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じょうずにあいせなくてごめんね

胃腸風邪ひきました。皆様はお気をつけください。


現パロにするんだって、タカ丸は男がいいなあと思っているんですが、女体化してみました。という話。
(大いなる矛盾)

*まるっきり少女マンガです。


酎ハイをジョッキで3杯と、生ビール、泡盛を一杯に梅酒のロックを2杯。そっから先は覚えていない。ただ、お気に入りのソルティー・ラ・トマトを飲んでいないのは絶対おかしいので、記憶にないだけで多分2杯くらい飲んでる。浴びるように飲んでふらつく身体のタカ丸を、友達はからかい半分でひとりで帰れるか、と心配した。
「かえれるかえれる、だいじょぶ~、わたしさけはつよいかららら」
「いや、さすがに今夜は限度ってものがなかったぞお前」
「ほんとにへいきだってば」
笑顔で手をふって、携帯のメールをチェックしながらマンションまでの暗い畦道をとぼとぼ(いや、ふらふら?)歩いていたら、コンクリートの出っ張りに蹴躓いて道路側に転んだ。買ったばかりのリズリサのスカートは汚れるし、ブーツは変な折り目が尽くしでいいことない。「いったい…」呟いてみたところで誰も助けてはくれないのだから、むくりと起きあがって泥を払って携帯を拾うととりあえずはまたふらふら歩き始める。優ちゃんとのデートの来ていこうと思って買った千鳥柄のポンチョは、結局お役目ごめんになったので今日着ていった。友達は褒めてくれたけれど、やっぱ転んじゃうし、いいことない。
掌の中で携帯が震えたので、メールボックスを開いたらさっきまで一緒だった秀ちゃんだった。

件名  大丈夫?
---------- 
おにいちゃんをそっちまで寄越そうか?
いまどこにいるの(・о・)??

あー秀ちゃんはすごくいい人だけど時々こういう気遣いがない。こんな真夜中に優ちゃんを呼び出して、おいそれと新婚の旦那さんと会うわけに行かないだろうが。少しは向こうの奥さんの気持ちを考えろっての。それに、優ちゃんに会たいからこそ絶対会えないこの辺の悩みもちったあ気付いてほしいもんだ。

件名  ダイジョウブVv
----------
もうすぐ家なのでダイジョウブだよ、ありがと。
今日楽しかったね、またやりたいね。
おやすみ~(^_^)/~

ぷちぷちと立ち止まってメールを打っていたら、あんまり寒いんででっかいくしゃみがでた。あー寒い、駄目だ、もう我慢できない。タカ丸は携帯を鳴らすと兵助にコールした。ワンコールででた、その声には怒りが含まれていた。
「今どこだ?」
「駅までの途中にあるミニストップの近く。今寝てた?」
「寝てた」
「じゃいいや、おやすみ~」
「馬鹿!俺、終わったら連絡しろって言ったよな、迎えに行くからって。何で連絡よこさずんなとこまで歩いてるワケ?」
「やあ~、兵助チャリだし今日ちょう寒いし迷惑かなって思って」
「俺から誘ったことだろ」
「そーだけど」
ごめんね、とタカ丸は謝って、むき出しの膝小僧を擦った。あ、タイツ破れてる、青痣できてる。チョーかっこわるい。ぜったいぜったい兵助にきてもらっちゃ駄目だ。思えば私、兵助相手にはかっこわるいとこ見せすぎだ。大学では下級生だけど、でも年上だし、もっと頼りがいある綺麗で小粋なおねーサンって感じに見せたい。そんで、恋愛するにしてもお洒落な感じで、余裕のお付き合いすんの。前に兵助の友達が、タカ丸さんはそういう雰囲気するっていってた、から、たぶん兵助もそういう目的で合コンで声かけてくれたんだと思うし。だいたい、兵助の持ってるAVとかエロ本おねー様系ばっかりなんすよ、いいわ坊や、私が教えてア・ゲ・ル(はあと)みたいな。とかなんとか、前に兵助の友達から聞いた。
父さんが美容師だし、お洒落には確かに気を使っているけれど、実際遊んでるふうなのは見た目だけで、中学からずっと一人の人にしか恋したことないし、お付き合いもその人とだけ。それもこの間振られて終わったし、だからこと兵助の要求に関してタカ丸は全部見掛け倒しだ。
「今から迎えに行く、から、寒いしコンビニで肉まんでも買って待ってろ」
「あ、いいのいいの、こなくていい」
「…誰かいんの?」
「ひとりだけど、べつにダイジョウブだから、こなくていいよ」
「じゃなんで、電話」
「寒いからどうしてるかなーと思って、そんだけ」
「ふざけんなって、お前」
「寝てるの邪魔してごめんってば、そんなに怒んないでよ」
「馬鹿!そうじゃなくて、…あー、もう、いいや。やっぱそっちいくわ、待ってろ」
「こなくていいよ、私帰るし、来ても誰もいないよ」
「それでもいい、行く」
「来なくていいってば。今兵助と会うと絶対流されるもん」
「流されるの嫌か」
「嫌っていうか、怖い。だって、兵助は友達だもん、優ちゃんじゃ、ないもん」
いったとたん、涙が出た。涙だけでてればまだましだったのに、鼻水まで出てくるから、嫌だな、本格的にかっこわるい。くしゃみしながらべそべそ泣いてたら、携帯越しに、兵助の途方に暮れた声がして、
「ばか、お前、俺まで泣かせんな」
ってめっそりしてた。馬鹿だなあ、この世の中に、叶う恋しかなくなればいいのに。みんな、好きになってくれる人を好きになって、好きな人から好かれればいいのに。すきっていう気持ちはいいことのはずなのに、どうして恋というのはこんなに辛いもんかなあ。
涙でぐしょぐしょになったひどく不細工な顔になって、タカ丸はコンビニにはいることもできず、外で震えて兵助を待ちながら、流されることについて考えていた。
そういえば、24日のバイトは休みなのだ。同僚から、代わってくれるようお願いされているのだが、どうやって返事をしようか。兵助に決めてもらったら、なにか、変わるだろうか。

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