましくて仕方のない三治朗と、兵太夫と。伊助は伊助で、兵太夫のことを羨ましく思っている。
なんだか世界が複雑になったようだった。


庄左ヱ門は別に兵ちゃんのことが好きなわけではないのだが。

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