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幼年期の終わり

金吾と喜三太。女体化1のは。


お昼休みは机をくっつけて、ふたりで向かい合ってお弁当を食べる。まだ学園へ転校してくる前、喜三太は友達の少ない女の子だったから、心配して金吾が構ってやっていたのが、そのまま名残として今も続いているのだ。今はもう、構ってやるというよりは、面倒を見てやっている、と形容するのが正しい。今だって、金吾は、喜三太の口の周りについた食べかすに手を伸ばしている。
「ついてるよ」
「ん」
手を伸ばす金吾も金吾だけれど、その指に顔を寄せて、とって貰おうとする喜三太も喜三太なのだ。これで、とってやった米粒を金吾がぱくんと食べたらさすがに叱り付けてやろうと団蔵は密かに決めていたが、さすがにそれはなく、金吾は育ちの良さを見せるように、自分のナフキンにその米粒を零した。
「あ、ほら、またついてる。喜三太、もっと大きな口あけておにぎり食べなきゃ駄目だよ」
「うん」
金吾の甲斐甲斐しさは、よく気がつくのを通り越して、もはや”お母さん”だ。団蔵があきれ顔で見守っていると、虎若も同じように見やって、苦笑している。
「いい感じだね」
「いい感じっつか、親子みてえ」
「あー」
虎若も苦笑混じりで同調する。ふいに団蔵が、「あのふたりってつきあってんのかな」と呟いた。虎若は、初めて聞いた、とでもいうようにきょとんとした表情を浮かべて団蔵を見返した。だって、とその反応に言い訳するように団蔵は言葉を継ぐ。
「すげー仲いいじゃん」
「ああ、うん・・・。でも、改めていわれると変な感じがするなあ」
「なんで?いつもいっしょだし、怪しく思っても当然じゃねえ?」
「いわれてみると、そうなんだよなあ・・・。でもなんだろう、ふたりが恋人同士って考えると、ちぐはぐな感じするなあ」
団蔵と虎若は、己もそれぞれの弁当にかぶりつきながら、教室の一角のふたりに、再び視線を送る。
おにぎりを食べ終わった喜三太が、じーっと金吾のお弁当を見やっている。金吾はいつも、タッパーにフルーツを詰めて持ってきていた。食事のバランスを考えてのことらしい。毎日でっかいおにぎりを三つ作って持ってきている喜三太に比べて、なんともまじめで繊細だ。そのフルーツが、気になっているのだろう。
視線に気がついた金吾は、タッパーにフォークをつけて喜三太に寄越した。一人分の量しかないが、惜しげもなく全部を喜三太に寄越した。
「メロンだけど、なめさんたちにはあげたら駄目だからね」
「うん」
「全部食べていいよ」
「うん」
金吾は口の中に含んでいた最後の食事を咀嚼し終わると、茶で流し込んで、後は黙って喜三太がせっせせっせとフルーツを口に運ぶのをみていた。小動物みたいに夢中で食べるその姿に、口元が緩む。
「おいしい?」
「うん」
「味わって食べなよ」
金吾はにこにこ微笑む。自分のほうが、美味しいものを食べた後みたいに、嬉しそうに微笑んで喜三太を見ている。


