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鉢屋三郎好きに88の質問

明日も仕事だっつーのに突然の鉢屋萌えが止まらなくなった。
配布先→鉢屋三郎同盟(http://ninja.freespace.jp/horseshoe/8836/8836.htm

*「いじり愛」という言葉が苦手な方は読まないでください。(途中まで)

01:お名前は?

雷「不破雷蔵です」
兵「五年い組久々知兵助」
竹「竹谷八左ヱ門でーすっ!」

02:長い質問になりますが、まずは意気込みをどうぞ。

雷「精一杯がんばります!」
兵「俺の知ってる三郎についてあることないこと喋りたいと思います」
竹「いや、あることしか喋ったら駄目だろ・・・」

03:鉢屋のどんなところが好きですか?

雷「そうですね、特にありません(さらり)」
竹「ひどっ!雷蔵、三郎泣くから!泣いちゃうから!」
雷「嘘です。すごく器用なのに変なところで不器用なところ」
兵「ふんどしはきつめに締める派のところかな。俺とポリシーが一緒なので、そこはこれからもふたりで貫いていきたいと思う」
竹「え、えーと、友達思いのところです!鉢屋~泣くなよ~(呼びかけ)」

04:鉢屋好き歴はどれくらいになりますか?

雷「好き・・・暦か・・・どれくらいなのかなあ・・・。う~ん(迷)」
兵「一万年と二千年前から愛してる。」
竹「俺・・・早くもお前らに突っ込むことに疲れ始めてるんだけど」

05:そもそも鉢屋と初めて出会ったのは何時ですか?またその時の印象は?

雷「一年生のときからクラスは一緒だったんだけど、仲良くなったのは一年の終わりがけの頃です。印象は・・・仲良くなる前は、地味で成績がすごくいいやつだった覚えがあります。たぶん卒業まで絶対仲良くならないだろうなと思ってた(笑)」
兵「俺は4年のとき。学園バトルロワイヤルで三郎とやりあうことになった。強かったので、手加減も出来ず、お互いに全治一ヶ月の怪我を負うガチバトルに発展した。印象は・・・ま、戦いの最中だったし、ぶっ殺すとしか思ってなかったかな(笑)」
竹「一年のときから同じクラスだった。仲良くなったきっかけは、4月の食堂当番でいっしょになっていろいろ話をしたときかな。一年生なのに、料理がすごく上手なんでびっくりした」
兵「ハチ、さっきからお前の話いまいち地味だよ」
竹「ほっとけ馬鹿」

06:そんな鉢屋を好きになったきっかけというのは何でしょうか?

雷「・・・そんなこと、誰にも言わない(笑)」
兵「俺の特製ブレーンバスター”地獄千手観音”を喰らってもなお立ち上がったところ。三郎の中に漢を見た瞬間だった」
竹「俺が食堂当番で皿を割ったとき、罪を被ってくれたところ。俺は鉢屋の恩をいっしょう忘れないぞって思った!」

07:ところで落乱/忍たまで1番好きなキャラは誰でしょうか?

雷「中在家先輩と乱太郎」
兵「斉藤」
竹「一番は選べない。みんな好きだからな!」
雷「この答えは、この質問の意図的に間違ってると思うな」
兵「だったらお前が三郎っていってやれよ」
竹「じゃんけんで誰が言うか決めようぜ」

08:漫画(落乱)派ですか?アニメ(忍たま)派ですか?

雷「どっちの三郎も好きだよ(笑)」
兵「雷蔵、ここで(笑)はやめてやれ。真実味なくなるから」
雷「じゃあ、どっちの雷蔵も好きだよwwww」
竹「雷蔵、何か嫌なことされたのか。怒ってるなら素直に言ってやったほうが、いいぜ」

09:鉢屋の出てくる話のうち、どれが1番好きですか?

雷「正体を暴けのやつかな~三郎がふんどし姿になってるから」
兵「好きなものを食べるかな。豆腐が出てる」
竹「それ三郎関係なくね?」
兵「ないよ」
竹「あっさりいうな」

10:鉢屋の事、何て呼んでいますか?

雷「三郎」
兵「三郎」
竹「三郎」
雷「おもしろみが足りないね・・・」
兵「これからあいつのことふんどしって呼んでやるか」
竹「ああ、いじめってこうやって始まっていくんだなあ・・・」

11:鉢屋のイメージソングとかってありますか?

