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にせものかぞくごっこ

誰がなんと言おうと忍術学園で一番のハーレムは火薬委員会なんだぜ!!(やけくそ的な意味で)


とうふばななといーちゃん。


委員会室に設けられた文机にのっぺりと伏せって、タカ丸は先ほどからぐったりしている。委員会中は身を起こして何とか話は聞いているふうだったが、ふうと溜息をついては視線を下にさげっ放しで、顧問の土井に心配されたほどだった。いつもならタカ丸の不躾を真っ先に窘めそうな久々知がその日に限って何も言わないのが、伊助には不思議だった。委員会が終わっていよいよ上体を机につけて眠りの姿勢に入ってしまったタカ丸に、伊助が声をかける。
「…タカ丸さん、大丈夫ですか?」
「ん~…」
声がしんどそうだ。伊助は眉を潜めて、風邪ですか、と聞く。保健室を勧めてみようかと口を開いたところで、タカ丸が気だるげに身を起こして、「だいじょーぶだよ」と微笑う。タカ丸の声は柔らかくて穏やかで、いつだってとても心地好く耳朶を打つ。
「昨日あんまり寝てなくて」
「寝不足ですか」
「まあ、そんなとこ」
ふああ、と大きく欠伸する。ふわりと揺れた髪からは、花のような甘い匂いがする。くのいちが知ったら欲しがりそうだ、どんな整髪剤を使っているんだろう。例えばタカ丸よりずっと女性的な容姿の立花仙蔵や綾部喜八郎からこんなような匂いが漂うんだって、やっぱり想像はつかないし、違和感を感じるような気がする。タカ丸は決して女性的ではないのに、こういう、女の好むようなわかりやすい華やかさがとても似合う。
「タカ丸さん、今日はもうあがって早めに寝たらどうです」
「うん。あー・・・風呂は入んなきゃ。伊助くん、一緒にはいろ」
「でも先輩、学年・・・」
忍たま長屋の風呂に決して学年別の時間指定など設けられてはいない。しかし、やはり下級生が上級に混じって風呂を使うのは気を使うもので、三年生と二年生が一緒にはいるのも激戦になるし、なにとはなしにいつのまにやら暗黙の了解で棲み分けがなされていた。
「でもまあ、タカ丸さんが僕等と一緒にはいるぶんには、変な遠慮もないからいいのか」
何せ専門教科授業のほとんどを一年生の教室で混ざって勉強しているタカ丸は、一年生メンバーにも親しんでいる。伊助の呟きに、タカ丸は満足げに頷いたが、すぐに後ろから久々知にぴしゃりと却下された。
「駄目だ」
なぜタカ丸のプライベートな行動に久々知が関与するのだろう。タカ丸といっしょにきょとんとした瞳で、伊助は常識派の五年生を見上げる。タカ丸はぷくうと頬を膨らませた。このひとは、髪結の腕は一流だし精神的にもとても成熟した考え方をもっている人なのに、言動がいちいち幼い。一年にしては落ち着きのあるほうだと称される伊助は、タカ丸のことを、そう見ている。
「だって、滝とか三木とかあややと一緒に入れないじゃんか」
「なんだ、あややって」
「綾部のこと。そう呼べって、本人が」
「相変わらずふざけてやがるな、あの作法委員」
「えー、でも、あだ名で呼び合うってなんかいいじゃん。は組もみんなあだ名呼びだよね」
ね、いーちゃん。タカ丸に微笑まれて、伊助もつられて笑う。苦笑に近い表情になってしまったのは、先日、タカ丸も「なんで俺のことはタカ丸さんのままなの」とわがままを言ってみんなを困らせた記憶があるからだ。
「火薬委員でもあだ名作ろうよ」
「馬鹿!委員会活動は縦社会!礼儀第一!あだ名は横のつながりで押さえておけ」