午後は移動教室だった。雨で運動場が使えないから、図書館で読書、ということらしい。教室で女子が着替えをはじめてしまうから、男子たちは昼休みもそこそこに教室を追い出されてしまう。自販で紙パックのジュースを買い、それを飲みつつ、団蔵と金吾と虎若もてろてろと校内を移動する。授業中はもちろん飲食禁止だが、胃袋の大きい男子高生の手にかかれば、紙パックジュースなんて、移動の最中には飲み終わる。
「仲いいじゃん」
と団蔵がストローを加えながら金吾にそう切り出したとき、金吾は「腹減った」と呟いて、缶コーヒーを選んでいた。
「え、なにが?」
金吾はきょとんとして団蔵を見遣る。虎若がその背中をからかうみたいに押した。
「腹が減るならフルーツを喜三太にやらなきゃいいんじゃないのってハナシ」
「ああ」
金吾が頷く。なにをいまさら、とでもいわんばかりの表情を浮かべた。
「別に、いつもと特別なことはなにもしてないだろ。初等部の時と同じだよ」
「初等部の時の仲の良さが、ずーっと変わらず続いてるのがすげえってことだよ」
仲のいい1のはメンバーだって、初等部の時と今では、関係が少しずつ変化している。昔のようになにもかも一緒というわけにはいかない。ましてや男と女だし、成長しているのだから、当たり前のことだ。金吾はかがんで缶コーヒーを手に取りながら、「だって未だ子どもだから」と誰にともなく呟いた。
「だってまだ子どもなんだ。俺だって、これでいいのかなって時々思うけど、向こうが変わるのを許さないからさ」
この前の雨の日。金吾を待っていた喜三太はどこかふくれっ面だった。喜三太のリクエストで街のほうへ寄り道をして、ぶらぶらとふたりで歩いて、帰りに寄ったカフェで、喜三太は拗ねたみたいに怒った。
「なんで最近無視するの」
「誰が?僕が、喜三太を?」
喜三太はでっかいパフェを前に、むすっとした表情で頷く。
「気のせいだよ。僕は別に喜三太を・・・」
「この前、ひとりで、音楽室まで移動したもん。ぼく、乱太郎たちが、一緒にいこっていってたけど、断って、教室で、ひとりで待ってたんだよ。でも、金吾結局帰ってこなくて、ひとりで音楽室いっちゃったじゃない」
「だって、部活のミーティング、理科室だったんだよ?教室に帰ってくるより、そのまま行ったほうが近いから・・・」
金吾の口調に責める物言いはなかった。どこかいいわけじみた焦りが滲んでいるのを、彼自身が自覚していた。正論を主張しているほうがどこか慌てている、奇妙な会話だった。けれど、喜三太はみるみるうちにしゅんとして、すっかり肩を落としてしまったから、金吾も酷く慌てたのだ。結局、ごめんねごめんねって、なにがごめんなのか自分でもわからないまま何回も謝った。けれど喜三太は、元気なく、「もういいから」と呟いておしまいだった。「もう、いいから」
「喜三太もかわんねーよなあ」
団蔵が同意するように頷く。喜三太だけだ。いつまでも子ども体型で、恋愛事に興味も示さないで、毎日なめくじがどーだとかごはんがどーだとか。辛辣な表現を使えば、幼稚なのだ。金吾もこの間のやりとりを回想しながら、そう結論づけた。ひとりで教室で金吾を待ち続けたことを、金吾に責めてみても、それは結局のところ八つ当たりだ。でも、昔から手のかかる女の子ではあったけれど、こんなに、人を振り回すような困った言動をしていただろうか。時々、金吾には喜三太の考えることがわからない。それは、金吾が変わったということなのだろうか。
金吾はくさくさする気持ちで、缶コーヒーを飲み干した。


移動教室がある時は、いつも最後まで庄左ヱ門が教室に残る。戸締まりや消灯の点検をするためだ。その日の昼休みは、委員長会の招集があったから、庄左ヱ門はぎりぎりの時間を、委員長会室から走って教室まで戻った。消灯は終えてあったが、ぽつんと喜三太が立っているのに驚いた。
「喜三太、次移動教室だよ」
「うん」
「どうしたの、誰か待っているの?」
「金吾」
庄左ヱ門はしばらく考えて、いった。金吾が昼休みに部のミーティングに出ていることは把握している。
「ミーティングで理科室に呼び出されていたような・・・。音楽室に近いし、きっとそのまま行くんじゃないかな」
「・・・」
喜三太は頼りない風情でうなだれている。普段子どもっぽいのに、その一瞬が頭を垂れた百合のようで、庄左ヱ門は少し頬を赤くした。
「約束したの」
「してない」
「じゃあ、きっとそのまま行くんだよ。僕ももう移動するし、喜三太も一緒に行こう」
「やだ、待ってる」
喜三太が変なところでぐずるので、庄左ヱ門は困ったように首をかしげた。
「どうしたの、喜三太。何かあったの」
喜三太は、黙っていたが、しばらくして、ひぐっ、と変な具合に喉を鳴らした。下唇をかみしめると、そのままぼろぼろと大粒の涙を零した。掌が、ぎゅうっとスカートのひだを握りしめるので、変な具合に皺ができる。ひーっ、と喉を鳴らして喜三太は泣き始める。びいびいと泣き始めるクラスメイトに庄左ヱ門もびっくりして、金吾が普段しているみたいに、頭をぽんぽんと叩いた。年頃の女の子が泣くのを初めて見た。
「やだよう」
と喜三太がうめくように呟く。
「ばあちゃんが、お見合いするから村帰ってこいって。ぼくまだお見合いとか、・・・やだよう。行きたくないよう」
「ええっ!?」
喜三太が田舎の旧家の一人娘だということは聞いていた。庄左ヱ門は目を白黒させる。どうしたらいいか・・・言葉を探しあぐねている内に、喜三太はすんすんと鼻を啜りながらも泣きやんだ。
目をぱちぱちしばたかせている。
「泣いたらちょっとすっきりした。庄左ヱ門、びっくりさせてごめんね」
「う、ううん。それより喜三太、今の話だけど・・・」
「16になったら結婚するって、昔からばーちゃん言ってたの。ぼくらももう15だもんね。来年だもん。前からわかってたことなんだけど、なんかやだなーって思っただけ」
喜三太は照れ笑いして、ごしごし手の甲で涙の後を擦る。
「みんなには内緒ね」
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風下にエンドをとれ

竹谷・タカ丸・久々知・雷蔵女体化でテニスもの。
途中で始まり途中で終わる。ただの萌え散らかし。

*五年と四年はそれぞれ違う学校の女子テニス部員です。
*こへたけ風味もあり?