雷「松田○子の、”赤いスイートピー”」
兵「”バレンタインデーキッス”」
竹「何でみんな一様にアイドルソング?」
兵「そんなお前は?」
竹「・・・”THE 美学”」
雷「はい、次行こー!」

12:動物に例えると鉢屋って何だと思いますか?

雷「ネコ科の動物」
兵「うん、ネコ科だな」
竹「ネコ科オオヤマネコ族コドコドって感じだな!」
雷「うん、それ、なに?」

13:ならば妖怪に例えると何だと思いますか?

雷「鉢屋三郎」
兵「九尾の狐」
竹「雷蔵、それってどういう意味で・・・」

14:鉢屋のイメージカラーって何色ですか?

雷「桃色」
兵「赤」
竹「紫」

15:鉢屋の背景に似合いそうな花ってどんな花だと思いますか?

雷「チューリップ」
兵「花なんて薬草しかわからん。・・・ドクダミ?」
竹「アザミ」

16:鉢屋の性格を一言で表現するとしたら?

雷「器用貧乏」
兵「まさに外道!」
竹「悪ふざけ」

17:鉢屋と1番仲がいいのは誰だと思いますか?またその理由は?

雷「兵助。・・・理由は特に・・・勘?」
兵「雷蔵。正直好き過ぎると思う」
竹「雷蔵・・・に見せかけて、しんべえかな。鉢屋にとっての雷蔵はなんていうか、もう、友達のレベルじゃない気がする」

18:逆に1番仲が悪いのは誰だと思いますか?

雷「三郎に嫌いな人なんていないよ」
兵「嫌いなやつはいないだろ」
竹「いないと思う」

19:嫌いじゃないけど・・・・・って事で、鉢屋は誰の事あるいはどんなタイプを苦手に感じると思いますか?

雷「ノリの悪い、感情に乏しいタイプの人かな。苦手っていうか、つまらなくは思うと思う」
兵「雷蔵の敵に回るやつ」
竹「中在家先輩みたいな人かな。なに喋ったらいいか、困るんじゃないか。あと、小松田さん。普段はいいだろうけど、仕事で組むとキレると思う(笑)」

20:あの人アレだから・・・・って事で、鉢屋を苦手に思うのは誰あるいはどんなタイプの人だと思いますか?

雷「立花先輩かな。短期間の付き合いならいいけれど、ずっと一緒にいるのは、三郎のフリーダムさについていけなくて苛立ちそうだと思う」
兵「一年い組の伝七とか?」
竹「リーダーシップとりたいやつは三郎の扱いに慣れるまで難しいかも・・・(苦笑)」

21:落ち着いていると評判の5年生ですが4人の仲はいいと思いますか?

雷「結構けんかするよね」
兵「するな。でも、力関係がはっきりしてるぶん、落ち着いて見える部分はあるかもしれない」
竹「力関係?」
兵「三郎は雷蔵に勝てない、雷蔵はお前には結構甘いし、お前は俺に甘い」
雷「あはは、ヒエラルキーの底辺に三郎がいる」
兵「ははは」
竹「俺、もっと三郎に優しくしよーっと」

22:久々知・不破・竹谷から鉢屋は何て呼ばれてると思いますか?逆に鉢屋は何て呼びますか?

雷「雷蔵」
兵「兵助」
竹「ハチ」

23:名物コンビと評される不破と鉢屋が出会ったのは何時の事だと思いますか?
24:何時から鉢屋は不破の変装をする様になったと思いますか?

雷「二年の夏ぐらいだったかなあ・・・出会ってすぐ僕の顔ばっかり使ってたわけではないよ」
兵「あー、たしかに、雷蔵二人いるなあって思うようになったのは、もっとずっと後だったかな」
竹「それまで三郎はいろんなやつの顔借りて俺たちと仲良くしてたんだけど、雷蔵が、三郎がどこにいるかわかんないから嫌ってごねたんだよ」
雷「そうだっけ?」
竹「そう。んで、雷蔵が僕以外に化けちゃ駄目!っていって、今の流れ」
雷「じゃ、三郎が僕の顔ばっかり真似るのは僕のせいってこと?」
竹「そう」
兵「じゃあもう雷蔵文句言えないな」
雷「ありゃりゃ・・・」

25:ようやく名前が判明した竹谷ですが、鉢屋とはどんな会話をしていると思いますか?

