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よいこわるいこふつうのこ

にんじゃなんじゃもんじゃ
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ガラスの靴は脱がないで

竹谷祭りはリベンジするとして、女体化で「夏っぽいお題31」色んなカップリングでひたすら女体化書くというスガワラだけが楽しい試み。

14     サンダル(小松田女体化)
 
「・・・あ」
街で偶然利吉を見かけた。山田利吉二十五歳独身教育系営業職は、その日もやっぱりワイシャツを肩から背中の辺りまでぐっしょり濡らして働いていた。山田利吉独身は、イケメンでしかもえらく仕事ができるらしい。来年あたり本社勤めになって、役職がもらえるんじゃないかと噂されている、らしい。腕で顎から垂れてくる汗を乱暴にぬぐって、彼はそのまま小松田秀作に気がついて、
「あ」
と声を上げた。
「こんにちは」
と声をかけると、帳簿になにやら数字を書きつけながら、「こんにちは」とそっけなく返される。
「お仕事ご苦労様です」
「どうも」
利吉の視線が足元をじいっと見ていた。何かあるのかと考え込んで、数秒。小松田は自分のはいているサンダルに思い当たった。赤いエナメルに白の水玉が散っているミュールで、首筋の辺りをリボンのように巻きつけて結ぶ形になっているものだった。ひどくはしゃいだ格好をしている。(呆れられただろうか)と小松田は思った。別に、今はれっきとした夏休み中だし、だから平日だってどうどうとお洒落して街を歩いていたっていいはずなのだ。後ろめたく思うことはないはずなのに、それでも利吉はどう思っただろうかと気にしてしまう。イケメンでクールでバリバリの出世株の彼は、マイペースで仕事のできない小松田にすぐ呆れてしまうらしいから。小松田は小松田なりに日々を一生懸命生きているつもりなので、利吉に呆れたり馬鹿にされたり苛立った顔をされたって、彼がなぜそんなふうに思ったのか理由がまるで検討づかないのだ。
だからこの男は、私に対してならいつもなんにでも怒るのだ、と彼女は思っている。
「学園は今、夏季休暇なんです。あの、職員も。全員」
「知ってますよ、取引先ですから」
「あ、ですよねー」
「ええ」
会話はそれで止まった。利吉は仕事中だからさっさと解放してやるのが親切なのだが、小松田は他人行儀過ぎやしないかと的外れなことを考えては必死で会話を繋ごうとしている。
「この靴、先週買ったんです。かわいいでしょう、あのね、店になかったからわざわざ発注してもらったんです。最近のお気に入りで、こればっかり履いてるんです。用事がなくても、こればっかり。これしか履いていないんです」
「はあ」
「今日は、こんな靴はいてますけど、ただの買い物なんです。お兄ちゃんに、店に飾る風鈴買ってきておいでって頼まれたんです」
返事がなかった。利吉は苛立った表情をしている。利吉は腹を立てるととたんに無口になる。小松田はしまった、と後悔した。吉野先生いわくどうにも自分は空気が読めない性格らしい。今もたぶん、空気を読めていないのだろう。だけど空気ってどう読むのだろう。ふたりの間に今、どんな空気が流れてるっていうんだろう。それが読み取れたら、利吉は笑うのか。土井先生にするみたいに?
「ただの買い物なんです」
と、もう一度、小松田は繰り返した。言い訳をしているようだと自分で可笑しかった。利吉に返事の間を与えずに言葉を続けた。
「あの、お仕事お疲れ様です。利吉くんは偉いって、土井先生が昨日、褒めてみえました」
「そうですか」
利吉はちょっと微笑んで、それから「その靴、あなたによくお似合いですよ」と褒めた。
小松田は、嬉しかった。利吉はデキるスーパーモテモテエリートサラリーマンなので、たぶんお世辞なんてハリウッド並みに上手に言えるんだと自分に言い聞かせて、舞い上がる足を地につけさせて、それでもやっぱり嬉しかった。
そしてどこかで、利吉をわかりやすい男だと笑ってやりたい気持ちが起こった。山田利吉独身くん、わたしはあなたが独身の理由を知っているんですからね!
土井先生なら絶対履かないような馬鹿っぽいミュールの踵を高く鳴らして、小松田は「お仕事お疲れ様です」ともう一度頭を下げて分かれた。空気が読めたから何なのだ。空気を読んだって、利吉は秀作には微笑まない。だけど秀作は、お世辞でだって利吉に褒めてほしいと思っている。
つまりそういうことだ。恋をしたら女は、空気なんか馬鹿正直に読んでいたら闘っていけないのだ。
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竹谷から食満に50の質問

祭りの下ごしらえ②

竹谷から食満に50の質問。

1.んじゃ、今度は俺から行きまーす!名前はなんですか?

