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好き好き大好き超愛してる②

仕事で"(  ゚,_ゝ゚)バカジャネーノ"といいたくなるようなときもあるさ、人間だもの。
怒りを創作意欲にかえ、三郎がうっとうしい話続き。

---------- キリトリ -----------

三郎の提案に、久々知は「何で?それって俺になんか有効なわけ?」と至極冷静な返答をし、竹谷は、「え、なんであえてそんな波風立てるようなことを!」と慌てて首を横に振った。唐突な比喩にはなるが、3人の恋愛を生みに例えるとこうである、と、三郎はおもむろに立ち上がって大仰な身振り手振りを交えて熱くプレゼンテーションを始めた。
「久々知の恋愛は引き潮の海である。お前のクールな振りして実は大変暑苦しい片想いに、タカ丸さんは少し引き気味である」
「うるせえよ」
「そこで、嫉妬という名の嵐を与える。するとどうであろう、それまで静かで決して揺れることのなかった凪の海が、久々知という名の砂浜に激しく寄せては返すではないか!兵助君が好き!ああ、でも、だめ、いけないっ!忍者を目指す僕が、誰かを深く愛するなんてそんなこと・・・ああっ、でも、止められない!好き!兵助君が好き!僕を抱いてーっ!・・・と、まあ、こうなるわけだ」
「よーし竹谷、明日も早いしもう寝ようぜ」
久々知はおもむろに布団を敷き始める。竹谷は苦笑して、「三郎、久々知疲れてるみたいだしさ、お前ももう雷蔵んとこ帰ったら?」などと遠慮がちに勧めてくる。三郎は竹谷に足払いをかけると、久々知の敷いた布団の上に竹谷を倒した。その上に圧し掛かって、起き上がれぬよう肩を押し付けると、さしもの竹谷も顔を引きつらせる。
「まあ、俺の話を聞け」
「三郎、あの、この体勢は俺いろいろ嫌なんだけど・・・」
「聞け。聞かないと舐めるぞ」
「ぎゃーっ!どこをーっ!?兵助助けろっ!」
「仕方ないな、三郎、三秒で説明しろ」
竹谷の布団を隣に敷いた久々知は、どっかりとその上に座り込む。
「竹谷、お前の恋愛は正直順風満帆だ。食満先輩は告白こそまだしないものの、あれはチャンスをうかがっているだけと見た。形式を重んじる人だから、告白ひとつとってもしかるべきときにしかるべき場所でしめやかに行いたいのだろう」
「い、いや、先輩と俺はそんなんじゃないって」
「ふっ、そういう謙遜の節々に”余裕”の二文字が垣間見えるよ、竹谷。だけど、本当にそんなに油断しきっていていいのかな?お前の幸せは、実は砂上の楼閣かもしれないんだぜ?食満先輩のルームメイトを思い出せ・・・」
竹谷がふと視線を横にそらしたのを、鉢屋は見逃さなかった。ぐぐっと顔を近づける。寸でのところで、ぐいっと兵助が襟元を掴んで引き上げたので、竹谷はほっと安堵の息を吐いた。
「食満先輩と伊作先輩は、一年は組の頃から付き合っていると噂され続けている仲だ。事実は違うとしてもふたりとも慣れきって、黒板にあいあい傘が書かれていてももう動じなくなっている。・・・いつ、噂が真実に変わってもおかしくない雰囲気だ・・・どうするう~(↑)?そんなことになったらどうするう(↑)竹谷あ~」
語尾上げで迫って来るのが非常にうざい。つい竹谷は、「もうどうにでもしろよ、もう!」と怒鳴っていた。三郎はにたりと笑うと、「我が同士を得たり!」とガッツポーズをとり、そのまま拳を天に突き上げる。久々知を振り返ったが、彼はやはり表情ひとつ変えず「断る、鉢屋馬鹿三郎」と生意気な口を利いた。恨めしく袖を引っ張ったのは竹谷だった。「兵助もいっしょにやれ~っ!」と我侭に請われて、兵助は溜息混じりに「仕方ないな、のってやろう」と頷く。久々知は、竹谷には態度が甘いのだ。久々知いわく、竹谷はどこか豆腐に似ているのだそうである。その真意も例えの意図も、誰一人理解できていない。まあ、それはいい。大切なのは、兵助も竹谷も三郎の案にのったということなのであるから。
「して、どうするのだ」
と尋ねる兵助に、三郎はにっと笑った。
「策はある」
竹谷が三郎の口元に耳を寄せる。久々知もそれに習った。三郎がふたりの肩を抱き、囁いた。
「俺ら三人で、愛し合っちゃおうぜ!」


その日雷蔵は、見てはいけないものを見た。
とうとう朝まで帰ってこなかった三郎は、久々知と竹谷とともに三人で、食堂に現れた。久々知も竹谷も表情がうんざりしているので、雷蔵は、果てはまた三郎が迷惑をかけたかと思い、「三郎!」と語気も強く彼を呼びつけた。
いつもだったらどんなに怒鳴りつけても、「うん、なあに、雷蔵(はあと)」と疎ましいような甘えた様子を見せるのに、その日はしらっとしらけた表情で「何?」とそっけなく聞いただけだった。人のいい雷蔵はそれだけで妙に居心地が悪くなってしまって、「何って、おはようって思っただけで、・・・」と語尾も弱々しく、もごもごと尻すぼみになってしまう。三郎はふい、と無視をしてカウンターのほうへ行ってしまった。久々知がそれに従う。
雷蔵は唖然とその背中を見送った。いつもだったら、雷蔵のメニューも聞いてくれるのに・・・。それで、いいよ、メニューくらい自分で決められるってば!とわざと突っぱねてそれで・・・。さみしげな雷蔵の表情に、竹谷が取り繕うような様子で、「あのさ、あの、三郎は今日ちょっと機嫌が悪いみたいだな」とあせってフォローする。雷蔵はなんだか胸がむかむかしてきて、
「三郎が機嫌悪くったって僕に当たることないだろ!」
とつっぱねて、席を立ってしまった。
「雷蔵、朝飯は?」
「いらない!」

つづく。

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