雷「よくくのいちの話してるよね。猥談から恋バナまで。三郎は僕には絶対ピンク系の話は振ってこないから、ちょっとうらやましいな~って思うけど」
兵「雷蔵エロバナ好きだもんな」
雷「そりゃもう男子ですから!」
兵「この間はお笑いの話してたよな。俺小テストの勉強してるのに、隣でふたりでルネッサーンスって言い続けてるから、ぶっ殺してやろうかと思ったぞ(にこ!)」
竹「ま、つまりふつーの会話をしている、と」

26:同じ顔が2つある5年ろ組ですがクラスメイトの反応はどんなもんでしょうか?

クラスメイトA「おーっ、インタビュー中にすまん、三郎!」
雷「僕不破のほう」
A「三郎は?」
雷「押入れに拉致換金してあるけど・・・こっちつれてきたほうがいい?」
A「あーいいよ、勝手に出しとく」
雷「は~い」
クラスメイトB「おーい、不破!って、お前不破のほうでいいよな?」
雷「いいよ~。あ、三郎に貸してた辞書?僕預かってる。はい」
クラスメイトC「おっす!ハチ、お前の隣にいるのって雷蔵?」
竹「ん。」
C「雷蔵、あとで用具管理費払って」
雷「あ、三郎にふたりぶん貰っといて」
C「オッケー」
雷「まあ、こんな感じで、慣れきっています」

27:豆腐小僧と名高い隣のクラスの久々知ですが、鉢屋とはどの程度面識があると思いますか?

兵「廊下ですれ違うたびプロレス技掛け合う程度の面識」

28:豆腐と変装、お互いの趣味についてそれぞれどう考えていると思いますか?

雷「三郎は巻き込まれない限りあんまり人の趣味に口出ししないから。あんまり気にしてないんじゃない?」
兵「俺は、変装は、忍術に役立つことだし別にいいと思ってるけど?」

29:鉢屋は武道大会で優勝した事がある変装の達人ですが教科の成績はどうだと思いますか?

雷「いいよ」
兵「学年でいつも一番二番だよな」
竹「ノート写させてもらってます」

30:試験の時は事前にコツコツやるタイプだと思いますか?それともあんまりやらなくても出来るタイプだと思いますか?

雷「あんまりやらなくても出来るタイプのところに、陰でコツコツやるタイプ」
兵「あいつ、好きな言葉は、”成功は1%の才能と99%の努力”だからな」
竹「もともと天才肌のところに、努力家だから、誰もあいつに嫉妬できない」

31:変装の達人である鉢屋が変装以外に得意な事って何かあると思いますか?

雷「なんでも得意だよ。苦手のほうが少ないくらい」
兵「雷蔵を怒らせること」
竹「本人はもの真似とかくれんぼとゆーておりますが」
兵「あいつの面白いところは、個性を隠そうとして逆に個性的になっているところだよな」

32:逆に、どうしてもこれだけは苦手、って事はあると思いますか?

雷「さみしいことじゃないかな。三郎、めちゃくちゃさみしがりやだから、三日ぐらい誰とも口聞かないと精神的に参ってくるって言ってた」
兵「忍者としては弱点だな、それ。雷蔵も苦手のうちじゃないか」
雷「なんだかそれ、僕が三郎の障害になってるみたいで嫌なんだけど」
竹「悪ふざけできないかたっくるしい状況」

33:鉢屋の好きな食べ物って何だと思いますか?

雷「スイーツ(笑)」
兵「ああ、うん、あいつ甘いもの好きな」
竹「小豆が好きなんだよな、たぶん。大福とか饅頭とか汁粉とか・・・」

34:おばちゃんに怒られてもお残ししちゃう物って何だと思いますか?

雷「そこまでのものはないと思う」
兵「あいつは弱点は克服しようとするからな」
竹「もともと青菜を進んで食べるほうじゃないとは聞いた」

35:プライドは高い方だと思いますか?また何に対するプライドだと思いますか?

雷「高いよ、プライド。すごい高い。何に対する・・・忍術に関してじゃないかな」
兵「やっぱり変装だな」
竹「う~ん、変装で負けたとあらばどうなるか想像つかないなあ・・・」

36:学級委員長の鉢屋ですが、どうして学級委員長に決まったと思いますか?

