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よいこわるいこふつうのこ

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設定妄想

現代版忍術学園。

現代で忍者目指している人が入る学校。に、通う忍たまたちの話。

制服は夏はポロシャツがいい。なぜってそれは上級生ポロシャツ似合う人多そうだから。学年によってポロシャツの色違うといいなと思ったけど、一年生、水色に井桁模様のポロはないわー(´ー`)
でもくくちくんに紺色のポロは最高に似合うと思うんだがどうだろうか。学ランよりブレザーのほうが似合う人多そうだからブレザーで。

一年生は13歳で、最高学年の6年生は18歳。
卒業後はそのまま忍者になる人がほとんど。大学通うとなると、相当勉強するか体育大学じゃないと無理。(なにしろ授業は受験向きの知識じゃなくて忍者向きの内容ですから)

生徒の中には、まれにドシリアスで複雑な家庭の子とかもいる。子どもが忍者目指すくらいだから、たぶん、普通の学校よりはよっぽど多い。

超マイ設定です。
きり丸
→家族を殺される。暗殺かもしれない?敵討ち云々については幼い頃は考えていなかったけれど、忍術を学ぶにつれて少しずつその思いも出てくる。

久々知
→もともとは忍者に縁のないごく普通の家庭の子。だったが、ある事件に巻き込まれて家族を失った経緯で忍術学園に拾われる。

タカ丸
→ごく一般の家庭の子として生きてきたが、最近、自分の家が忍者の家系だったことを知る。抜け忍として命を狙われる。

三郎
→一流忍者集団として名高い鉢屋衆の跡継ぎ候補。三男なのに跡継ぎ候補。

なんとなく良い家の子そう。→しんべヱ、滝夜叉丸、三木ヱ門、伏木蔵、仙蔵、

スペシャリストの家系そう。→虎若(火器銃器)、団蔵(馬術)、喜三太(風魔)、三郎(鉢屋衆)、団蔵、タカ丸(桂男)

校則はわりとゆるい。どうせ授業やら仕事(アルバイト扱い)やらで異装やアルバイトや携帯だって必要だし。ただ、アルバイトでも殺人は禁止。5年の実習時に一斉に行なう。
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めりくり

