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春の野原

竹谷女体化で室町で、孫兵。書きたいところを適当に。


「あはっは!すまん、すまん!」
豪快に笑う竹谷の右腕からはぼたぼたと血が流れている。足元にはちょっとした血だまりが出来ていた。その光景を見て、孫兵は思わずその場に卒倒するかと思った。慌てて駆け寄って、傷口を検分する。深いが、治らない傷ではない。毒もないようだ。だが、痕は残るだろう。孫兵が眉を潜めて表情を曇らせたのを見て、竹谷は慌てたように孫兵から腕を引くと、「すまん、でも、だいじょうぶだ!」と根拠のない慰めをはいた。
「何が大丈夫なんですか」
「いや、見た目ほど深くないから・・・」
「傷跡は残りますよ」
「仕方がないさ」
竹谷の返答はさらりとしたものだった。だが、孫兵は逆上するかというほど腹を立てた。どうしてもっと自分を大切にしてくれないのだろう。いっそ、竹谷が守られるだけのはかなげな女性だったらよかったに。そうしたら、彼女をどこにも行かせず、籠の中に閉じ込めて自分だけのものにするのに。食満が竹谷に男の格好をするのを許して、合戦場に出ることを認めているのが、孫兵には信じられなかった。
「あなたは女性だ」
竹谷は少し眉を潜めた。女扱いされることは、嫌いだ。がらんどうの屋敷で身をちぢこませて、ひたすら不安と恐怖に押しつぶされそうになりながら、男の帰還を待ち続ける。あんな日々を自分は送りたくない。合戦で愛する人と戦って、そして死ぬのだ。そちらのほうがずっといい。竹谷は父親の帰還を信じてただ待ち続けた果てに死んだ母親を思い出していた。女はきっと、悲しいだけの生き物だ。
「おれは女だけど、誰に守られたりもしない!孫兵だって、食満先輩だって、おれが守ってみせる」


竹谷は孫兵の瞳の剣呑とした光に息を呑んだ。目の前の少年は、誰だろう。こいつは孫兵じゃない、と竹谷は思った。竹谷の知らない孫兵の顔をしていた。
「僕はあなたを守るつもりですが、いいですか」
細い腕でぎゅっと抱きしめられ、言葉が告げなくなる。いつまでも子どもだと思っていたのに、意外なほどの腕の強さで、竹谷はびっくりして身動きが取れなくなってしまった。ぬるい春の風が吹いて、さわさわとあたり一面の菜の花が風にさやぐ。ふたりして黄色いばかりの菜の花の海に立っている。どこまでも空は蒼く澄み渡り、ところどころにぽっかりと白い綿毛のような雲が浮かんでいた。泣きたくなるほどの景色だった。あっ、と竹谷は声を出したっきり、黙り込んでしまった。
食満が学園を去った春に、彼は微笑んで、「またな」といった。だけど「また」なんていう日が、一体いつ来るというのだろう。「どうしたって分かたれていく道があるからね」と雷蔵は言った。そうだ、おれたちは、忍びだ。いっしょにずっといられる日がどうして来たりなんかするだろう。ずるい嘘だ。ふいに竹谷はそんなこと思った。それまで、彼の言葉を疑ったことなんてなかったのに。食満が好きだ。その想いは変わりないはずなのに、なぜだろう、あの日の降りしきるような薄桃色の花びらの向こうに、どうしても彼の顔が思い出せないのだった。
「孫兵、」
竹谷はようやくそれだけを言った。おれは守ってもらう必要なんかない、と乾いてひりひり張り付く咽喉でそう接ぐと、孫兵は思いつめたような瞳で、彼女を見上げた。
「あなたが好きなんだ」



孫竹増えろ孫竹!!!
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