雷「みんなの推薦と本人の立候補」
兵「請け負ったときから暗躍する気満々だったろ、ありゃ」
竹「五年ろ組一同、今では後悔しています(笑)」

37:鉢屋は「僕」「私」両方使っていますが結局のところ1人称って何だと思いますか?

雷「僕たち相手だと俺って言うよね」
兵「そのむかーし、まだ遠慮のあったかわいかったころは僕といっていた」
竹「お仕事モードになると私だな」

38:突然ですが鉢屋の素顔ってどんな風になっていると思いますか?

雷「(笑)」
兵「あ、見たことあるのか?」
雷「ああ、三郎だなーって感じ」
竹「イケメン?」
雷「僕の好みではないけど」

39:変装の技術については色々な説がありますが誰からまたは何時頃習ったと思います?

雷「変装は三郎んちのお家芸でしょ。学園に入る前からお父上に習ってたって聞いたけど」

40:どうして素顔を隠しているんだと思いますか?

雷「修行をかねた究極の悪ふざけ?とか?」
兵「趣味だな(きっぱり)」
竹「学園生活を面白おかしくおくるための究極のゲームとか・・・」
「「「三郎の考えそうなことだ」」」

41:素顔を明かす日が来たとして・・・・それはどんな時に誰に見せると思いますか?あるいはそんな日は来ると思いますか?

雷「はっはっは」
兵「もう明かされちゃった男がここにいるわけだ」
雷「はっはっは」
竹「どんなときにどうやって明かされたわけ?」
雷「はっはっは。ひどいスリルとエキサイトの果てに、とだけ言っておくよ。後は秘密」
兵「無理やりか」
竹「雷蔵、三郎に優しくしてやってくれ」
雷「なあに、悪いようにはしないさ。僕は優しい男なんだよ?」

42:鉢屋の身長・体重・体格を妄想してみてください。

雷「三郎の身体データってそのまま僕のそれになるんじゃ・・・」
兵「うーん、身体まで見た目そっくりだからな」
竹「あ、でも、雷蔵のほうがたぶんちょっと体格いいよな?殴ったときの重みが違うもんな」
雷「うん、僕のほうが骨が太いと思う」
兵「身長は同じとしてー、あと、筋肉のつきも、雷蔵のほうがちょっといいよな?」
雷「三郎は手足が僕より長いよ」

43:鉢屋の家族設定を熱く語ってください。

雷「熱く・・・美人のお姉さんがいたらいいなー!!
兵「綺麗なお母さんがいたらいいなー!!
竹「じゃあ・・・可愛い妹がいたらいいなー!!

44:長期休みになると故郷に帰る子もいますが、鉢屋はどうだと思いますか?

雷「帰ってないっぽいけど」
兵「うん、俺と一緒に学園居残り組み」
竹「深く触れてやらないのが優しさだよな!」

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春と修羅④

なまぬるい食満竹の性描写ありますんでご注意。


それから三日後に、竹谷は帰還した。
食満は、竹谷が帰ってきたことを食堂の五年生の噂話で知り、慌てて飯を掻き込むと、表へ出た。門のところまで出て行くと、竹谷は、友人たちに囲まれて笑みを零していた。なんだ、心配したほど落ち込んでいるふうでもないな、と食満は少し安堵すると、そのまま竹谷には声をかけず自室に戻った。何とはなしに勢いで作ってしまった虫網と虫籠は、またの機会にでも渡してやろう、そう思った。
夜になって、食満が布団を敷いていると、衝立の向こうから伊作が「行かなくてもいいのかい」と声をかけた。どこに、と問うと、「あの後輩のところへさ、」と言いにくそうなくぐもった声がした。食満はしばらく黙ってから、
「あいつが来たいと思ったら俺は受け入れる。だけど、俺から会いに行くというのは、違うんだ」
と返した。伊作は少しの沈黙の後、「そんなものかね」と溜息混じりに言った。
食満は、竹谷のいない間に、竹谷との距離を測りかねていた。後輩という意識は、やがて、弟のような、という想いに変わった。今は、それとも違うような気がして、それで困っている。弟に寄せるのよりもっとずっと親しい思いがあるような気がする。けれどそれは、友達というのとも違う。ただただ笑い顔が見たいと思う。竹谷の笑い顔は、食満を安心させる。幸せであってくれと思う。けれどもそれは、祈りとは違う、もっと欲望めいた強い思いだ。例えば、誰が彼を幸せにしてもいいわけではないのだ。俺が、と、思う。俺が、幸せにする。俺の隣でなければ駄目だ。俺のために笑っていなければ駄目だ。
食満はそれを、よくないことと思った。あまりにも、自分勝手で、愚かな感情だ。なによりも、竹谷によくない。あれにはもっと、優しい愛情を注いでやって、まっすぐ育たなければ駄目だ。