6年生現パロ。



「クリスマス遊ぼう」とメールを入れたら、仙蔵からは速攻「無理」と2文字できてそれっきり、続いて食満が「悪い、もう予定入れちまった」――多分デートだ。なんか腹立つ、伊作は「クリスマスくらい女の子と遊びなよ(^_^;)」余計なお世話だっつうの!最後に文次郎、あいつは真面目で堅物だから、「っていうか俺ら受験生」。長次にいたっては返事も来んかった。
今が18の大学受験を迎えためっぽう忙しい(はずの)冬だとは知れている。そうはいっても、俺らだってこれで最後だし。卒業間近の最後の冬だし。仙ちゃんは京都の超頭いい学校に行くんだって決めてる。文次郎は、第一志望の大学は東京だけど、京都と悩んでるっぽい。もしかしたら京都にするかも、って言って、それを仙ちゃんに教えてやったら凄く不細工な顔になって、「そんなことになったら文次郎を速攻ぶっ殺す」とか言ってた。同じ大学通えるなんて楽しそうなのに、俺は羨ましいけどな。食満はえーっと、仙台のほうだったかな、行くっていってた。長次は地元。俺も推薦で決めた大学が電車で一時間のとこだから、自宅通い。伊作も推薦で大学決めたはずだけど、バイトやら何やらで忙しそうだ。俺もクリスマスはさすがにまずいかなーと思わないではなかったんだけど、だけど、俺たち去年までなんだかんだでクリスマスは集まってうだうだやってたんだもの。べつに約束したわけじゃないから、実をいうと去年も危なかった。去年は伊作に彼女ができて、食満が風邪をひいて、文次郎も暇じゃないっていうし、そんならやめとくかーって話になって、俺はつまんないなって思ったから仙ちゃんと長次と街をぶらぶらしてたら、文次郎がひとりで買い物してたから無理やり仲間に入れて(結局何がしたかったんだ、アイツ)、食満がだいぶよくなったってメールくれたから呼び寄せて、伊作の冷やかしに行こうって話になってイルミネーションが綺麗な百年公園に男5人で行ったら、目の前で伊作が女の子に頬を張られてひとつの恋愛が終わっていて、俺たち全員で爆笑したのだった。なんだかんだで集合してうだうだ過ごしたクリスマスだったのだ。
でも今年は無理かな、やっぱりな。
つまんねーなと思って長次に電話したら、付き合ってやるって一言くれた。わは、いいやつ!もうこうなったら俺、長次とふたりっきりでハッピークリスマス過ごすもんねー。べつに俺だってクリスマスのにふたりで過ごしてもいい女の子だっていないわけじゃないけど、けど、男同士でたらたらつるんでたほうが楽しいんだもの。俺がいつまでも子どもなんだろうか。だけどさあ、俺ら、今年で仕舞いじゃん。みんなはさみしくないんだろうか。
文次郎に文句を行ったら、「どうせ新生活始まったらすぐに忘れるって。そんなもんだって」と軽く言われた。そういうもんなのか、マジで、そんな寂しいもんなの?小学生からずっと一緒の6人組だったから、これでばらばらってことがいまいち実感湧かないんだけど、そんな簡単に前だけ向いて歩いていくもんなんだろうか、俺たち。
寂しいメールがつまった携帯を前に唸っていたら、食満からメールがあって、「お前どうせひとりだろ、約束断ったから俺とでいいなら遊ぶ?」と気遣いたっぷりのメッセージをくれた。俺は笑顔になって食満に電話掛けようとしたら、今度は伊作からのメール。「で、何時にどこ集合なの~?」なんだお前、女の子と過ごすんじゃないの、っていうかお前もクリスマス一人なんじゃん(怒)。「仙蔵と文次郎これないかな?」って食満に零したら、「明日学校で仙蔵相手におねがい、おねがい、仙ちゃんと遊びたいよう!って甘えてみろ、お前ならイケる。あいつは動物系に弱いんだ」とのこと。よし、わかった、色仕掛けだな、やってみる。文次郎は、あいつ本人がどれだけ嫌がろうと仙ちゃんがその気になれば縛り上げてでもつれてきてくれる。
「わーい、今年のクリスマスも楽しそうだなー」と喜んでいたら、電話越しに苦笑されて「ほんとにガキっぽいなあ、お前」と呆れられた。それでもいいよ、今が楽しいんだから、しばらく子どもでいい。

こんなめに君をあわせる人間は僕の他にありはしないよ①

5年 VS 4年、で、やっぱりくくタカなんだぜこれ・・・。
中編くらいになるのではないかと。


① 優秀な5年生の有難いお話と不安を募らせる編入生、あるいはプロローグ


「やあやあ、そろそろ恒例の"女狩り"の季節がやって参りましたな!」
と、鉢屋三郎が両手指をわきわきと卑猥に動かし、同級生不破雷蔵の顔を借りながら下卑た笑いを浮かべたのは、折りしも年の暮れ、今にも雪がちらつきそうな重たい雲が立ち込める午後のことであった。いくら寒かろうとも個人の部屋に火桶を持ち込むのは禁止されている。毎日の慣わしとして授業を終えた斉藤タカ丸が九々知兵助の部屋を訪ねて、ふたりで先日街で買ってきた餅などを食みながら「寒い」「寒い」と言い合っていたところへ、これも恒例のこととして、半纏に綿足袋、襟巻きと防寒を万全にした三郎と、苦笑気味の雷蔵がこれまた三郎とお揃いの半纏を羽織って現われたのだった。
立ち上がってふたりを向かえた九々知は、まず三郎の恥じらいのない言動を手刀で諫め、その奥から餅を飲み込んだタカ丸が至極真面目な顔で、
「ハッチ先輩、それは夏でしょう」
と訂正した。雷蔵が苦笑して、「そうか、タカ丸は今年来たばっかりでまだ知らないんだっけ」と三郎の言葉の意味を説明したことから、今回の騒動は始まる。