なるほど一理ある言葉だが、年齢や学年といった面ではまるで掟破りでアウトサイダーな存在のタカ丸には実感としてその言葉の意味を理解はしにくいだろう。伊助の考えたとおり、タカ丸は面白くなさそうな表情で、「でもさあ、」と言葉を続けた。
「ハッチ先輩は俺のことにゃんこさんってあだ名で呼んでくれるんだけど」
「にゃんこさん、ですか」
伊助が噴きだす。タカ丸は笑顔で、己の唇を指差す。「俺って口元のあたりが猫っぽいんだって」
「ははあ」
「いーちゃんもそうやって呼んでいいよ」
「えー?」
くすくす笑いあうふたりの後輩の横で、久々知の表情だけが渋い。苦虫を五千匹ほど噛み潰したかのような形相をして空を睨んでいる。
「三郎殺す」
「殺さないで、俺ハッチ先輩好きだから」
「叩き潰す」
どうにも、先ほどから久々知が穏やかでないようだ。伊助は瞳をパチパチを瞬かせて、「久々知先輩、今日は機嫌が悪いですね。どうかなさったんですか」尋ねる。気遣い屋の後輩に指摘されて、久々知の頬がにわかに赤くなった。
「べつにそういうわけじゃないから、二郭は気にしなくていい」
タカ丸が苦笑した。
「そうそう、不機嫌なわけじゃないよ。むしろご機嫌だよ」
「なーにが!」
タカ丸の言葉の何がいけなかったのか、久々知は眉を顰めてタカ丸の頭をぺしりと叩く。
「だってそうじゃん、昨日あんなに好きにして。おかげで俺今日眠たいし。みんなと風呂に入れないし」
「う…でもお前だってわりとはまってた」
「そうだけど、俺途中でもう勘弁してって泣き入れたじゃん。無視して続けたのはそっち」
「だから悪かったって!昼のいちご大福やっただろうが」
「ぶー。俺、昼にでた冷奴兵助にあげたからそれで打ち消しでーす」
「なんだよ、あれは親切心でくれたものだろ!?」
「にゃんのことやら」
ぎゃいぎゃいといい争いをする上級生の隣で、何ごとかを考え込んでいた伊助は、「あ、そーか!」と掌を打った。ふたりが喧嘩をやめて伊助を見やる。伊助は首を傾げて、真面目に提案する。
「久々知先輩はもしかして、タカ丸先輩と風呂に入りたいんですね?」
「なんでそこでそうなる!?」
「え、でも、そうとしか取れないんですけど…」
「いやいや、そんなことない」
「違うんですか?」
「ほんとに察しがいいなあ、この子」
タカ丸は見たことのない笑顔で伊助の頭をなでる。兵助はこほんと照れ隠しの咳払いをして、「いくら一年にはわからないといったって、あんなもの見せるわけにいかないだろ。六年が入り終わった後にこっそり入ろう。三郎に工作は頼んだから、先生方の入浴までは、少し時間が取れるはずだ」
「はいはい、じゃあそうしましょう」
タカ丸が伊助を膝に載せて後ろから抱き締めながら、嬉しそうに頷く。あ、たしかにちょっと、猫に似てるかも。タカ丸の纏うかすかな甘い匂いのなかで、伊助は思う。ごろごろと、今にも咽喉が鳴りそうだ。
「伊助も一緒に入る?」
タカ丸が尋ねた。伊助はなぜだか許可を求めなければいけないような気がして久々知を見上げた。複雑そうな表情に、また気を使ってしまう。
「やめときます。ご飯前に入っちゃいたいので」
「うん、そっか」
タカ丸の細くて長い節くれだった指先がそろそろと伊助の髪を梳く。「悪いな、」と、なぜだか久々知が謝って、伊助は苦笑した。父ちゃんと母ちゃんに似ている。どっちがどっちとかは、ないけれど。子どもは知らなくていい秘密を抱えたその様子が、傍で見ていてくすぐったくて、羨ましくて、知らない他人のようで。



***


大人にしかわからない話と察しのよい子ども

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