真夜中になって、ふと目が覚めた。月のある晩で、障子に人影が見えたから、食満は身体を起こして、障子を開けて表を見た。そこには、寝巻き姿の竹谷が立っていた。食満が起きてくるとは思っていなかったらしい、竹谷は、突然顔を覗かせた食満に驚いて肩を揺らした。
「先輩、」
「どうした。何か、用か」
「散歩です。眠れなくて」
「六年の長屋へ、わざわざ散歩に入ってきたのか。度胸があるんだな」
食満の意地悪な物言いに、竹谷は苦笑した。それで、小さく、「会いたくて」と言った。食満は、縁側の草履を出してきて、それを履くと、障子を閉めた。竹谷の手を握ったら、ひどく冷たかった。井戸水で手を洗ったばかりなのだろう、それはしっとりと濡れていた。
「洗っても洗っても落ちないような気がして」
竹谷は俯いて、表情ばかりは食満に悟らせないようにと思いながら、震える声で弱音を吐いた。誰かに弱音を吐きたかった。食満しか、思いつかなかったのだった。覚悟はしていた。後悔もなかった。けれど、人間の身体に刃物を突き刺すその瞬間の感触が、いつまでも手から離れなかった。血の匂いが、身体に纏わりついて消えなかった。飲み込んでいくしかない苦しみだとわかっていても、誰かに今のこの苦しみを分かち持ってもらいたくて仕方がなかった。食満は、ぎゅう、と竹谷を抱きしめた。それから、
「ハチ、」と呼んだ。
「ハチって呼んでもいいか」
「どうぞ」
竹谷は頷いてから、「呼んでください」と言い直した。
「今夜は一晩一緒にいてやる」
食満はそれだけ言って、竹谷の利き手をぎゅっと握った。その力の篭り方が、きっとこの人は、今夜中この手を離さないでいてくれるだろう、と竹谷に思わせた。竹谷はそれが嬉しくて、笑顔を浮かべた。ふたりで手を繋いでとぼとぼと用具倉庫までの道を歩いた。その間ふたりはなんでもないことを一生懸命話した。何が好きで、何が嫌いか、どんな生い立ちで、どうして忍者を目指したか。当たり前のつまらないことばかりを、どうして今まで知らずにいたのか、お互いに不思議な気持ちになりながら、確かめ合うように、語った。用具倉庫は真っ暗闇だった。扉を開けたら、懐かしい、かびと埃の入り混じった匂いがした。食満がそっと松明をつけた。橙色にまわりが明るくなった。食満が、何を話そうか、というと、竹谷が、何も、と応えた。それで、食満は黙った。竹谷は何も言わず、まっすぐ前を見ていた。きっと、この柔らかい心の少年は、大きな重た苦しいものをひとつ、必死で嚥下しようとしているのだと思った。それは、一年前に、食満が通った道だった。あの時は隣に、伊作がいた。ふたりして、やっぱり同じように、咎を行った手のひらをお互いに暖めあいながら、寒い夜を越えた。
豆だらけだった手のひらは、すこしずつ硬く分厚いものに代わり、豆を減らす代わりにたくさんの傷を手に入れた。そうして、昔よりもっとずっと強くなって、大きな手のひらを手にいれたはずだった。それでもまだ、愛しいものを守るには足りないのだなあと食満はぼんやり考える。傍らにある愛しい可愛い存在が、少しずつ心を硬くしていくのを、惜しいことと思いながらそばで見守っていてやるしか出来ない。
この学園で、出会って、分かれていく人たちは、お互いに優しい心を見せつけあいながら、己を殺していくのだと思った。せめて、覚えていて。どうか、俺がこれから殺して行く俺の心の弱く柔らかいばかりの部分を、どうか俺の代わりに覚えていて、と。食満は、いつか消えてしまうのだろう竹谷のそれを、消して忘れるまいと思う。自分の弱さをあのとき伊作に預けたように。そうして、伊作の心もまた、食満が請け負ったのだ。
食満は竹谷を抱き寄せて、そっと口を吸った。竹谷は少し驚いた表情をして、
「俺を、」
と言った。
「ああ。いやか」
「いえ、」
行為の最中も、食満は、律儀に竹谷の片手だけは決して離そうとしなかった。竹谷は、そんなことがとても嬉しく、ああ、このひとは、とてもよいひとだなあとしみじみ思った。行為の最中、食満が、小さく自分を伊作と呼んだことも、竹谷は目を閉じて黙って受け入れた。ただただ、血の匂いのする冷たい右手を、庇っていてくれることが嬉しくて、だからもう、ほかはどうでもよいとさえ思ったのだった。
竹谷の奥に熱情を叩きつけた後、食満がちょっと情けない表情をして、「悪い兄ちゃんだな、俺は」と苦々しく呟いたのがおかしくて、竹谷は声を上げて笑った。