何が楽しいのか、と聞かれても今はもうよくわからない。練習は辛いし、負ければ悔しいは情けないわで堪えきれないくらいだし、勝ったら勝ったでまた次の試合を思って戦慄する。試合は闘いだから、そこには常に緊張感がある。緊張し続ける心はいつだって不安と恐怖がない交ぜで、そこに安穏はない。だから、何が楽しいのかと考えてみてもすぐに答えは出せない。
けれど、やっぱり、自分のところにボールが打ち込まれてくると、ハチは言いようのない高揚を覚える。仕留めて見せる、と思う。速い球が、難しい角度で迫ってくるほど、面白い、と思う。勝敗を忘れ去った先に、ただ自分の技術と運命をフルに発揮して迫りくるものに臨む、その瞬間にたぶん、ハチをひきつける一番の”悦び”がある。
タカ丸の打ち込んできた球は、速かった。球自体に回転がかかっているのに、軌道がぶれない。これが地面に突っ込むと、途端に思わぬ軌道にはねっかえるのだと久々知は言った。ハチは息を呑んで、タカ丸の球がネットを越え、地面に叩き込まれるのを見届ける。ラケットを球を救うようなかたちで握った。タカ丸の球は、必ず高くバウンドする。軌道を外しても、高く上がっている時間のロスが、ハチにチャンスをくれる。瞬発力と脚力だけ見れば、久々知よりハチのほうがその能力に優れている。必ず返す、とハチは球を睨んだ。これでおしまいでもいい。一生勝てなくてもいい。夢が夢のまま終わったっていい。久々知の返せない球を、おれが返す!それがハチの自慢にもならないちっぽけな意地とプライドだった。
球が跳ねた。
球は軌道を変え、ハチの懐に飛び込んできた。ハチは慌てて身体を退けると、そのまま身体を捻るようにして球を拾い上げた。ガッ、とラケットを握る腕に重い衝撃が伝わった。想像以上に球が重い。一度跳ねたくせに、回転数がほとんど減っていない。さすが、久々知がてこずるプレイヤーなだけある。白くて細い身体をしているくせに、想像以上のパワープレイヤーだった。
「・・・ッ、くそッ・・・!」
ハチは肩に鋭い痛みを覚えた。ぶれる腕に慌てて左手を添える。両腕でラケットを握り返して、思いっきり相手コートへ球を叩き返した。低い位置で打ち返してしまってひやひやしたが、ネットに引っかかることなく向こうのコートに打ち込むことが出来て、ハチは思わず溜息をついた。タカ丸の必殺技が打ち返されたというんで、観客席からは大歓声と怒号が聞こえる。だがそのすべてはハチの耳には届いていなかった。ハチは九々知はどんな表情をしているのだろう、とそれを知りたくなったが、まさか強敵から視線を外すわけにもいかずタカ丸に向き直った。ハチの返した球は悪球だったが、タカ丸はなんとかそれを掬い上げると、ハチに返した。それは決して取れない球ではなかったが、先ほどの返球で完璧に肩を壊してしまったハチにはもう打ち返すことは叶わなかった。タカ丸の球を受けとめきれず、ハチの腕からラケットが飛んだ。ラケットがコートを叩く音がやけに大きく響いて、ハチは肩を押さえてその場に膝を着いた。審判の吹くホイッスルの音が甲高く空に吸い込まれる。
終わった、とハチは思った。ああ、おれのテニスは終わってしまった。
(今度無理したら、それが最後だぞ)
食満の辛い宣告が脳裏に響いた。
(一度壊れた肩はもう元には戻らない。テニスで食ってくのは、お前ではムリだ)
大好きなテニスが一生できればいいと思った。中学に上がって、九々知と出会って、天才は確かにいるのだと絶望のなかで認識した。だったらせめて努力で九々知に並ぶんだと、がむしゃらに練習に打ち込んだ。九々知のがんばりのその二倍三倍の努力を己に科した。そうしてようやく立てた全国大会のコートなのに、こんなところで選手生命をたたれるなんて。しかもそれが、肩の使いすぎが原因というのだから、笑ってしまうではないか。練習し過ぎたんだ、と食満に言われたとき、ハチはどんな表情でそれを聞けばいいか分からなかった。泣き笑いの顔になってしまった。悪い冗談だと思った。最初ッから、全国で負けることが自分の最高のゴールだったなんて。試合終了のホイッスルが鳴った。
タカ丸がネット越しに歩み寄ってきた。ハチは立ち上がると、自分もネットに近づいた。タカ丸の美しい形をした指が、ハチのなんどもマメを潰した手のひらをそっと握った。
「ありがとうございました」
と深く頭を下げられて、ハチもにっこりと微笑んで、「楽しかったです、ありがとうございました」と頭を下げた。
それで、ハチの最後の試合は終わった。