「合同、実習」
「そう。4年が女装して、それぞれ密書なり札なりの課題をもって街に紛れる。5年がそれを見破って、課題を手に入れられることができれば、実習は成功。課題を3枚集めた時点でクリア、長屋に戻って食堂のおばちゃん特製の甘酒を飲みながらゆっくり年の瀬を迎えられるってわけ」
「課題を集めきらなかったら?」
「街で彷徨い泣きながら孤独な年越し」
「うわあ、」
一種の行事と課している実習訓練はいくつかあるもので、そのうちのひとつがこれなのだと三郎がわくわくして話す。彼は、一般に実習と名のつくものは難しければ難しいほど好きだ。にやにやしている三郎の様子が、言葉以上に過酷な実習なのだろうことを物語っている。今年は、編入生ながらタカ丸も4年のひとりとして参加することになるだろうから、と雷蔵は前置きし、4年生側の課題も語った。
「4年は基本的には課題の戦守。守り抜けば課題はクリアだし、逆に一枚でも5年生から課題を取り上げることができれば、優秀賞ってことで冬の宿題が半減される。今年は田村三木ヱ門とか、平滝夜叉丸とか優秀で野心的な4年生が多いから、僕ら5年生も課題クリアに苦労しそうだよ」
ふむふむ、とタカ丸は、彼の美徳でどんな話も真面目に聞き入れながら、「でも、」と口を挟む。
「どうして女装に限定なんだろう」
「それはだな、おそらくだが、4年が一般に女装が通用するといわれる最後の学年だからじゃないか?今までの集大成ということで、変装のなかでも女装をあえて選んだんだろう。5、6年になると変装教習でももう女装はなくなるからな」
5年の優等生の一人兵助の言に、他の5年生ふたりも相槌を打つ。タカ丸は表情を歪ませた。
「ええ、じゃあ俺はもう15だし、女装の時期は終わってるってこと?」
「まあ、そうだな」
「不利じゃん、今度の実習」
「まあな」
「ええ~ッ!?」
不満げな声をあげる年上の下級生を、兵助は肘で突く。
「何いってやがる」
呆れ顔だった。「忍者が有利不利を語るな。不利があれば、その中で最善を尽くすのが俺たちの戦術というものだろうが!げんに、例えば今年の6年生、潮江文次郎先輩、中江長次先輩などは、女装はからきし似合わず偶然その姿を見た下級生に大泣きされたほどだったが、課題クリアをされている。文次郎先輩などはその年の優秀賞をもらったほどだしな」
「そうそう、女装が似合うか似合わないかなんてそれほど問題じゃない。ようは、タカ丸のやり方で課題を死守すればいいんだよ」
雷蔵が穏やかな表情で説く。タカ丸は自信のなさから曖昧に頷きながら、ある種の興味から尋ねた。
「みんなは去年、どうだったの?」
「俺たち?」
兵助がふ、と息を吐いて少し頬を緩ませる。友を自慢する表情は満足げで、三郎を示した。「俺たちには変装の名人がいる」
「戦わずして勝つ、それが忍者の最善よ~ん」
タカ丸の目の前で、もうひとりの不破雷蔵がひらりと舞い、その曲芸じみた動きに目を走らせているうちに、目の前には地味な田舎娘が微笑んでいた。娘は隣の穏和な同級生を指差す。
「雷蔵はいいところまでいった」
雷蔵は面目ないと苦笑で頭を掻いて、兵助を見た。「そして、タカ丸君、そこにいる兵助も優秀賞を得た一人だよ。実習までの数日間、よく勉強をしておくことだね」

深呼吸の必要

小松田優作とタカ丸が好きですと思いつつも、くくタカも捨てがたいと思って生まれたSS。
兵助が可哀想に思えるかも知れませんが、優作は過去の男なので安心してください(なにこれ)。



