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そのうち嵐

現パロ女体化。続き・・・というとちょっと違うかもしれませんが。


伊助の作るお弁当おいしそうだね、って言われたのがきっかけなんだって。
嬉しかったから部活のときの差し入れにとでも思って、次の日におにぎりを余分につくっていって渡したんだって。ありあわせのフライドチキンと多めに作った卵焼きも入れて、それくらいの簡単なお弁当だったんだけど、意外なくらい喜んでくれて、それから毎回作っていくようになったんだって。最近じゃあ、伊助の差し入れを頼りに自分ではなんにもおやつを容易してこなくなっちゃって、そうなると今更サボるわけにもいかないから、毎回作っていくのが習慣になったんだって。
そんな成り行きを聞いてしまったら私、羨ましい以外の感想がでなくなってしまって、でもまさか伊助に向かってそんな言葉吐くわけにもいかないから、結局何も言わずに言葉を飲み込んで、パックジュースをずるずると啜った。

***

「差し入れにおにぎりっていうのがミソだよね。私なんか差し入れっていうとクッキーとかベタなやつしか思いつかないんだけど」
兵太夫が眉カットをしながら呟く。伊助は団蔵が「ぶっ壊れた」と言って持ってきたボタンの千切れてしまった学生服を縫いながら苦笑する。
「そんな、漫画みたいな。わざわざクッキ-つくるの面倒くさいじゃん。それに、部活の差し入れにそれはないよ」
「え、なんで?」
2,3日前から「団蔵に差し入れでもしてやるか」と何度も覚悟を決めては三治朗に宣言している兵太夫は、カットが途中のままの眉もそのままに、眉切りバサミを片手に伊助に向き直る。実は何を隠そう、この会話も、”男の子に差し入れをするための講習会”なのだ(伊助には内緒だが)。
伊助は、だって、と呟いてぷちんと歯で糸を切る。
当たり前のように伊助を頼った団蔵が憎らしく、彼のことが秘かに気になる兵太夫は、「私がやってやるよ」と宣言したが、団蔵にあからさまに嫌な顔をされ、「げ、いーよ。家庭科の裁縫でティッシュケースすら満足に作れなかったお前には無理だ」「はったおすぞこの野郎」「やってみろ馬鹿野郎」ものの数回の言葉のやり取りで喧嘩になった。
「だって、部活で汗をいっぱいかいたあとにもそもそしたもの食べるって地獄じゃない?」
「ああ、確かに・・・」
ちぇ、難しいなー、差し入れも。ハサミをシャキシャキと閉開して弄っている兵太夫の物言いに、気が効きすぎるほどの性格をしている伊助は、きょとんとした。
「何、兵ちゃん差し入れがしたいの?誰に?」
「えっ!?いやいや、将来的なビジョンでねー、いや、うん、そういうことも知っておいて損はないかと」
ふわふわした髪に指を突っ込んでぐしゃぐしゃと掻き混ぜる。あ、動転してる。三治郎は内心で噴出す。今日の髪型決めるのにゆうに1時間は掛かったって、さっき言ってた。冷静になってからあとで慌てふためくに違いない。
「兵太夫、差し入れ向かない気がするけど」
「え、確かに私料理は苦手だけれどもさあ、」
「そうじゃなくて、差し入れって結構めんどくさいからさ。料理嫌いなひとはそのうち続かなくなるよ」
団蔵の学生服の繕いが終わった伊助は、今度は鞄からノートを取り出してせっせと英単語の書き取り練習をはじめる。授業前の小テストに落ちると課されるペナルティーだ。
「伊助、ここんとこずっと落ちてない?」
「うーん、覚える暇なくて。でも、駄目だ、そのうち庄ちゃんに怒られちゃう」
「べっつに、庄左のために勉強やってるわけじゃないんだから、あいつが節介やいてきても関係ないで済ませりゃいいじゃん?」
兵太夫のキッパリした物言いに、伊助が目を細める。
「そういやこの間庄ちゃんが兵ちゃんのこと褒めてた」
「は?アタシ何もしてないよ?」
「この間帰り一緒に帰ったでしょう、そのときに、なんか、ファッションについて熱く語ったんだって?庄ちゃんが、すごくよく研究してるって、あそこまで言ったら趣味の域を超えてるって。もうひとつの趣味の機械弄りといい、兵ちゃんは職人気質だって」
「なんかあいつの褒めどころって変わってない?」
「庄ちゃんそういうの好みだから」
三治朗が首を傾げる。「そういうの?」
「兵ちゃんみたいな子。一個をめちゃくちゃ極めつくすタイプ、好きみたい」
伊助のシャーペンはぴたりと動きを止めている。兵太夫は気まずそうにもごもごと口を動かして、「アタシみたいなのは、庄ちゃんとは合わないと思うんだけど」とそれだけを言った。「兵太夫って、綺麗だよなあ」帰りがけ、電車を待つまでのホームでしみじみと言われたとき、ほんとはちょっとドキッとした。庄ちゃんとの付き合いは長いけれど、そんなことは初めてだった。だけどこれは、誰にも言わないほうがいいような気がする。特に、伊助には。
「伊助も家事を極めてるじゃん」
三治朗がいれたフォローに曖昧に頷く。
兵太夫は眉を潜めた。最近、は組が難しいような気がする。それまでは、仲がいいことはよいことだ、でずっとやってきたのに。少し、仲良くなりすぎてしまったみたいだ。伊助の家庭的な能力が羨ましくて仕方のない三治朗と、兵太夫と。伊助は伊助で、兵太夫のことを羨ましく思っている。
なんだか世界が複雑になったようだった。


庄左ヱ門は別に兵ちゃんのことが好きなわけではないのだが。

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