食満留三郎。

2.読み方難しいっすよね。

お前も「しょくまんるさぶろう」と読んだクチか。

3.へへへ。でも先輩も俺のこと「やざえもん」って読んだクチでしょ。

迷って「はちざえもん」っつったら正解だったクチだ。

4.先輩俺のことハチって呼ぶけど、なんか犬みたいだよなってこないだ三郎に言われた。

あいつもハチだろうが。

5.俺が「ハチ」なら三郎は「サブ」だろっつって、こないだ兵助と雷蔵と3人で「やーい、サブ~」「サブ」「兄貴~」ってからかったら「誰とも口きかない」っつってむちゃくちゃ拗ねてた。おもろかった。

お前ら楽しそうだよな

6.ん。楽しい。

よかったな(いいこいいこ)

7.んじゃ、次のしっつもーん!俺のことは好きですか?

直球だな。

8.とっておくようなことでもないかなと思って。

好きだ。

9.直球っすね。

遠まわしに表現しても仕方ないだろ。

10.困ったな、特にもう聞くことねえや。

色々あるだろ、趣味とか誕生日とか!

11.んじゃ、趣味はなんすか?

特にない。

12.なんかないんすか?子守りとか日曜大工とか。

なんだそりゃ。子守りも日曜大工も委員会の仕事のうちだ。

13.先輩は武闘派なんすか?

どうもそうらしいな、噂聞いてると。

14.んな、他人事のように。

自覚ないからな。

15.んな闘ってる印象もないけどな~。あ、潮江先輩とのことかな?

ありゃむこうが突っかかってくるだけだ、うっとうしい。

16.全く同じ台詞を潮江先輩からも聞いたなあ。

お前、あいつと俺どっちを信じるんだ!?

17.んなことで怒んないでよお!わかった、先輩は武闘派っていうか喧嘩っぱやいんだ!

さっさと次の質問行け!

18.え~っと、じゃあ・・・伊作先輩のことは・・・あ、やっぱやめとこ。

なんだ?

19.質問しようかと思ったけど、答え聞きたくないからやめときます。

伊作のことをどう思ってるかって?それは・・・

20.わあ~っ!!言わなくていい、言わなくていいっ!!

なんだ、変なやつだな。

21.男心は複雑なのっ!

気持ち悪いこというな!

22.好きな女のタイプはなんですかあ?

よく気のつく子。

23.巨乳派ですか貧乳派ですか。

そりゃないよりあったほうが・・・って、何の質問だこれ。

24.や、主催者が俺が興味あること質問しろって言うから。

修学旅行の夜の猥談じゃねーんだぞ。

25.初体験はいつですかあ(によによ)

13。年上の遊女。

26.なまなましいな・・・

ま、実際の話だしな。

27.俺というものがありながら先輩の莫迦!

忍者が何言ってる。ま、本命はお前だ。それで満足しろ。

28.遊び者はすぐそういう言い訳言うって聞いたことある。

俺は堅実な男だ。

29.知ってるけど。

次の質問は?

30.ロリコンですか?

ぶはっ!(茶を噴出す)

31.わっ、きったね!・・・だいじょうぶっすか?

なんだなんだなんなんだその質問は!!

32.いや、そういう噂が流れてるから。

出所はど~こ~だ~あ!

33.立花先輩じゃないかな。なんか俺に確証聞きに来たし。

殺るしかないな・・・

34.まあ落ち着いて。で、ほんとのとこどうなんすか?

俺は年上派だ。

35.でもちびっこいのは

かわいい(断言)。

36.ロリコンだロリコンだ!

ハチ、こっち来い。俺がロリコンじゃないって身体に教えてやる!

37.きゃあ、嫌ああ!

てめ、こんにゃろめ!

38.あ、先輩、そこ気持ちいい・・・

こうしてやる!

