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よいこわるいこふつうのこ

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イギー・ザ・デザートドラゴン・オブ・ニルヴァーナ

みんな一年だけ進級してます。
孫竹で性描写あるので注意!


いつからだか大きなやもりが一匹、竹谷のもとをついて回るようになった。教室にも厠にも寝所にもついてまわる。最初に気づいたのは、孫兵だった。竹谷は、身体からそういう匂いか、蜜でも出しているのか、不思議と蝶に好かれる。蝶はいつも竹谷の身を守るように、ときに甘えるように、彼のまわりをふわふわと飛び交っている。孫兵はそれを、仕方のないことと思い黙認してきたが、そのやもりだけは許せなかった。それは、いつでもどこでも竹谷についてまわるからである。彼のそばを片時も離れないいじましい蝶たちですら、寝所の竹谷にまでは遠慮して傍に控えようとはしないのに!
「また居る、」と眉根をひそめて後ろを振り返ると、竹谷も歩みを止めて、「ん」と振り返った。ちょろり、と尻尾がひるがえり、脇の茂みにかさこそと何かが隠れる。「卑怯ものめ」と孫兵が憤慨しながら呟くと、竹谷が、「やもりか」と言った。
「ここ最近、いつも先輩についてまわっています」
「そうだったのか」
「追い払いますか」
「そうもいかんだろ、やもりだし」
やもりは、”家守り”に音が通じるから無碍に出来ないのだった。孫兵はふんと鼻を鳴らした。竹谷が背中をひるがえして歩みを再開すると、また、ちょろりと頭を出してちょろちょろとついてくるのが、孫兵には疎ましく感じられた。その翌日になって委員会へ行くと、竹谷が、孫兵に向かって苦笑した。
「参ったよ」
「どうしたんです」
「昨日のやもりな、寝所へ入ってきたんだ」
「え、」
孫兵は慌てて竹谷の足元に視線をめぐらせる。孫兵の怒りを被ることを恐れるように障子の隙間からひょっこりと小さな頭だけを出していて、孫兵は、その姿が無性に憎らしく、鋭く睨みつけた。途端に、頭は引っ込んでしまう。小さな気配は、部屋から少し離れたところまで移動して、そこでまた止まってしまう。どうあっても竹谷のもとを離れるつもりはないようだった。
「同室の久々知が、じっとこっちを見ているふうなのが気になって眠れないって、珍しく神経質なことを言うから、手のひらで掬って部屋の外へ出したんだ。そうしたら、夜中になって、久々知が俺を起こすだろう、なんだと思ったら、やもりがさ、俺の寝巻きの中に入り込んでやがるんだな。久々知は俺がやもりをつぶさないように、掬って部屋の外に出そうとしたらしい。そうしたら、ちょろちょろと俺の体中を走り回って逃げるんだと、それで、なんだか気色悪くなって俺を起こしたんだ。それからはふたりしてやもりとの追いかけっこさ。いなくなったと思うと、寝所の隅やら俺の寝巻きの間からちょろちょろと顔を出すんだ。呆れたよ」
孫兵は溜息をつくと、「今も隣室に居ますね」と言った。「うん」と竹谷は頷く。
「先輩って、蝶だけじゃなくやもりにも好かれる性質だったんですね」
「虫には好かれる性質だと思うけど、こんなにまでついてまわられるのは、蝶以外じゃ初めてだよ」
「ジュンコに喰わせましょうか」
「や、でもなあ、何をしたってわけでもないし」
孫兵が首に巻きつけた毒蛇をすらりと細長く白い指で撫でると、竹谷は、「許してやろうよ」と誘うように笑う。
孫兵はそれで、しかたなくやもりを許すことにしたのだが、それでも彼の行き過ぎた愛情にやきもきしてしまうのだった。