かくものりすと

じぶんようめも。

・さこふし
・だって男の子だからよねんせい(かわいく、しかしたくましく)
・だって男の子だからろくねんせい(だって思春期だから)
・らいはち
・はちやのいっせいちだいのこくはくへん(おれとそうにんになってください!)
・ちょうこへ
・とまつさくべいのぼうそう
・ちょうへんつづき
・ようこそさほういいんかいへ!
・あやたか
・しょうい(しょうちゃんははぐみのおとうさんで、いすけははぐみのかあちゃん)
・はちやさぶろうはくじけない(はちやがしんべえをねこっかわいがりするはなし)
・くろきしょうざえもんがたおせない(しょうちゃんがせんぱいがたをしかりつけるはなし)
・こどものたいおんたけや(U‐18)

春と修羅③

その夜、食満の布団のなかへ伊作が入ってきた。夜も更けた頃で、食満は眠っていたが、隣で人の気配がするので、目を覚ました。暗くて伊作の表情は見えなかった。食満は、
「どういうつもりだ」
と言った。関係を切ったのは、伊作のほうからだったはずだった。しかも、最近ではどうやら文次郎とうまく関係を作ったような様子であったのに。食満は困惑した。伊作は、冷たい手のひらで、食満の頬をそっと包んだ。
「だめ?」と甘えるような、縋るような、囁きが聞こえた。食満は、彼のこういう頼りないところにとても弱いのだった。だが、食満は、
「だめだ」
と言った。
「なぜ」
「なぜって、お前からやめようといったんだろう」
「・・・ねえ、留さんは、私のことが好きだよね?」
食満は、伊作のずるさに苛立った。伊作の薬草くさいにおいはひどく懐かしく、食満は抱きしめたい思いに駆られていたが、彼の身体を布団から押しだした。
「寝ろよ、もう」
「もしかして、もう、私のことなんか好きじゃなくなっちゃった?」
「なに言ってるんだよ、そんなことお前に関係ないだろ」
「関係あるよ」
「ないよ。好きだとか好きじゃないとか・・・今更なに言ってんだ、俺のこと好きじゃないのは、お前だろ、伊作。お前のほうから俺を切ったんだろう」
伊作からの返事はなく、代わりに重い溜息が闇の中に降ってきた。それから、しばらくして、伊作は黙ってついたての向こうの自分の布団へ戻ったようだった。食満はひどく困惑しながら、頭から布団を被った。もう伊作に振り回されるのはごめんだと思った。ようよう、なんとも思わなくなってきたところだったのに。深く息を吸い込んだら、布団のなかにはまだ薬草の匂いが篭っていて、ひどく打ちのめされたような気分になった。