39.あ、それもっとして。・・・って、やべ!質問いかねえと!

ぶったぎりかよ。

40.夏派?冬派?

秋派。

41.俺、春と夏派!

出かけるときはちゃんと帽子かぶれよ!

42.先輩長男でしょ?

なんでわかった。

43.わからいでか。

お前も長男だろ?面倒見いい生物委員長って有名だぞ。

44.俺、長男じゃないよ。八男だよ。面倒見いいのは先輩がうつったんじゃない?

子ども可愛いよなあ~

45.先輩忍者じゃなくて学校の先生やればいいのに。

それもいいよな~とたまに思う。

46.・・・ナメクジは好きですか?

お前は喜三太か。

47.もうほんとに聞くことねえや。大体のこと知ってるしな。・・・じゃあ、俺のこと好きですか?

好きだ。お前これ2回目。

48.あれ、そだっけ?んじゃ、まあ、もう一回。俺のこと好きですか?

好きだ。

49.もっかい。

好きだ、ハチ。

50.俺も。

うまくオチたな。


そうか?

食満竹祭り開催にあたって

》~食満竹、良い…!~ の方

嬉しいコメントありがとうございます!スガワラも書いてみて「おっ・・・食満竹おいしくイタダケるんじゃね?」と思いました。竹谷の笑顔は国宝なので、国宝はみんなで愛でにゃいかんということで、よいこわるいこは(たぶん)竹谷受けなのですが、新しい萌えを開発していただけようで嬉しいです。ぜひ食満竹にどっぷり浸かっていただくため&スガワラ自身が浸かるため、今日はもう食満竹祭りです。ありがとうございました!

というわけで今日一日食満竹祭り。 
研究課題:人は一日でどれだけ食満竹に萌えられるのか
研究方法:あらゆる角度から食満竹に萌えてみる。
研究補足:実験者スガワラはまだ食満竹に萌えようとしている最中なので、食満竹がいつのまにか竹食満とか食満と竹谷とか食満アヒルとかアヒル竹谷とかに萌えの対象が移ってしまう可能性もあります。

*食満竹にハマリきっている方、というよりは、これから萌えてみようとお考えの方むけの祭りです。


下ごしらえ:食満から竹谷に50の質問

1.あ、あ~、ゴホン。・・・よし。じゃあいくぞー。名前はなんですか。

はーい!八左ヱ門です。

2.苗字は?

あ、竹谷。

3.こういうときはちゃんとフルネーム名乗るもんだぞ。

はい。っていうか・・・先輩こういうことすっげーきっちりしますよね。

4.いい加減なのはなんか気持ち悪いんだ。血液型は?

くわがた!なんちてー。ハハハ!

5.ちゃんと答えなさい。

・・・はい、ごめんなさい。B型です。

6.俺はA型。

うん、すぐ分かります。

7.でも俺部屋とか汚いけどな~。

A型の人ってすぐそうやっていうらしいですね。謙遜?しかも別に先輩、部屋汚くねえし。

8.お前は見かけによらず結構部屋綺麗だよな。えらいぞ~(なでなで)

・・・(´-ω-`)。○(ほんとは三郎とか兵助とかが見るに見かねて掃除してくだけなんだけど・・・。ま、いいや)

9.趣味はなんですか?

趣味?なんだろ。え~・・・と、先輩といることかな。

10.ばっ・・・趣味じゃないだろ!そういうのは!

え、あ、そうなの?

11.趣味っていうのは、好きで、暇があるとやっていたいもののことだ!

じゃあ別に俺のも趣味でいいんじゃ・・・

12.よくなーい!

先輩よくわかんねえけど激しいっすね。大丈夫ですか?

13.頼むから虫の飼育とかにしとけ。

趣味なのかなあ、それ。まあいいや、じゃあ生き物の飼育。

14.生き物のことをどう思う?

どうって・・・生き物だなあ、と思う。

15.もっとあるだろ、可愛いとか、生命の神秘を感じる、とか。

可愛いときもあるし可愛くないときもあるし、特別人間と付き合うのと変わんないけどなあ。

16.・・・じゃあ、伊賀崎のことはどう思う?