コートをでると出口に九々知が立っていて、ハチを睨んでいた。隣で雷蔵が「いい試合だったね」と笑いかけると、九々知が一言「悔しい」と言った。ハチにとってはそれがなにより嬉しい一言だった。
「斉藤は私のライバルだぞ!ハチにはやらん!」
「すげー相手だった。兵助、負けるなよ」
「おう」
控え室に戻るために長いコンクリートの階段を下りていく途中に、壁にもたれるようにして鉢屋が立ってた。
「なんだよ、愛しの雷蔵の試合がはじまちゃうぞ」
茶化して笑うと、鉢屋は無言でハチの肩に自分の上着を羽織らせた。それから、ハチの左手首をぎゅっと掴んで、無言で医務室まで引っ張っろうとした。ハチは慌てて身体を引く。
「ちょッ・・・三郎、いい!自分で行くからッ・・・」
「お前、馬鹿か!肩壊れかけてるのにどうしてあんな球打ち返した!無理して打ち返さなくたって、点は稼げたろ!別の方法で、勝つ方法を探ることだってできただろ!」
「だって、それで、自分の方誤魔化しながら試合続けたって、意味がないじゃんか。どうせいつかは俺の肩は壊れる。カウントダウンをじわじわ伸ばしてるだけだって、そんなのちっとも救いにならない。だったらいっそ、ちッさなことでいい、兵助に勝ってみたかったんだよ。見たか、三郎、おれ、兵助より先にタカ丸の殺人レシーブを返したんだぜ!すごいだろ!」
にかっ、と子どものように無邪気な笑みを向けるハチに、三郎はなおも何か言いたげな表情をしたが、結局はその言葉を飲み込んだ。それをハチに与えるのは三郎ではなく別の男の役目だった。
「控え室に食満さん呼んであるから、肩見てもらえ。すぐ見てもらえ」
「留兄を?サンキュ、三郎」
ハチは笑顔で手を振って控え室に向かって階段を駆け下りていく。その背中を見送って、鉢屋は飲み込んでいた溜息を長く吐き出した。
控え室のベンチには食満が座っていた。
「留兄、これないつってたのに。大学のテストはよかったの?」
「ああ」
「おれ、負けちゃったよ。せっかく練習付き合ってくれたのに、ごめんな」
「ああ」
「肩もだめんなっちゃった」
「・・・」
ハチはやっぱり笑顔だった。食満に向かい合うようにベンチに腰掛けると、三郎のかけた長袖の上着を脱いだ。右肩は紫色に変色し、腫れ上がっていた。食満は「医務室と女子更衣室どっちがいい、」と尋ねた。ハチは更衣室、と短く答える。「じゃ、行くぞ」と立ち上がってすたすたと女子更衣室へ歩き始めてしまう。ハチはその後を追った。控え室から出たら、ちょうど試合を終えたばかりの七松が待ち構えていた。
「あ、七松先輩、お疲れさまです」
「お前もな。いい試合だったか、」
ハチはにこにこと微笑んだまま、はい、と元気よく頷く。七松も満足そうに頷いた。
「そりゃよかったな!」
「先輩、勝ちました?」
「ああ」
「じゃあ、決勝進出決定ですね、おめでとうございます」
「ああ」
ハチが女子更衣室をあけると、なかには誰もいなかった。「いいのかなあ」と苦笑しながら、ハチはなかに食満を招き入れる。七松のほうに視線を向けると、彼は、「俺は飲み物でも買ってきてやるよ」と更衣室には入らなかった。更衣室のベンチに腰掛けて、腫れた肩に蒸しタオルを載せると、食満は二の腕の辺りから、丁寧にマッサージし始めた。
「留兄、おれのさっきの試合、いい試合だったと思う?」
「ああ。今までで最高の試合だった」
「あは、嬉しー」
なおも笑顔を浮かべるハチに、食満は静かに名前を呼んでつぶやいた。
「ハチ、ここにはもう誰もいないぞ。だから笑わなくていい」
はた、とハチの表情が凍った。へたくそな笑顔はもう消えていた。
「がんばったな、」
と食満があやすように頭をぽんぽんと優しく叩いた。それで、ハチはもう耐え切れないと思って子どものように声をあげて号泣した。何十年ぶりの号泣だった。わあわあ、と泣いている間、ずっと食満にしがみ付いていた。悔しさやふがいなさや安堵や怒りや悲しみや絶望や空虚や。もろもろの強い感情に、なにかにしがみついていないと体がばらばらにでもなってしまいそうだった。ハチの人生は本当に、テニスばっかりだったのだな、とハチは泣きながらしみじみ思った。明日から、何のために生きていけばいいのだろう。新しい希望が見つかるのだろうか。見つかったらいいな。それで、また、駄目でも、いけるとこまでがんばりたいな。
更衣室の外では、誰も入ってこないようドアにもたれて、七松がハチの泣き声を背中で聞いていた。悲しみを共有させてくれない少女の強さを、寂しく思いながら。
ホイッスルの音が鳴った。コートの上ではまた、新しい戦いが始まっている。

