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だって夏までもうすぐだから

お仕事で夏休みがもらえたので、ようやく更新できそうです。
ダイエット目的でプールで3㌔ほど泳いできたら、もともと頑丈でない右膝がイカれて(?)上手くしゃがめません。ショッピング中に試着お願いしたときに、スカートを履こうとかがんで「ぐおおっ」と声を上げてしまい、ドアをドンドン叩かれて「お客様!?大丈夫ですかお客様ッ!!」と大慌てされた。ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。もうしばらくあの店には行けない・・・。

そんな悔しさをもとに書きしたためる「1のは女体化夏の早起き話」。とくに盛り上がりのないオムニバス。
(喜三太の転校はひとまずうっちゃってください。)


① 笹山平太夫

平太夫は夏が好きだ。四季の中で一番好きだと言っても過言ではない。教室の窓からのぞく日々蒼さをましていく空と、むくむくわき上がってくるような入道雲。「あっついねー。勉強どころじゃないよもー」なんてがに股で椅子に座って下敷きのうちわ片手にクラスメイトとだれていても、心のどこかがすごくわくわくしている。夏が来る!今年は海に行こうか、山に行こうか。
雑誌をめくって新着の水着チェックに余念がない。どのページを繰っても、心躍るようなポップ&キュートな水着が並ぶ。ミントグリーンのドットプリントに、大人っぽい臙脂と白のストライプ。ワンピースもいいし、パンツスタイルもいい。去年はピンク&ブルーでまとめたから、今年はどうしようかな。ああ、ほんと、こういうの考えてるとき女の子に生まれてよかったなーって思う。
「あ、これかわいー」
新作のマンゴ&バナナのパックジュースを飲みながら、三治郎が雑誌を指差す。
「どれ?」
三治郎が選んだのはブルーグリーンとホワイトのボーダーだった。最近三治郎は、垢抜けたみたいに明るくてアクティブな格好を選ぶ。もともとは薄いピンクとかパステルイエローとかのいかにもフェミニンなものを着ていたのに。もともとは、こういうボーイズライクなもののほうが好きだったんだそうだ。虎若との恋がうまくいかなかったのはほんとに残念なことだけど、それがきっかけで三治郎がこういうふうに変わったのはいいことなんじゃないかなって思う。
「ボーダーかー。うーん、じゃあ私、これのチェリーピンクの色違い買おっかな。そんでおそろにすんの」
「いいね。でも、平太夫、パンツスタイルよりスカートタイプのが似合うと思うよ」
「じゃ、隣のは?」
「うん、いい感じ」
「今週の土曜さ、さんじろ、部活ある?」
「うん。でも午前オンリー。だから午後からならいけるよー」
「よっしゃ、んじゃ、土曜午後から買い物ね。水着制覇!」
「うん。ついでに浴衣も見て、あたりつけとこー」
「おっけ。あーテンションあがるうっ!燃えてくるぜ!!」
こみ上げるわくわくをこらえきれず、ガッツポーズをつくったら、三治郎がくすくす笑いながら、「あー夏だねー」と言った。教室の蒸すような熱気も、風ひとつないおもてに伸びるだけ伸びてる青草も、みんなみんな私を後押ししている。そんな気さえする。

放課後にコンビニでアイス買ってぼんやり渡り廊下で空見ながら食べてたら、団蔵にからかわれた。団蔵は平太夫を見るなりにやにや笑って「よく食うね、お前」と言った。平太夫は食は細いほうではないけれど、体重にもきちんと気をかけているし、人に心配されるほどではない。つまるところ団蔵はただなにかしら平太夫をからかいたいだけなのだ。団蔵はなぜか、そういう態度でしか平太夫に接することができない。小学校の時は平太夫とよくいたずらの応酬をしあった仲だからだろうか。今はお互いが成長していたずらなんてとっくの昔にしなくなっているのに、いつも正しい関係の持ち方がよくわからない。いたずらしあっていた子どもの時のほうが、なにも考えず素直に平太夫と笑い合っていた気がする。
「いーじゃんアイスぐらい」
「でもお前、最近よりいっそうふとましく見えるぜ」
「あっそ、ほっといて」
「かわいくねーの。三治郎みたいに女の子らしくしたら?」
「うっせーよ、バァカ!」
ミニスカートで思いっきり急所ねらって脚を蹴り上げたら、団蔵がうわっ!と声を上げて本気で仰け反ったので、それで少し溜飲が下がった。平太夫は最近、団蔵が三治郎のことを話題にするといらいらする。そして、そういう自分にもいらいらする。だから、凄くイライラするから、団蔵には三治郎の名前を呼ばないで貰いたいのだ。自分が、意味わかんない、つまんない嫉妬してるみたいな、嫌な女になるから。
団蔵はそんな気持ちを知って知らずか(この馬鹿がそんな繊細な女心を知っているはずないのだけれど)、「三治郎に比べて」と、またもやその名前を出す。
「お前のが太ってるのは確かじゃん。つーか、1のはの女子ん中で重そうなのは確実だろ」
スレンダーな三治郎、実は意外に一番スタイルがいい喜三太、胸ペタ尻ペタで薄い乱太郎に、幼児体型の伊助。確かに、一番むっちりしているのは平太夫だ。
「うるっさい!一番胸あるから仕方ないでしょ!」
髪をかき上げてセクシーさを強調するように胸を反らせると、団蔵は「ふーん」と興味ないふう。平太夫は自分のプライドががらがらと崩壊していく音を聞いた気がした。
(おっぱいが大きいのって、どんな男でも喜ぶんだと思ってた・・・のに・・・)
団蔵の反応の薄さはなんだろう。
「潰すぞこの野郎っ!!」
平太夫は、今度は容赦なく団蔵の急所を蹴り上げると、コンクリートの地面にもんどり打って苦しむ団蔵を尻目に、づかづかと校舎へ入っていた。
ダイエットだ。ダイエットしかない。おっぱいが目減りしたって、むっちりふとももだってぷりんな尻だって、意味ない。団蔵がなんの興味も持たないなら意味ない。路線変更だ。肉体改造だ。スレンダー体型になってやる!
平太夫はすぐさま伊勢丹へ行って、可愛いランニングシューズとジャージを買った。夏休みまであと一週間。三治郎を巻き込んで、減量大作戦の決行である。
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