ほげ、孫兵?唐突な質問っすね。

17.いいから答えろ。

んと、めちゃくちゃ生き物好き。生き物全般好きなのかと思ったら、わりと危ないやつに限って好きみたいだ。ちょうとかだんごむしとかは別に育ててみたいとは思わないって。

18.・・・で、そんな伊賀崎のことをお前はどう思ってるんだ?

え・・・別に・・・生物委員の後輩としか・・・

19.思ってないんだな?

ときどき歌劇だし結構すぐペット逃がして、実は結構手のかかるやつだけど、まあ、そんなところもかわいいっつうか俺が先輩としてしっかりしてやらなきゃーとかは思うけど。

20.先輩として、なんだな?

なんか先輩・・・怖いっすよ?

21.じゃあ次の質問に行くぞ~。ナメクジは好きですか?ありゃ、なんだこれは。ったくう、喜三太のやつ委員会の最中に勝手に書いて混ぜやがったなあ。しょうのないやつだ。

なめくじ・・・嫌いじゃないかな。

22.お前嫌いな生き物っているのか?

別にいないですけど・・・。

23.お前の周りってよく蝶が纏わりついてないか?

ああ・・・なんか、蝶に好かれやすいんすよね。気がつくとすぐまわりをふよふよ飛んでます。

24.蜜でも持ってたりしてな!

ハハハ。じゃあ、舐めると甘かったりして!先輩舐めてみてくださいよ~

25.あとでな。

あ、ほんとに舐めるんだ。

26.お前が舐めろっていったんだろう。

冗談のつもりでいったんすよ?

27.俺に舐められるのいやか。

別に嫌じゃないけど。

28.じゃあ、あとでな。

はい。

29.え~っと、嫌いな食い物はあるか?

別にないっすねえ・・・。あ、でも、兵助が豆腐ばっか食ってるの見て、最近いい加減嫌になってきた。なんであいつあんなに豆腐が好きなんだろう。

30.ああ、あいつか。五年い組みの豆腐小僧か。・・・そいつのことはどう思う?

兵助?えーっと、別に・・・いいやつですよ。成績優秀だけど別に威張ってないし。たまにボケ入っててギャグで言ってんのか本気なのかわかんねえときあるけど。

31.・・・ふむ。好きか嫌いかで言ったら好きなほうか。

好きっすよ。ダチだし。

32.俺のことはどうだ?

え、先輩?好きか嫌いかって?そりゃ好きに決まってるじゃないっすか。俺たち付き合ってるじゃん。

33.ん。ならば良し。

え、何が?よくわかんねんだけど、今の流れ。

34.デートに行くならどこがいい?

デートかあ・・・無人島とかかな!

35.おいおい、大胆なやつだな。

なんで無人島が大胆なんすか。みたことない生き物いっぱいいそうじゃね?

36.無人島かー悪くないな。

ね、悪くないっすよね。

37.今年の夏・・・は俺、卒業試験の勉強あるからなあ。

卒業して、先輩が超一流の忍者になって給料いっぱいもらえるようになったら、有給とって行きましょう。

38.だな。そうするか。

楽しみっすねー。

39.なんかわくわくしてきたな!

待ち遠しいっすね!

40.じゃあ、次の質問行くぞー。休日は何してますか?

長期休暇は実家帰ってる。先輩、いえ反対方向なのに律義に俺のこと途中まで送ってくれるんだもんなあ。

41.何かあったらどうするんだ。

なんもないっすよ。俺女じゃないし、もう五年ですよ。虫獣遁なんか、わりとイケる口だってこないだ授業で先生に褒められたんすからね!(えっへん)

42.ばーか、生意気いいやがって。お前なんてまだまだひよこだよ!(でれでれ)

先輩にやにやしてますよ。

43.可愛いこといってるからだろ、馬鹿。お前子どもっぽいんだよ。もうちょっと大人っぽさを身につけろ。

だって先輩子どもっぽいのが好きじゃん!先輩の以外の人の前ではちゃんと大人っぽいっすよーだ。

44.どうだかな。

んなこというんなら、先輩にも俺の大人っぽいところ見せてあげますよ。

45.おう、見せてみろよ。

くらえっ、忍法大人のキスだ~っ!!ちゅ~

46.ちゅ~~

ちゅ~~~

47.ちゅ~~~~

ちゅ~~~~~・・・っぷは!・・・ど、どうっす、か?

48.ん。よかった。もう一回するか!

でもまだ質問終わってないんじゃないっすかね?

