あまあまなの書いて今日はもう寝ようと思う。
くくたかで砂を吐きたい人向け。
どうしてなかなか、タカ丸はずいぶんと努力家であるらしい。二人一緒に布団に包まって眠ったはずなのに、ふと兵助が目を覚ますと、いつ起きたのか、隣でタカ丸が油に火を灯して僅かな明かりで忍たまの友を捲っているのだった。
「タカ丸さん、」
名を呼んだそばから大きな欠伸が出た。
「起こしちゃった?ごめんね」
柔らかな声がそっと兵助の耳朶を撫ぜる。「いや、いいですけど」兵助は呟いて、もう一度大きな欠伸をした。昼間は実習やら自主訓練やらでこてんぱんに自分を虐めているから、夜半は眠気に勝てない。手探りでタカ丸の身体を、布団ごと抱き寄せた。
「復習ですか」
「うん、ちょっと・・・おれ物覚え悪いからたくさんがんばらないと」
「んん・・・?」
兵助の瞼はすっかり下りてしまっている。本当はぱっちり目を覚ましてタカ丸にいろいろ声をかけてやりたいのだけれど。くす、と耳元で小さな苦笑が聞こえた。柔らかい声が真綿みたいに兵助を包む。
「兵助、疲れてるでしょう、俺にかまわずちゃんと寝てね」
「あんたも寝なきゃだめですよ」
「うん、もーちょっとで寝る」
くあああ、と兵助は大きく欠伸をした。それから、タカ丸の懐にぐりぐりと頭を寄せた。「ちょっと、兵助、これじゃ本が読めないってば!」くすぐったさに笑い出しながらタカ丸が耳元で囁く。兵助はタカ丸の体温を感じながら、夢うつつのなかで、「あんたはいいにおいがするなあ」と呟く。はて、特に香りは纏っていないはずだけれどなあ、とタカ丸は首を傾げる。忍者は匂いを残してはいけないと習ったから、大好きな香も焚くのを我慢している。
「どんなにおい?」
「んん、・・・にんげんのにおい」
「・・・う?」
もしかして兵助寝ぼけてる?そっと耳元でたずねてみても、兵助はもう半分夢の中に入り込んでしまって満足に返事もしない。結局タカ丸はひっそりと忍び笑いして、兵助を懐に抱き寄せたまま、変な体勢で忍たまの友の続きを読み耽った。規則正しく上下する兵助の身体が嬉しい。大きくつられ欠伸をしたら、兵助が、「あんたが好きです」と真摯な寝言の告白をくれたので、「おれも好き、」と返してタカ丸は忍たまの友を枕元に放り出すと、明かりを消してぎゅっと兵助に抱きついた。
とたん兵助がもそもそ動き出して、耳元で、「勉強は終わったか。だったら、しよう」と掠れた声を上げるものだからタカ丸は「とんだ策士だなあ、この男」と苦笑交じりの溜息をついた。
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