呼吸を教えられる事がある。受け入れ方に慣れていない初めの頃はやたらと力を抜けと身体を撫でて宥められ、息を吐けと導かれ、優作の大きさを飲み込めるよう気遣われた。
繋がり方に多少慣れた今でも、兵助が呼吸を導こうとすることがあるのは、それはタカ丸がやはりどこかで呼吸を間違えているからなのか。自身を奥まで収め幾度か抜き差しを繰り返し、少し息をついた辺りで、割り開いたタカ丸の身体を撫で擦りながら、息を吸ってくれ、吐いてくれと、子供にするように指示をする。自覚がないまま、それでも素直にしてやると、兵助はタカ丸の呼吸に合わせるように緩慢に動いて、奥まで突き上げた瞬間、また吐いてくれと言われる。呼吸の具合で締めつけの微妙が変わるのだろうか。自分の身体の中を堪能する男を、タカ丸は興味深く眺める。一人遊びのような真似を咎められたと思ったらしい、すまんと苦笑する年下の先輩の顔は、謝罪の割に、子供のように邪気がない。

「……どういう風になるのが良いの」

胸の上に乗った兵助の重い頭を両手でぐしゃぐしゃと乱しながら撫で、問うてやる。引き込まれるように絡み付くのが良いと、少し恥らった様子で兵助は素直に答える。
く、と意識して中に息衝くものを締め上げてやると、気を散らすように兵助が大きく息を吐いて身体を預けてくる。全身で圧し掛かられると重い。腰を抱き寄せられ、そこだけ持ち上げられる。奥に奥にと貪欲な兵助の素直さが、タカ丸には愛おしい。可愛い、と評すればきっと機嫌を損ねるだろうので言わないが、可愛らしいなあと年かさと経験の違いから来る余裕で感じ入る。正直に提示される欲に、何でも受け入れてやりたいように思えてしまう。自分が優作に抱かれるときは、こんなに素直だったろうか、なんだかいつでも余裕がなくて、ほとんど欲をあからさまにすることも出来なかったように思う。優作はいつも、真綿で包むように愛してくれたから、もっとどろどろしたような欲望は見せ難かった。
触れたいと直截に言われれば、「いいよ」とすんなり受け入れる。そのうちとうとう兵助のほうから呆れたみたいにお叱りが来た。

「あのねえ、タカ丸さん、あなた嫌だったら断らなきゃ駄目ですよ」
「いいよ、俺、まだ縛られるのってやったことないもの。興味ある」

だからそれは鉢屋がひとりで騒いでいたことで別に俺がやりたいとかそういうことではないでしょうが!とそのときの兵助の慌てぶりといったら、なかった。可愛いなあと笑ったら、兵助はむっとして、「馬鹿にしてる」と言った。

際まで引き抜かず奥の部分ばかり擦るように小刻みの抽迭を繰り返す男が、切羽詰った様子から取り残された淡々とした声音で呼んでくる。真っ直ぐにこちらを見下ろしてくる兵助と視線を絡ませ、タカ丸はゆっくりと息を吸う。奥へ奥へとずり上がるように兵助が深く侵入してくるような気がする。その瞬間、息を止める。タカ丸の腹の中の引き攣りに深く埋もれたまま兵助が呻くのが愉快だ。ふっと息を吐き出して笑うと、締め付けも緩むのか、平助がまた奥に進みたがる子供のような頑是無さでしつこくしつこく抉ってきて、きりがなかった。



***



そんな風にふたりの男に呼吸を導かれた時の事を思い出したのは、久方ぶりに引いた風邪が存外悪化し、呼吸の調子を意識せねばならぬほど呼吸が困難な状態だったからだ。ひゅうひゅうと隙間風か頼りない笛の音のような痛々しい呼吸を繰り返すタカ丸を見下ろして、随分ひどいみたいですねと、枕元から眉を潜めてこちらを見下ろしている。

「いやもう、風邪なんて久しぶりで、参っちゃった。新野先生がいうにはあったかくして薬のんでればすぐに治るって。ごめんね、今日委員会いけなくて」
「いえ、それは構いませんが」
「もう帰っていいよ」