49.めんどくせーな。俺のこと好きか。

はい、好きっす。

50.んじゃ俺の部屋来い。

はい。

紛れて誰を言え

上級生の成長ネタを考えたときに、これしか思いつかんかった。

モブ×タカ丸で18禁とか嫌過ぎるって人は読まないでください。

---------- キリトリ -----------

男を抱くのは初めてだった。坊主じゃあるまいし、男なんてなァ。
そう思いながら彼は組み敷いた男の身体を思うまま揺さぶっている。青年にしては高い声の持ち主だったが、喘ぎ声となるとますます女のそれと区別がつかなかった。そのくせ本人は気にするところもあるのか、声を抑えようと唇や手の甲を噛んで耐えようとしているところが余計に刺激的だった。
向こうから誘ってきた。
髪を梳いていたはずの指がつうと首筋を辿り着物の袂に滑り込み、熱い息を吹きかけられながら「俺みたいのに興味はありませんか」と誘ってきた。その手管があまりにも慣れていたから、この髪結いはときどきこうして客をつまみ食いしているのだろうと知れた。誘惑に慣れきった様子からどれほどのものかと思っていたが、抱いてみたら未通女のように恥らうのが以外で、嗜虐心を誘った。気まぐれで誘惑にのってみたが思わぬ当たりだった、と男は内心でほくそ笑んだ。
畳の上に明るい髪が散っている。それが、腰を揺するのにあわせて動いている。その様を、男は快楽に溺れ切ってぼんやりした頭で見つめていた。
「お前、とんだ好きものだな。男に抱かれてよがってるなんてよ」
嘲るような調子で言ったら、頬をうっとりと染めて美しい髪結い師は喘いだ。
「お客さんが特別上手なんだよ。・・・あっ・・・ねえ、次もここに来ていい?」
「そりゃだめだ。俺ァ三日後にはこの街をでてくんだよ」
「仕事?」
「ああ」
「そう・・・んんっ・・・放下師も大変なんだあ・・・」
今度は何処へ行くの、と訊ねられて男は「西」と答えた。
「西?西は戦をしているって聞くよ」
「ああ、あの戦はもうすぐ終わるからいいんだ」
組み敷いた若く美しい髪結いの瞳が、剣呑に光った。
「へえ・・・その話、興味あるなあ。詳しく聞かせて」
白い腕がにゅうと伸びて、甘えるようにからめとるように男の首に巻きつく。自分から男に腰を押し付けるようにして、甘い声を漏らして身体を反らせる。その姿がひどく官能的で、男は生唾を飲み込んだ。