ゆうべのなつ

18 花火(小平太女体化のもんこへ?)


「待てよっ、文次郎!」
かららころろと擦るような音を立てて、小平太が追いかけてくる。文次郎は足を止めて振りかえった。ちょうど通りすがりの名も知らない女の肩にぶつかって、けれども「すいません」と呟いたころには、その姿ははるか向こうに流され小さくなっていた。小平太が文次郎の渋染の浴衣の袖を強く引っ張る。
「足が擦れた」
「どれ」
文次郎が視線を下に落とすと、見せ付けるように左足を浮かせる。鼻緒のあたりが擦れたらしく、親指の爪の辺りに血が溜まっていた。
「痛そうだな」
「ひりひりする」
小平太が拗ねたように唇を尖らせる。何事かを強請るときの特有の癖だが、今は簡単に乗せられてやる気にならない。人ごみの所為か。文次郎は少しうんざりしていた。こうして立ち止まっている今も、流されてゆく人のうねりがふたりにぶつかっては離れてゆく。文次郎は小平太の腕を取ると、黙って土手を降りた。打ち上げ花火を少しでも間近で見るために、土手にも人が林を作っている。きょろきょろと辺りをなめた文次郎は、橋の下の少し薄暗い場所に小さく腰を下ろした。無理やり歩かされた小平太は、それが気に入らなかったのか、
「だから痛いんだってば」
と文次郎の耳を引っ張る。文次郎は、ハイハイといい加減に対応しつつ、隣に小平太を座らせた。左足を己の下に置いて、まじまじと傷口を確かめる。破れた皮膚からピンクが覗き、触れると少し鉄が香った。触れたのが痛かったのだろう、小平太はびくんと身を竦める。
「慣れない格好するからだ」
「だって仙ちゃんが着てくといいっていったんだもん。これで抹殺するんだって」
「誰を」
「ん?もんじろーをだ。うふ~ん、もんじろぉ、おれ色っぽい~?」
なんちゃってね~。と、ひとりでお色気ポーズをとって笑い転げる小平太に、心よりの溜息をつく。抹殺じゃなくて悩殺だろ、と間違いを訂正する気にもならない。
「後でコンビニいって絆創膏買おう」
なにとはなしに提案したあとで、ふと、思いついて言葉を重ねる。
「いっそ、もう帰るか・・・」
ええっ!?小平太は案の定不満の声を上げた。いや、不満というよりは驚きのほうが強い。目を丸くして、隣で真っ黒な川面を見下ろす文次郎を見詰めた。
「まだ花火始まってないぞ」
「でもお前の足がさ」
「そんなの止まってれば関係ないじゃん。それにおれ、帰るくらいだったら、痛いの我慢するし!」
気負って宣言するのだが、どうにも文次郎は乗り気でない。そのうちに、様子のおかしいことに気づいたらしい小平太が、そろそろと窺うように文次郎の覗き込んだ。
「・・・帰りたいの?」
「そうじゃないけど」
「おなか痛い?さっき食った焼きそばのせい?それともたこ焼き?あれ、中身半生だった。しかもタコはいってないヤツあったし。オッサンに文句言いにいこうか」
「いや、腹が痛いわけじゃない」
「じゃあなに?おれがわがままいうから怒ったの?」
「そうじゃない」
煮え切らない幼馴染の返事に、すっかり参ってしまったらしい。小平太は黙り込んで、俯いた。足もとの青々と茂る雑草をブチン、と千切っては、文次郎の足に投げつける。
「せっかくの花火大会なのに。文次郎がそんなじゃつまんないじゃん」
きっと目が潤んでるんだろうな、と文次郎はぼんやり思う。小平太を泣かせるのは本意じゃない。今からでもテンションを上げればいいだろうか。駄目だろうな。こいつはそういうのに誤魔化されるのを嫌う。きっと、今日はもう機嫌を直すことはないだろう。
理由を話せば、それでもましにはなるのかもしれない。それでもこんな話、小平太に言えるわけがないではないか。第一、話したところで理由にもならないだろう。
「すまんな」
呟いて、文次郎はそっと臍を曲げたままの小平太を胸元に抱き寄せた。
(お前といつまでこうしていられるかと思ったら)
急に面白くなくなった。
毎年ふたりで見に行くことが当たり前になっているこの行事も、生涯続くことはありえないのだと。そんな当たり前のことに、とうとう気づいてしまった。拗ねた小平太が、それでも文次郎の浴衣の袖を弄りながら、
「文次郎がいやなら、帰ってもいいよ。でも文次郎の家な。一緒にレンタルビデオ借りてきて、それでも見てようよ。おれ、”猟奇的な彼女”が見たい。なあ、それならいいっしょ?」
と提案されるのに、返事の代わりにぎゅっと抱きしめた。スキンシップな激しいヤツだから、小平太にとってはこれも、ただの友情のハグだ。いっそ同級生にこんなところ見られて噂でも立てばいいのに。ふたりのこんな姿は当たり前すぎて、すでに話題にも上らない。
ふたりを覆う空に、今年最初の花火が音を立てて上がった。