なんで追い払おうとするんですか!とぷりぷり怒って、、兵助はどかりとタカ丸の寝床のすぐ横に並んで座るように腰を下ろした。タカ丸は苦笑すると激しい咳の中で二度深い呼吸を繰り返し、口を開く。息を溜めるよう意識せねばすぐに息切れてみっともない事になる。

「うつるよ、兵助」
「それは困ります。明日から野外実習だ」

そういいながらも兵助は手を伸ばしてきてタカ丸に触れようとする。タカ丸はひやりとした肌の冷たさに瞳を閉じた。兵助は兵助で、一瞬触れた手の熱に驚いたのか、目を瞠って、相当だなとひとりごちた。

「寝てていいですよ。俺は好きにさせて貰うから」
「……だからさっさと出てかないとうつるよ、って」
「あなたが眠ったら」
「兵助が居たら逆にそわそわして眠れないよ」
「そうですか?あなた、いつも俺より先に寝付いてたような気がするんですがね」

事が終わっても朝まで同衾したがる男の実感の篭もった口調。ついでのように自然に伸ばされた手で、後ろ頭に添った掌にやんわりと包まれ頭を撫でられる。戸惑ったのと、上手く息が整えられぬ所為で三呼吸の間それを享受し―――大きく息を吸って、吐いて、瞳を閉じた。

「困ったな、こういうのって苦手」
「なにがですか、風邪がですか」
「優しく看病されるの」
「そういう経験、ないんですか」
「ううん、ある。あるから苦手」
「よくわかりません」
「うっ、気持ち悪っ…」
「あ、吐きますか」

タカ丸が一言呟いただけで用意された水桶を引き寄せ当たり前の顔で対応しようとする。徹底的に世話を焼いてくれるつもりでいるらしい。まいったなあ、とタカ丸は首を傾げ、込み上げる嘔吐感に、気持ちが悪いと繰り返す。

「風邪引いたことある?」
「そりゃ、ありますよ。人並みには」
「風邪引いたときって妙に人恋しくならない?」
「だから、今こうしてここに俺がいるんでしょうが」
「兵助って、基本的にすごく優しいよね。困ったなあ、俺、優しいの、ほんとは苦手なんだけどなあ、こういう弱ってるときは特に」
「別に、付け込むつもりはありませんけど」
「はは、」

笑った拍子にまた短い発作がでた。深く息を吸う。先刻から、呼吸の乱れるタカ丸を気遣ってか兵助はいつもよりゆっくりと喋り、タカ丸の言葉をじっと待っている。 
何回か付き合いを重ねていくとさ、自分の好きなやつって絶対似てることに気付くよね。そういったのは都の友達。じゃあ、自分は優しい男に縁があるのか。子どものころはよく風邪をひいた。そういうときはなぜだかどこで知ったのか必ず優作が来て、世話を焼いてくれた。優作への思いに気付く前は、確かに自分は甘え上手だったから、やれ果物が食べたい、汗をかいた咽喉が痛いと我侭放題を言った。優作はいちいち笑顔でそれに応えてくれた。

「早くよくなってくださいね」
「兵助、やろう」
「やろうって、今ですか!?」
「…………」
「欲しいよ」

兵助の掌がゆっくりと背を撫ぜる。胸郭の芯にどうにも散らせぬ熱があって、呼吸をするたびにじんわりと痛く、当たり前の呼吸が当たり前にできぬだけの事が辛くて、彼の手の動きに合わせ、タカ丸はただ細い呼吸を繰り返す。外側から撫でられているだけなのに多少空気がすんなりと胸の中に落ちていくような心地がする。ゆっくりと、ゆっくりと。兵助の手が空気を胸の奥に導くように、柔らかく吐き出させるように、タカ丸をあやすように背骨をやんわりと辿って動く。

(……呼吸が、)