「と、いうわけだそうです」
美しい髪結い師は今度は朗らかな笑顔で行商人に向かい合っていた。行商人は猿のような顔をしている。そのくせ、背格好だけは手足が長くどこかたくましいような体つきをしているからちょっとした可笑しみがあった。
「そうか、ありがとう」
行商人は丁寧に挨拶をして深く頭を下げた。途端に、髪結いは笑い始めた。
「行商人が髪結いにそんなに丁寧に対応したら可笑しいでしょう、鉢屋君」
外ではじりじりと焦げるように蝉が鳴いていた。ああ、暑い、と髪結い師は手の甲でうなじの辺りを拭った。濡れた髪が首筋に細く張り付いているのがひどく官能的だ。わかっている仕草だと対峙する鉢屋は思った。人がどうすれば欲情するか知っている誘惑の仕草だった。髪結い師は細く白い腕を伸ばして、少し離れたところに置かれた団扇を取った。暑いでしょう、とゆったりした手付きで、鉢屋を扇ぐ。その様子も、手招いているようにすら見える。
仕事で再会してから逢うのは三回目。やはり、(変わった)と鉢屋は思う。卒業後初めて会った先日も驚いた。
タカ丸は間諜役としてずいぶん有能であるようだった。
四年に編入した、という意味を当時学園の生徒だった鉢屋もはっきりと理解していた。5、6年の上級生は誰もがわかっていたに違いない。タカ丸は、忍者を目指すにしては成長しすぎていた。学園長が4年に編入させたのは、初めから間諜役として大成させるためだったのだろう。それならば、運動能力の有無はそれほど関係がない。ようは人付き合いの上手さだ。それから、相手を引き込む官能の手管を駆使できる技量。4年には、房術の実技が組まれていた。学園長はタカ丸にまさにその技を習わせようと考えて4年を選んで編入させたに違いなかった。
昔はもっと、無邪気な美しさがあった。人が与える愛に、いい意味で鈍感だった。愛されることに慣れていて、変に技を使ったりすることがなかった。いつも素のままでいて、その飾らない素っ気無さがタカ丸の美しさを形作っていた。十五にしては泣いたり笑ったりと感情表現が忙しい人だった。それが見ていて飽きなかったし、誰の目にも好ましいものに映っていた。
目の前で動くその人には、その頃の面影はあまりないようだった。人に愛されるための「振り」を身につけてしまっていて、タカ丸の昔を知る鉢屋にはそれが残念なことのように思われた。
「不破くんは元気」
「元気です」
「今は君と双忍をやっているのでしょう。去年はナメタケの戦を平定した」
「これは参った。よくご存知で」
「この仕事をやっていると、どんな話も入ってくる。君が五年だったとき、一年は組にいた黒木君を覚えている」
「・・・ああ、庄左ヱ門ですね。ええ、覚えています。一緒に学級委員長委員会をやっていた。聡明でいい子だった」
「彼は先日死んだ」
蝉の合唱が止んだ。鉢屋は暑くて、頭が真っ白になるかと思った。言うべき言葉が見当たらず、仕方がないから黙り込んだ。忍者だから何時死んでもおかしくはない。そういう意味では驚いていない。だが、知ったものが死ぬというのは、どんなに覚悟していても、悲しい。
タカ丸が視線を落とした。崩れた脚が髪結いの衣装の裾からチラリと見えて、その肉がなまめかしい。陶器のような白い肌がひんやりと涼しげにうつった。
「この仕事をやっていると、色んな話を聞く。ひとの生き死にも耳に入ってくる。僕が学園に入ったときに知り合った子も、何人かはもう死んでしまった」
今日はどこまでも風がない。じわじわと温い空気にゆっくりと絞め殺されていくような心地がする。
「兵助の行方は?入ってきますか」
タカ丸が顔を上げた。首を振って、少しはにかむ。その表情が泣きそうに強張っている。
「兵助の情報だけ入ってこない。・・・どうやらつくづく優秀な忍者らしいよ。誰も何も、兵助の行方を知らないと言うのだもの」
伏せた瞳の睫毛がふるふると揺れている。鉢屋も視線を落とす。よく磨かれた床板はひんやりと涼しい。
卒業後、兵助はどこぞの忍者隊に入ったと聞いた。優秀だったから、卒業前はたくさんの忍者隊から声がかかった。どこを選んだかは、もちろん、友であっても言わないのがふつうだったから話題にも上らなかった。
鉢屋は、兵助がタカ丸を恋うていたことを知っていた。
「間諜役ならば、いい。それなら死ぬ確立だけは、少ない」
兵助は何度もそんなことを言っていた。己に言い聞かせる類の言葉だったのか。本当は、兵助は、タカ丸を忍者にしたくなかったのだろう。


行方不明の兵助。

夏祭り

竹谷に萌えてみた。

*いいわけ*
竹谷の相手は決まっていないんですが、そんならもう無理に相手とかつくらんでもええやんと思いまして、いっそ俺×竹谷とか思ったりもしたんですが、やはりそんな濃いサイトはどうよ(今更)とかも思いましたので、先日波乗りの合間に見かけた食満×竹谷にしてみました。