ある夜は、孫兵は竹谷に呼ばれて彼の部屋で眠ることになった。それは孫兵が実習から帰ってきた晩で、初めて人の死に触れた夜でもあった。遺体の検分の仕方の実習で、死臭に吐き気がした。人の死体は、腐ると、虫たちにはない独特の臭いを発する。成績優秀の孫兵は、淡々と実習を終えたが、帰り道に林道で独り吐いた。孫兵以外にも、おばちゃんの料理を戻さなければいけなかった生徒は何人も居たらしい、教師たちも毎年のことでそれをよく理解していて、その日に限って現地解散だった。孫兵は、戻りたくない、戻りたくないと思いながら寄り道する気力も逃亡する元気もないままに忍術学園へ戻った。井戸水で口をすすいで、今日はもう寝てしまおうと顔を洗っていると、六年の久々知兵助が歩み寄ってきた。
「伊賀崎、お前、今日は竹谷の部屋へ行って寝ろよ」
「え、」
「布団はもう敷いてあるから」
久々知はそうそれだけ伝えると、さっさと五年の長屋へと消えてしまった。孫兵は、こんなに弱った夜に竹谷に会いたくないと思ったが、仕方なしに彼の部屋を訪れた。竹谷は、菜種油に火を灯してその明かりで草紙を読んでいたが、孫兵が来ると、顔を上げてそれを閉じてしまった。
「待っていた、孫兵。今日は疲れたろ、寝よう寝よう」
孫兵がうんともすんとも返事をしないうちから、竹谷はがばっと孫兵を布団で包んで、自分のもとへ引き寄せた。ぎゅうと抱きしめられると、竹谷の規則正しい心音が聞こえて、孫兵は泣きそうになった。生きている人が隣にあって、体温を分け与えているのがどんなにか嬉しかった。
竹谷はさっさと菜種油の火を吹き消してしまった。部屋に、静寂と闇が訪れた。それは柔らかで暖かく、真綿のように二人を包んだ。
「孫兵、」
と闇の中で竹谷の声が優しく孫兵の耳朶を打った。竹谷の身体からは、太陽と草いきれのにおいがした。孫兵は安心して、ほう、と溜息を吐いた。
「俺も4年のとき、実習あけに先輩から同じことをしてもらったよ」
それは、去年卒業した食満留三郎のことだろうと孫兵には知れた。竹谷と彼は、懇意にしていたと聞く。こんなときにそれをいうなんて、この人はひどい人だなあと思った。それでも、それを詰るには孫兵はあまりにも竹谷のことを愛し過ぎていた。俺が、勝手に、好きになっただけなのだ。
「先輩、あなたのことが好きです」
息のようにかすかに吐いたら、竹谷は「ん」とどっちつかずの返事をした。
孫兵は、そろそろと竹谷の寝着の帯もとを緩めると、胸元から冷たい手を這わせた。竹谷の身体が小さく震えて、しなやかに反れた。孫兵はそのまま赤い舌をちろりと出して彼の胸の飾りを舐った。あ、と小さく竹谷が息を零した。かりりと歯で先端を噛むと、また、あ、と声が零れる。それが楽しくて、孫兵は子供用な無邪気さで執拗にそこを責めた。あ、あ、あ、とあえかな悲鳴。自分を包み込んでくれた大きな存在が、こんなふうに自分の腕の中に納まってくれている事実は、孫兵の胸中を確かな満足感で満たした。
竹谷を掻き抱きながら、孫兵はその晩、竹谷の中に飽くことなく己の情を注いだ。ねっとりと絡みつく様は蛇のようだった。竹谷の奥は頑是無く腰をぶつけてくる孫兵のために濡れていた。
「先輩の奥、僕でぐちゅぐちゅに濡れている」
孫兵の冷静な検分が、ひどく竹谷を辱めて、それがまた、お互いの温度を高めあった。水音を絶えず立てながら竹谷の上にのっかっていた孫兵は、視線の先にやもりを見つけた。ああ、おまえか。
孫兵は心のうちだけで呟いていた。残念だけれど、この人はやらないよ。胸のうちで囁きかけても、やもりはじいっとこちらを見つめている。竹谷ではなく、孫兵を、じっと。その瞳と対峙しているうちに、あ、と孫兵は小さく声を上げていた。
「そうか、お前は私だったのか」

朝になって、ふたりして精液で汚れきった布団に困り果てた。保健室で特別大きな盥を借りてくるから、そこで布団を洗おうと竹谷が提案して、孫兵が満足に頷きもしないうちに竹谷はびゅう、と長屋の廊下を駆け抜けていってしまった。孫兵は長屋の部屋から内庭に出ている縁側に腰掛けた。やもりの姿を求めても、部屋にも庭にもどこにも居なかった。たぶん、執着が叶ってどこぞへいってしまったのだろう。
早朝で長屋はまだ静かだったが、スーッと音もなく隣の部屋の障子が開いた。大欠伸とともに、部屋の主が出てきた。それが返送名人の鉢屋なのか、彼が好んで化けているという不破なのか、見分ける目を孫兵は持っていなかった。
「おはようございます」
と挨拶すると、ふあ、と続けてもう一度大欠伸した後に「次から長屋は止し給え、君の情熱の具合が余所へも知れるよ」と平静な様子で言われて、孫兵の体温の低い全身が、ぼうと赤く燃えた。
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