金魚の恋

17 夏祭り(竹谷女体化でこへ竹?)


こちらに向かって差し出された両手の中には金魚がいた。 掬い上げるようなかたちで重ねられた両手の隙間から、ぽたぽたと水が零れている。金魚は手のひらの中で真っ赤な尾をひらひらと翻して泳いでいた。
「なんですかこれ」
「金魚」
「それは見たらわかりますけど・・・」
「昨日祭り行ったときに掬ったんだよ。やる」
小平太は手のひらに金魚を遊ばせながら、竹谷のほうへそれを押し付けた。 夏休みとはいえ、部活のある者はなんだかんだで毎日のように学校へ行く羽目になる。竹谷は所属しているソフトボール部の練習と生物委員としての仕事があったので、毎日学校へ出てきていた。小平太は、受験生にもかかわらず部活に顔を出したり補習があったりとなかなか忙しいようで、やっぱり毎日のように学校へ通っては、暇を見つけて竹谷のところへ顔を見せに来る。それがどんな儀式なのか竹谷にはわからなかったが、ともかく小平太はかならず竹谷を探し出してはくだらない話をして、そうしてどこかへいってしまうのだった。
そうしてこの日、竹谷は小平太に金魚を差し出されてひどく戸惑った。
(やる、といわれても・・・いったいどうすれば?)
「えっと、自分で釣ったんだったら自分で飼ってくださいよ」
「いや、いやいやこれはお前のために釣ったもんだから!」
小平太は両腕に水滴を伝わせながら胸を張っていう。
竹谷はびっくりしてしまう。小平太と竹谷のつながりは、実はほとんどない。あるとすれば、中在家を介してのものか。生物委員は図書委員と合同で行う仕事をひとつ持っている。委員長代理の竹谷が図書館に赴くとき、そこにはいつも小平太がいた。彼は明るくて物怖じしないから、竹谷にも明るく喋りかけ、話をするたびに盛り上がった。でもまさか、それだけの付き合いで、土産?そして何故に金魚!?何故に剥き身のままで!
「竹谷といえば金魚だろ。そして金魚といえば竹谷!」
「いやいや、意味わかんないんですけど」
「えーみんな言わないのか?」
「初めてききました」
小平太は首を傾げる。ちゃぷん、と手のひらの中で金魚が跳ねた。
「おれ、竹谷ほど金魚なやついないとおもう」
「金魚なヤツ?」
「とにかくもらえって」
「・・・えと、とりあえずトイレの水道にでも泳がせておきますか?」
「オシ!」
小平太は率先して女子トイレのなかに入っていく。これには竹谷のほうが周囲を気にして、挙動不審に辺りを見回してしまった。いや、ほんと危ないくらい邪気がないよな。少しは持ってほしいよな。
小平太は銀の蛇口をひねって、女子トイレの白い陶器の手洗い場に水をためた。たっぷりと水が溜まったら、そこへ手のひらの金魚を放した。みんなからは見向きもされないような小さな壊れた手洗い場に、金魚が気持ちよさそうに身を躍らせる。小平太は満足そうに見やってから、
「やっぱ竹谷だな!」
と呟いた。
「七松先輩、家からずっと金魚持ってきたんですか」
「おー、手で掬ってな」
「袋に入れてこればよかったのに」
「言うな。朝もそれで文次郎からキレられた。電車のなかで隣のサラリーマンのスーツ濡らしちまった」
「あーりゃりゃ」
七松先輩電車通学だったんだ。そりゃますます、何でわざわざ金魚を持ってきたのかわからない。
竹谷は冷たい水の中に指を突っ込んで、金魚の腹を押した。 少し硬い。 きらりとうろこを光らせて、金魚はくすぐったそうに身を捻る。
「・・・かわいいなあ」
口に出したら、ふっと小平太が笑った。口から空気が漏れたみたいな、かわいい笑いだった。
「おうさ、いちばん可愛いの釣ったからな!」

だって夏はこれからだから

26 日焼け(佐吉女体化)