あと、勝手に幼馴染設定にしました。

「そろそろ屋台も終りか」
花火が終わってぶらぶらと屋台の続く堤防沿いを歩いていた。竹谷の歩幅はいつもは小さくないけれど、今日は浴衣を着ているせいでなんだか上手く歩けない。おまけに鼻緒が擦れて痛い。人ごみの中を食満に置いてかれまいと小走りでついていったら、呆れたように「転ぶぞ。急がなくていいから歩け」と釘を刺された。
それで、その通りにしたら、酔っ払いに進路を塞がれ迷子に袂を引っ張られ老人に道を尋ねられ家族に前に割り込まれてあれよあれよと人混みの中、食満と引き裂かれた。
「おっとと!」
やっぱり小走りして慌てて食満まで追いついた。食満は橋のたもとで振り返って竹谷を待っていた。橋は、やっぱり花火が終わって帰る人の群れで溢れかえっている。畳み始めた屋台を見て、食満がからかうように竹谷に笑いかけた。
「もう食っとくものないか」
「ないっス!」
竹谷は唇を尖らせる。食満には普段から食欲旺盛なことをからかわれている。どん、と横から押されて、竹谷がよろめいた。着慣れない浴衣のせいで思うようにバランスが取れない。雷蔵に誘われたときはいい案だと思ってのりのりで浴衣を購入したものの、やっぱり着てこなけりゃよかったと後悔し始めていた。食満は歩みの遅い自分をわざわざ待ってくれている。内心では呆れているだろう。「またか、」と溜息でもつきたいような心持でいるだろう。それでも似合っていればいいが、普段着慣れないせいで動きはギクシャクしてロボットのようだし、時間がたって帯びも裾も崩れて来ている。タカ丸さんに頼んで髪もアップにしてもらったものの、焼きそばヘアは相変わらずだ。だいたい、去年まで一緒に行くときはTシャツにジーンズにサンダルで「色気ねえなあ」なんて笑われていたのが、今年になって急にこれだ。「色気づきやがって」などと思われていたらさすがに傷つく。
食満のことを幼馴染のお兄ちゃんと思っていないのは竹谷だけだ。自分ばかりがふたりっきりで出かけることをデートみたいだとはしゃいで。慣れない浴衣まで着て。ぎゅうぎゅうに締め付けられた胸が苦しい。食満はたぶん、近所の年下の幼馴染の面倒を見ている、そんな感覚でしかないのだろう。追いかけて入った高校では、伊作先輩とちゃっかり恋の噂が流れていた。3年間同じクラスの奇跡のカップルだとか、騒がれている。
「とめ兄ちゃん、今日伊作先輩誘わなくてよかったの」
「ああ?伊作は電車で30分の街に住んでんだぞ。花火ぐらいでわざわざこっちまで来るかよ」
「花火とか絶好のロマンチックチャンスなのに~。とめ兄わかってねえー」
「うるせえ」
「せっかくの日をおれの子守してさあ。母さんには適当行って、伊作先輩と出かければよかったのに。馬鹿正直に子守引き受けちゃうんだからなあ」
また、横からぶつかられた。倒れそうになるところを、食満に抱えられる。
「前見て歩けッ!」
食満は竹谷にぶつかった酔っ払いに怒鳴りつける。
「お前もう心配だわ。仕方ねーな、・・・ほれ」
差し出されたのは大きな片手だった。
「なにこれ」
「迷子防止」
ぐっぱーと指が動く。「恥ずかしくても我慢しろ」
竹谷はおずおずと掌に指先を載せた。それを食満の掌がぎゅうっと掴み、竹谷はその指の熱さにびっくりした。
「もう来年は浴衣着ない。絶対」
呟いたら、食満は振り向かないまま、「なんで」といった。「なんで、似合ってるじゃねーか、浴衣」
竹谷は顔から火が吹くかと思うくらい真っ赤になった。頭がくらくらして、慌てて、
「似合ってない!」
と叫んだ。
「とめ兄見る眼ないッ!」
「なんだよ、せっかく褒めたのに」
少し先を歩く食満の背中が、振り返らずに優しい声を出した。
「・・・このまま帰らせたくねえっつったら、お前びっくりするか」
「・・・おれも、って返事したら、とめ兄ちゃん驚く?」
てくてくと人通りの多い橋を、流されるようにして渡っていく。今夜ふたりの幼馴染が結ばれたって、誰も見ていないような、祭りの夜だ。食満はそっと竹谷を引き寄せると、立ち止まって抱き寄せた。恋人たちが何組も通り過ぎてゆく。
「・・・おれ、浴衣の着方、わかんない。雷蔵に聞いてこればよかった」
真っ赤になった竹谷は、それを隠すように食満のTシャツの腹に顔を押し付けた。
「俺が知ってる」
竹谷の丸い頭をなでて、それから食満は胸に湧き上がってきたこの切なさのような愛しさのようなものをどう表現したらいいのかわからず、「悪い兄ちゃんでごめんな」と言った。生温い夏の宵の空気の中で、畳まれかけた屋台の裸電燈がじんわり橙に光っているのを、食満はぼんやり見ていた。

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