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よいこわるいこふつうのこ

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深呼吸の必要

小松田優作とタカ丸が好きですと思いつつも、くくタカも捨てがたいと思って生まれたSS。
兵助が可哀想に思えるかも知れませんが、優作は過去の男なので安心してください(なにこれ)。



呼吸を教えられる事がある。受け入れ方に慣れていない初めの頃はやたらと力を抜けと身体を撫でて宥められ、息を吐けと導かれ、優作の大きさを飲み込めるよう気遣われた。
繋がり方に多少慣れた今でも、兵助が呼吸を導こうとすることがあるのは、それはタカ丸がやはりどこかで呼吸を間違えているからなのか。自身を奥まで収め幾度か抜き差しを繰り返し、少し息をついた辺りで、割り開いたタカ丸の身体を撫で擦りながら、息を吸ってくれ、吐いてくれと、子供にするように指示をする。自覚がないまま、それでも素直にしてやると、兵助はタカ丸の呼吸に合わせるように緩慢に動いて、奥まで突き上げた瞬間、また吐いてくれと言われる。呼吸の具合で締めつけの微妙が変わるのだろうか。自分の身体の中を堪能する男を、タカ丸は興味深く眺める。一人遊びのような真似を咎められたと思ったらしい、すまんと苦笑する年下の先輩の顔は、謝罪の割に、子供のように邪気がない。

「……どういう風になるのが良いの」

胸の上に乗った兵助の重い頭を両手でぐしゃぐしゃと乱しながら撫で、問うてやる。引き込まれるように絡み付くのが良いと、少し恥らった様子で兵助は素直に答える。
く、と意識して中に息衝くものを締め上げてやると、気を散らすように兵助が大きく息を吐いて身体を預けてくる。全身で圧し掛かられると重い。腰を抱き寄せられ、そこだけ持ち上げられる。奥に奥にと貪欲な兵助の素直さが、タカ丸には愛おしい。可愛い、と評すればきっと機嫌を損ねるだろうので言わないが、可愛らしいなあと年かさと経験の違いから来る余裕で感じ入る。正直に提示される欲に、何でも受け入れてやりたいように思えてしまう。自分が優作に抱かれるときは、こんなに素直だったろうか、なんだかいつでも余裕がなくて、ほとんど欲をあからさまにすることも出来なかったように思う。優作はいつも、真綿で包むように愛してくれたから、もっとどろどろしたような欲望は見せ難かった。
触れたいと直截に言われれば、「いいよ」とすんなり受け入れる。そのうちとうとう兵助のほうから呆れたみたいにお叱りが来た。

「あのねえ、タカ丸さん、あなた嫌だったら断らなきゃ駄目ですよ」
「いいよ、俺、まだ縛られるのってやったことないもの。興味ある」

だからそれは鉢屋がひとりで騒いでいたことで別に俺がやりたいとかそういうことではないでしょうが!とそのときの兵助の慌てぶりといったら、なかった。可愛いなあと笑ったら、兵助はむっとして、「馬鹿にしてる」と言った。

際まで引き抜かず奥の部分ばかり擦るように小刻みの抽迭を繰り返す男が、切羽詰った様子から取り残された淡々とした声音で呼んでくる。真っ直ぐにこちらを見下ろしてくる兵助と視線を絡ませ、タカ丸はゆっくりと息を吸う。奥へ奥へとずり上がるように兵助が深く侵入してくるような気がする。その瞬間、息を止める。タカ丸の腹の中の引き攣りに深く埋もれたまま兵助が呻くのが愉快だ。ふっと息を吐き出して笑うと、締め付けも緩むのか、平助がまた奥に進みたがる子供のような頑是無さでしつこくしつこく抉ってきて、きりがなかった。



***



そんな風にふたりの男に呼吸を導かれた時の事を思い出したのは、久方ぶりに引いた風邪が存外悪化し、呼吸の調子を意識せねばならぬほど呼吸が困難な状態だったからだ。ひゅうひゅうと隙間風か頼りない笛の音のような痛々しい呼吸を繰り返すタカ丸を見下ろして、随分ひどいみたいですねと、枕元から眉を潜めてこちらを見下ろしている。

「いやもう、風邪なんて久しぶりで、参っちゃった。新野先生がいうにはあったかくして薬のんでればすぐに治るって。ごめんね、今日委員会いけなくて」
「いえ、それは構いませんが」
「もう帰っていいよ」

なんで追い払おうとするんですか!とぷりぷり怒って、、兵助はどかりとタカ丸の寝床のすぐ横に並んで座るように腰を下ろした。タカ丸は苦笑すると激しい咳の中で二度深い呼吸を繰り返し、口を開く。息を溜めるよう意識せねばすぐに息切れてみっともない事になる。