また、導かれる。不本意に眉根を寄せると苦しんでいると思われたのか、顔を寄せられる。苦しいか、と息のかかる距離で囁くように問われ、反射的に、ふるりと首を左右に振る。まさか、平助に優作を重ね始めたなどといえるはずもない。兵助は苦笑を零し、さらに顔を寄せてくる。やわららかく口付けられる。苦しい。兵助は一度顔を離して目を細め、再び今度は深く口付けてくる。舌に口蓋の内側を舐められぞわりと肌が粟立つ感覚。舌を絡ませきつく吸われ、最後にぬるりと生々しい感覚がして、解放される。呼吸を気遣ったのか接吻は長くなかった。兵助が手を近付けてきて、指の背で濡れたタカ丸の唇を軽く拭う。我に返ったように気管支に冷えた空気が吸い込まれる感覚が戻ってきて、タカ丸は少し咳き込んだ。

「苦しかったでしょう、すいません。今はやめたほうがいいと思うなあ」

兵助の手を押し返して自ら口元を拭う。舌の感触が生々しく残る。優作さんに会いたいと変な我侭がでそうになって、タカ丸は首を強く横に振ると、

「しよう、兵助」

とやっぱり我侭を言った。

無題

現パロ 忍術学園現代版。


堅物の兵助が付き合い始めたのは、後輩だけど僕らよりひとつ年上の斉藤タカ丸。若いながら将来有望な見習い美容師なのだそうだ。最初に彼を見たとき、独創的なアシンメトリーの髪型に、金色に染めた髪。香るコロン。制服のネクタイをわざとリボン結びに決めてみたりして、一体どこのチャラ男だと僕らは目を丸くした。
兵助は今日まで色恋にはまるで感心のなかった朴念仁だ。どうしようもない堅物で、学校の校則を破るなんて微塵も考えないような男だ。それが、まるで世界が違う、今まで恋人がいなかった時期がないんだろうなっていうような派手な人間を捕まえて、「こいつが俺の恋人」などと臆面もなくいうのだから、僕らの驚きは相当なものだった。
「どこで出会ったの?」
と開口一番三郎が詰め寄ってしまったのも無理はないと思う。
兵助は相変わらずマイペースで、僕らの驚きなんかにはまるで気づいていないふうで、「俺腹減ったからメシくおーぜ」とあっさり言い、さっさと駅前のスターバックスに向かって歩き出した。
駅前のスターバックスで平助と三郎が僕らの注文もあわせて請け負ってくれている間、僕はタカ丸君とふたりっきりで向かい合うことになった。僕はどうしても兵助とタカ丸君を結びつけることができず、無遠慮にタカ丸君を見つめてしまっていた。彼は僕の視線に気がついて、真っ直ぐ僕を見ると、にっこりと微笑んだ。
「はじめまして」
「あ、こっちこそ、はじめまして」
「えっと、俺まだよく分かってないから申し分けないんだけど・・・不破、雷蔵さん、ですか?」
「あ、うん」
「双子じゃないんですよね」
「うん、まあ・・・・」
説明が面倒だから、僕らは堅気の人間には双子という設定にしてある。さては兵助が真実を喋ってしまったのか。いくら恋人相手だからって、兵助らしくない短慮だ。忍者が秘密をべらべらと喋るだなんて。それがどんなに小さな嘘でも、命取りになることだってある。僕はあとで兵助に文句を言ってやろうと思った。
タカ丸君は、ははあ、と感心したように溜息をついて、まじまじと僕を見遣る。
「学校は大変ですか」
「別に、学校なんてどこも一緒でしょ。ほどほどに楽で、でもテストは多いし予習も多いし、そういうところはやっぱり大変だよね」
「そうか、そうなんですね」
タカ丸は君はこくこくと深く頷く。ちょうどそのとき、コーヒーの香りとともに兵助と三郎が戻って来た。それぞれに、三郎は僕の隣、兵助はタカ丸君の隣に座る。
「どんな話をしてた?」
兵助が気遣うようにタカ丸君を見た。僕は、あれ、と思う。どうして兵助はわざわざ僕らを街に呼び出して、タカ丸君に合わせたんだろう。そんなことが今更ながらに気になる。
「自己紹介をしあっただけ」
「そうか」
兵助はタカ丸君に向かって深く一度頷いてみせると、そのまま僕らのほうをまっすぐ見つめて口を開いた。
「タカ丸は、桂男の家系なんだ」

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