清潔的で機能的な大手予備校の教室には、ずらずらと並べられるだけ並べられた縦長のテーブルをびっしりと蠢く頭が埋めている。窓の外を見ても、高い高架を走る線路と電線が見えるだけだ。空調の効き過ぎたなかに一日中押し込まれて、さすがに肌が粟立つ。佐吉はバッグから長袖シャツを取り出すと、他の邪魔にならないようにひっそりとそれを着込んだ。
理数の成績はずっと伝七に負けていなかったのに、先だっての外部模試では生物で点を抜かれてしまった。伝七は文型選択だから、生物はサブ教科のはずなのに。正直、焦る。佐吉はシャープペンシルのへりを前歯で軽く噛んだ。それから、はっと我に返って慌てて黒板にぶつけられるエネルギッシュな講師の授業に集中した。『一日一日の積み重ねが勝利を招く!』黒板の上にでかでかと掲げられたメッセージに、知らず溜息が漏れる。夕方からは、伝七といっしょにとった別の塾の講義がある。昼にもうひとつ、他塾の夏期講習に通っていることを、どうしても伝七に言い出せず、結局秘密で通っているかたちになってしまった。でも、いわないだけで伝七もきっともうひとつかふたつ、塾に通っているのだろう。伝七は親友で、ライバルだ。刺激的でいっしょにいて楽しいし、成長できるけれど、時々疲れる。
夕方からの塾に移動するには、まだ少し時間があった。いつもなら自習室で勉強をして時間をつぶすのだけれど、今日はそんな気になれず、ぶらぶらと街へ出た。寒すぎる校舎から一歩踏み出せば、湿気をはらんだ熱気が佐吉を包んだ。ぽかぽかする。そうしてそのうち、じっとりと汗をかき始めるのだろう。どこか店に入ろうかと思いつつ、そんな気になれない。とぼとぼ歩いていたら、だんだん気分が悪くなってきた。スクランブル交差点で人に押し合い圧し合いされながら流されるようにして歩いていたら、つまずいて転んでしまった。ああ、もう、なにをやっているんだろ、情けない。立とうとしたら、予想以上に自分の体が重くて、自由が利かなかった。びっくりして呆然としたまま交差点の真ん中でへたり込んでしまう。アスファルトが熱い。ブッブーと苛立ったようにクラクションが鳴らされる。いけない、ほんとに、立たなきゃ。白んだ意識で強く思いながら、のろのろと立ち上がる。信号が赤に変わっていて、周りには誰もいなくて、驚いた。立とうとしたら膝が笑っている。人々が口々に何か言うのがわかったが、何を言われているのかわからない。あの、立てないんです、助けて。声を出そうとして、咽喉がからっからに乾いていることに気がついた。
(水が欲しいなあ)
そう思って、ひどく疲れたので瞳を閉じたら、脇からぐいっと身体を持ち上げられたのがわかった。
「すいません、あの、」
「立てる?」
「お水が・・・ちょっと、気分が悪くて、すいません」
「謝らなくていいから、さき」
さき、と呼ばれて、ホッとした。佐吉のことをこんなふうに呼ぶのはひとりだけだ。危なっかしいけど、頼りになるひとだから、そのひとに助けられたんだったらもう大丈夫だ。佐吉は遠慮なく意識を手放した。
気がついたら、どこかの公園の日陰にあるベンチに寝かされていた。慌てて起き上がったら、頭がくらくらした。誰が助けてくれたのだろう、人前でえらい醜態をさらしてしまった。息をついて手元のバッグを持ち上げる。財布も携帯もどうやら手はつけられていなかったようで、ホッと胸をなでおろす。あたりを見渡していたら、向こうから男の子が駆け寄ってきた。見知ったひとだった。
「おーい、佐吉!」
団蔵は両腕にいっぱいペットボトルを抱えて駆け寄ってきた。
「気がついたんだ、具合どう」
「やっぱり、団蔵が助けてくれんだ。ありがと」
「ほんとに偶然でさあ、信号待ってたらどうもみんな騒いでるだろ、みたら佐吉が真ん中でぶっ倒れてるんでびっくりした」
「熱中症かな、突然気分が悪くなっちゃって」
「どれが好きか知らなかったから、買えるだけ買ってきたけど・・・好きなの好きなだけ飲んでいいよ」
団蔵は佐吉の前にペットボトルを並べていく。熱中症なら生理食塩水がいいのだろうな、と佐吉はポカリを手に取った。
「びっくりした。熱中症って初めてだった」
「太陽になれてないんじゃん?夏なのに、なんでそんな真っ白なの」
「ちょっとは焼けたけど」
「どこが!俺なんか、見ろよ、真っ黒」
団蔵がぬっと腕を突き出してくる。面白いくらいに真っ黒で、佐吉は目を丸くしてじっと見つめた。筋肉が張って、触ると固そうだ。無意識に指でつついていたら、団蔵がくすぐったいような表情で、「あのさ、虫触るようなやりかた、やめて」と言った。