翌日、食満は試験が終わってから市へ出て一番上質の竹を買ってきた。それで、虫取り網と虫籠を作った。熱心に竹を削って、上薬も塗った。翌日も試験があったが、そっちのけだった。何もかも忘れて、道具を作っている間は、幸せだった。出来上がったら全部、竹谷にやろう、そう思った。
夜になって仙蔵が尋ねてきた。
「まだやっているのか、明日の試験は大丈夫なのか」
と呆れた表情をする。食満が片手間にああ、と頷くと、仙蔵はふんと鼻を鳴らした。それから、
「おい、何に荒れているのかは知らんが、もっと伊作に優しくしてやれ」
とおもむろに言った。食満はびっくりして、顔を上げた。仙蔵と目が合って、持っていた虫籠を傍らへ放り捨てた。それから、唸るような声で、「どうして俺が」と返した。仙蔵は仙蔵でびっくりしたようであったが、食満を見据えて、きっぱりとした口調で「伊作はお前を好いている」と告げた。食満は今度こそ本当に、打ちのめされたような気分になって、荒々しく声を上げた。
「いい加減にしてくれ!俺はこれ以上、伊作のことで気を揉みたくない。なんなんだ、俺のことを好きだといったり嫌いだといったり。潮江と喧嘩でもしたか、寂しくなったら俺のところへ来るのか、俺はあいつの逃げ場じゃない!」
憎々しげに吐き捨てると、その勢いに仙蔵は息を呑まれたようだった。ぽかんと虚をつかれた表情で、まじまじと食満を見返した。
「おい、伊作が好きなのは、お前だぞ、留三郎」
「あいつが好きなのは潮江だ」
「初めはな。けれど、本当の気持ちに気がついたらしい」
「本当の気持ちだと?」
「ああ。潮江と何度か深く話をしてな、心の底にいるのはやはりお前だと気がついたと聞いたが」
食満はぼんやりしたが、それから、その滑稽さに笑いが漏れた。ひどく芝居じみて滑稽だと思った。伊作も、自分も、これではただの馬鹿ではないか。
「今更だ」
吐き捨てるようにして呟いたら、仙蔵はもう何も言わなかった。聡い男だから、こういうときばかりは助かる。食満の傍らに打ち捨てられた虫取り網と籠を見遣って、それは、と口を開いた。
「あの生物委員にやるのか」
「知っているのか」
「最近懇意にしているようだな。・・・五年の竹谷といったか。真っ直ぐな目をして、少し、お前に似ている」
「そうか?」
仙蔵は、食満の表情が途端に穏やかに、落ち着いたのを見た。
「ああ、似ている。弟のようだと思っているのか」
というから、「まあ、そうだ」と頷いたら、仙蔵は少し微笑んで、「なら大切にしてやれ」と言った。
仙蔵はいつも、誰かに対して、よくしてやれ、という。自分ばかりは、いつも他人に対して厳しく接して恐れられているのに。結局不器用なのだな、と思って、食満はまた、道具作りに集中した。

春と修羅②

いつも学園を明るく騒がせている下級生たちは、三日前から、野外宿泊訓練に出掛けてしまっている。
学園の生徒は上から下まで何かと騒がしいやつらばかりだから、学園は相変わらずがやがやと何かしら騒々しいが、それでもどこか寂しいような感じは否めない。食満も委員会の活動を少し小さくした。どうせ、下級生が多い委員会だ、彼らがいなければあまり機能しない。富松と用具確認の当番だけ分け合って、あとは放課後を自分のことに使った。六年ともなれば、卒業試験の勉強に就職活動も平行して進めなくてはならぬから、本当は何かと忙しいのだった。毎日飽きずに委員会ばっかりに専念していた食満を、文次郎や仙蔵は半ば本気で心配していたぐらいだった。伊作だけは、食満の性質をよくわかっていて、彼が用具委員会の活動をようやく縮小したことを知って、
「そりゃ留さん、寂しいだろう」
と労わるように笑った。
生物委員会は下級生ばっかりだから、あいつも仕事にならんだろう、とふと竹谷のことを思った。お互い、下級生がいなくなってしまえば会う用事も見つからなくて、かれこれ一週間ほど姿を見ることもなく過ぎ去った。伊作も最近ではきちんと夜を自室で過ごすことが多くなり、最近では珍しいとからかえば、「そりゃあだって、もうすぐ試験だし」とぼやいた。そんなこんなで、別段竹谷のことを深く想うこともなく何日かを過ごした。