「うつるよ、兵助」
「それは困ります。明日から野外実習だ」

そういいながらも兵助は手を伸ばしてきてタカ丸に触れようとする。タカ丸はひやりとした肌の冷たさに瞳を閉じた。兵助は兵助で、一瞬触れた手の熱に驚いたのか、目を瞠って、相当だなとひとりごちた。

「寝てていいですよ。俺は好きにさせて貰うから」
「……だからさっさと出てかないとうつるよ、って」
「あなたが眠ったら」
「兵助が居たら逆にそわそわして眠れないよ」
「そうですか?あなた、いつも俺より先に寝付いてたような気がするんですがね」

事が終わっても朝まで同衾したがる男の実感の篭もった口調。ついでのように自然に伸ばされた手で、後ろ頭に添った掌にやんわりと包まれ頭を撫でられる。戸惑ったのと、上手く息が整えられぬ所為で三呼吸の間それを享受し―――大きく息を吸って、吐いて、瞳を閉じた。

「困ったな、こういうのって苦手」
「なにがですか、風邪がですか」
「優しく看病されるの」
「そういう経験、ないんですか」
「ううん、ある。あるから苦手」
「よくわかりません」
「うっ、気持ち悪っ…」
「あ、吐きますか」

タカ丸が一言呟いただけで用意された水桶を引き寄せ当たり前の顔で対応しようとする。徹底的に世話を焼いてくれるつもりでいるらしい。まいったなあ、とタカ丸は首を傾げ、込み上げる嘔吐感に、気持ちが悪いと繰り返す。

「風邪引いたことある?」
「そりゃ、ありますよ。人並みには」
「風邪引いたときって妙に人恋しくならない?」
「だから、今こうしてここに俺がいるんでしょうが」
「兵助って、基本的にすごく優しいよね。困ったなあ、俺、優しいの、ほんとは苦手なんだけどなあ、こういう弱ってるときは特に」
「別に、付け込むつもりはありませんけど」
「はは、」

笑った拍子にまた短い発作がでた。深く息を吸う。先刻から、呼吸の乱れるタカ丸を気遣ってか兵助はいつもよりゆっくりと喋り、タカ丸の言葉をじっと待っている。 
何回か付き合いを重ねていくとさ、自分の好きなやつって絶対似てることに気付くよね。そういったのは都の友達。じゃあ、自分は優しい男に縁があるのか。子どものころはよく風邪をひいた。そういうときはなぜだかどこで知ったのか必ず優作が来て、世話を焼いてくれた。優作への思いに気付く前は、確かに自分は甘え上手だったから、やれ果物が食べたい、汗をかいた咽喉が痛いと我侭放題を言った。優作はいちいち笑顔でそれに応えてくれた。

「早くよくなってくださいね」
「兵助、やろう」
「やろうって、今ですか!?」
「…………」
「欲しいよ」

兵助の掌がゆっくりと背を撫ぜる。胸郭の芯にどうにも散らせぬ熱があって、呼吸をするたびにじんわりと痛く、当たり前の呼吸が当たり前にできぬだけの事が辛くて、彼の手の動きに合わせ、タカ丸はただ細い呼吸を繰り返す。外側から撫でられているだけなのに多少空気がすんなりと胸の中に落ちていくような心地がする。ゆっくりと、ゆっくりと。兵助の手が空気を胸の奥に導くように、柔らかく吐き出させるように、タカ丸をあやすように背骨をやんわりと辿って動く。

(……呼吸が、)

また、導かれる。不本意に眉根を寄せると苦しんでいると思われたのか、顔を寄せられる。苦しいか、と息のかかる距離で囁くように問われ、反射的に、ふるりと首を左右に振る。まさか、平助に優作を重ね始めたなどといえるはずもない。兵助は苦笑を零し、さらに顔を寄せてくる。やわららかく口付けられる。苦しい。兵助は一度顔を離して目を細め、再び今度は深く口付けてくる。舌に口蓋の内側を舐められぞわりと肌が粟立つ感覚。舌を絡ませきつく吸われ、最後にぬるりと生々しい感覚がして、解放される。呼吸を気遣ったのか接吻は長くなかった。兵助が手を近付けてきて、指の背で濡れたタカ丸の唇を軽く拭う。我に返ったように気管支に冷えた空気が吸い込まれる感覚が戻ってきて、タカ丸は少し咳き込んだ。

「苦しかったでしょう、すいません。今はやめたほうがいいと思うなあ」

兵助の手を押し返して自ら口元を拭う。舌の感触が生々しく残る。優作さんに会いたいと変な我侭がでそうになって、タカ丸は首を強く横に振ると、

「しよう、兵助」

とやっぱり我侭を言った。
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