「あ、ごめん。珍しくて」
「何が、日焼けが?」
「日焼けっていうか・・・日焼けした、男の、子?」
自分でもよくわからなかったから語尾が疑問系になってしまった。団蔵はからりと明るく笑って、「まあ確かに、い組の男は日に焼けなさそうだよな」とにやにや笑った。
「佐吉、夏休み何してんの」
「塾」
「好きだねえ」
「別に、好きじゃないけど」
「毎日塾あんの」
「うん」
団蔵は眼を丸くして、それから、好きじゃないと続かないよ、そんなん。と言った。佐吉は、そういわれて、好きなのかな、と考えてみる。私は勉強が好きなのかな。よくわからない。だけど、勉強をがんばっておかないと、目指す夢に近づけないから。だけど、こんなにがんばって、将来のために毎日を消費して、じゃあ佐吉の15歳はどこにあるのかなって思ったりもするのだ。未来の自分をつくるための今だけじゃなく、今のための佐吉は、どこにいるのかなとたまに思ったりするのだ。
「佐吉、夏休みなんか予定あるの」
「別に。おばあちゃんは一緒に住んでるし、近所にお墓参りに行くぐらい」
「しけてんなあ」
「うるさいな!」
佐吉はガツンと団蔵の足を蹴った。団蔵は痛い痛いと大仰に痛がって、それから、「でもまあ、俺も似たようなもん。父ちゃんの仕事手伝うばっかでさ、なんにも予定はいってないんだ」といってにっかり笑った。団蔵の実家の仕事は、配達業だったはずだ。じゃあ、腕の筋肉も、日焼けも、炎天下の中汗をかき続けた結果か。
「どっか行きたいんだよなあ」
「行けばいいじゃん」
「じゃあ、佐吉、海行こうぜ」
「なんで私が団蔵と行くの!?」
「別に伝七誘ってもいいけど。でもあいつ、俺のこと嫌いっぽいからこなさそうだけど」
「私、いい。行かない」
「山のほうがよかった?」
「そうじゃなくて!」
団蔵が二本目のペットボトルに手を伸ばした。佐吉は一本目をようよう飲み終える。それを見計らったように、団蔵がぐいっとお茶のペットボトルを突き出した。
「ほら、さき、二本め!」
団蔵が佐吉をさきと呼ぶときは、いつも有無を言わせない。乱暴で、命令口調になる。
「これ以上飲んだらおなかがたぷたぷになる」
と弱弱しく反論すると、「さきははもうちょっと水分とったほうがいいんだ。ゆっくりでいいからちゃんと飲め」とぐいっと押し付けられた。仕方がないから受け取って、キャップを開ける。団蔵ががぶがぶとペットボトルの水を仰ぎ飲んだ。
「別に俺とが嫌なら、誰とだっていいんだ。だけど、佐吉、ちゃんと遊んどいたほうがいいぞ」
「どうして」
「わかんないけど。でも、父ちゃんも清八も俺に言うからさ。大人って、思ってたほど大人じゃないんだってさ。だから、未来のために、なんて思って、そればっかりに苦労してるとあとからあれもしたかったこれもしたかったって結構後悔する、らしい」
「よくわかんない」
「うん、俺も。よくわかんない。だけど、佐吉と話してたら、なんとなく父ちゃんにいわれたこと思い出してさ。言っただけ。えらそうでごめん」
団蔵はこういうことを惜しげもなく言ってさらりと謝ってしまうから、駄目だ。人に、恨ませない絶対的な力をもっているから。
「山なら、行ってもいいよ」
「そっか、じゃあ、山行くか」
団蔵が言うので、佐吉は、うん、と素直に頷いていた。時計を見たらとっくに電車に乗らなきゃいけない時間だったので、慌てて立ち上がった。遅刻すると思って走ろうとしたら、「歩いて行け」といわれた。「さき、そんなん遅れてもいいからゆっくり歩いてけ」
「うん」
団蔵はすぐ、命令する。えらそうなのに、嫌いになれない。素直にしたがってしまうのは何でだろう。
「佐吉、山、楽しみだな。また計画立てておくから」
「うん」
「勉強がんばれ」
団蔵が大きく手を振って送り出した。恥ずかしいからやめてって思ったけれど、心のどこかで嬉しいって思った。小さく手を振り返したら、団蔵がにっこり笑ってくれた。それだけのことが嬉しい。夏は夕方になってもなかなか日が沈まないから、どこまでも白んだような景色のなかで、佐吉はゆっくりと夕焼けを待った。
明日は、空き時間に、服を見に行こう。それから、パンフレットも、探そう。いいのが見つかったらいい。なんだかうきうきと明日を待つ気分に、らしくないと15歳の佐吉がはにかみ笑いを浮かべている。

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