中間試験の前日になった。留三郎が、さっさと終わらせようと手際よく用具倉庫で点検をしていると、ふいに光が差し込んだ。なんだと思って顔を上げると、竹谷だった。食満の、訝しげな視線にぶつかると、彼ははにかんだような笑みを見せた。
「お久しぶりです」
「おう。どうした」
「いや・・・」
「お互い下級生がいなくて、ここ最近は大変だったな。とくに、そっちは世話が大変だったろう。お前一人でやったのか」
「あ、孫兵も一緒です」
「ああ、そうか」
「はい」
「でも明日にはみんな帰ってくるから、」
「はい」
「そしたらまた楽になるさ」
「はい」
「まあでも、下級生ばっかりだからなあ、楽になるというのとはまた違うか?むしろ、余計に仕事が増えるといったほうが正しいかな」
「はあ」
食満の軽口に、竹谷はあいまいに微笑んでいる。借りてきた猫のようだ、と食満は思った。竹谷は、倉庫の扉のところに立ったままだった。
「もっとこっちにこい」
「でも、先輩、お仕事の最中ですし」
「そんなことは構わんが」
「それに、俺も急いでますから」
「そうか?」
竹谷は頷く。それから、食満は、そういえば、と思い立ったように言った。
「何の用だったんだ」
「いや、別にこれといった用はないんですけど、」
「そうなのか。あいつらが帰ってきたらまた遊びに来いよ」
これを言う食満の頬は少し赤かった。言い方がぶっきらぼうになってしまった。本心だけれど、口にしてみるとなんだかすごく気恥ずかしいような心持がしたのだった。けれど竹谷は困ったみたいな表情を浮かべた。それで、おずおずと、遠慮がちに、覗うように、「あいつらがいなくちゃ駄目ですか」と言った。
「あいつらがいなくちゃきちゃいけませんか」
食満は最初、何を言われているのかわからなくてきょとんとした。なぜそんなことを竹谷がこれほどまでに勇気を総動員したような思いつめた表情で言わなくてはいけないのかがよくわからなかったのだった。
「俺が、会いたいからっていうのは、駄目ですか」
竹谷の頬はひどく火照っていた。熱でもあるのかと食満は心配した。眉を潜めて、
「そんなことあるわけないだろう」
と言った。
「下級生がいなくても、お前が来たければ、来たらいいさ」
「はい、」
「そんな当たり前のことを、ひどい勇気を出したふうに言うんだな」
「はは、」
「変なやつだな」
竹谷は、今度はにっこりと微笑んだ。それから、「あの、俺この間うまいうどん屋見つけたんで、いっしょに行きませんか」と言った。食満は、おう、と頷いた。それで、竹谷はまた嬉しそうに笑った。
「明日からの試験が終わったら」
「おう」
「じゃあ、俺行きます」
「もう行くのか」
「はい」
竹谷は名残惜しそうに顔を上げて、まっすぐに竹谷を見つめた。それからぺこりと頭を下げて、用具倉庫から出て行った。竹谷の背中が消えてしまってから、食満はふいに、これではいけないと思って、持っていた矢立を放って倉庫の表へ出た。秋の気配が漂う外は、夕日が澄んだ様子で空を焼き、そこに竹谷の背中が切り取られるようにして収まっていた。ひたひたと迫り来る夜の闇の匂いが、食満の鼻をひくひくと刺激した。
「あ・・・」
と食満は何事かを言わねばならぬと口を開いたが、結局何をいっていいものかわからず、そのままぼんやりと竹谷の背中を見送った。

翌朝になって、食堂へ行くと、朝早く行ったはずなのにさっきまで人がたくさんいた気配があった。味噌汁だの白米だのの匂いがあたりに立ち込めているのに、食満は不思議な表情を浮かべた。食堂のおばちゃんが、「ああ、五年生よ」と言った。
「今日から実技試験でしょう、あの子たち。大変ねえ、握り飯と一緒に、饅頭もふかしてもたせてやったわ。私は、この日の朝はいつまでたっても苦手ねえ。毎年のことだけれど」
「あ、」
と食満は阿呆のように口を開けて、思わず呻くような声を出していた。そうだ、五年の中間試験といえば、暗殺があるのではないか。たいていの生徒たちはそこで初めて人を殺める。食満は、それでようやく、昨日の竹谷の変わった様子に合点がいったのだった。そうか、あいつ、覚悟を決めにきていたのか。よくもわかっておらぬまま帰してしまって、かわいそうなことをした、なにより自分が憎らしい、先輩らしいことをなにもしてやれなんだ。食満が唇を噛み締めると、外できゃあきゃあと高い声たちが聞こえてきた。下級生たちが帰ってきたのだ。
食堂のおばちゃんが、慌てたように米びつを開く。
食満はそれをきっかけに、しおれたような様子で机に向かった。食堂は、試験に関する話題でもちきりである。
学園は今日も朝から忙しない。

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